もうすぐ絶滅するという紙の書物について

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  • Amazon.co.jp ・本 (472ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784484101132

感想・レビュー・書評

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  • リテラシー、フィルタリング、インキュナビラ、「『ドン・キホーテ』の著者、ピエール・メナール」、

  • 本の魂と肉体についていろんな側面から語りつくす一冊。
    エーコとカリエールの博学には驚くばかり。しかも何か資料を片手に対話しているのでもない。おそろしい二人だ。
    エーコの蔵書数は3万冊を超えているという。へぇーっ‼︎

  • ウンベルト・エーコとジャン=クロード・カリエールによる書物をめぐる対談。
    現在に至るまでにどれほど多くの書物が消えてなくなっていったのかという指摘は新鮮だった。
    現在出版されている本も、どれだけの書物が後世に残っていくのだろうか。そんな視点で現在の出版物を読んでいくというのも、なかなかおもしろいと思う。

  • こうゆう教養のある人の雑談は面白い。わけのわからないことも言っていないし。

  • おすすめ資料 第121回 本を愛する人へ(2011.3.4)
     
    「電子書籍元年」とさわがれた2010年。

    この本は、単純に「本の絶滅」を危惧し、それを阻止しようとするものではありません。
    また、あらゆる点で巷の電子書籍関連本とは一線を画すといっていいでしょう。

    対談者のウンベルト・エーコはイタリアの中世学者、哲学者、小説家。『薔薇の名前』で有名。
    クロード・カリエールはフランスの劇作家、脚本家。『ブリキの太鼓』の脚本などでご存知のかたも多いはずです。

    世界でも屈指の愛書家の二人は、底なしの博学でもあります。
    彼らは、本書の邦題とはうらはらに、書物の未来を案じてはいません。
    紙の書物はすでに完成された発明品であり、絶滅するはずのないものとの確信をもって対話にのぞんでいます。
    いわゆる紙の書物が培ってきた文化が、声をあげて、自由に語り合っているような錯覚を覚える本です。
    といっても、電子書籍やインターネットの世界に無関心、無知でいるわけではありません。
    今後、変貌をとげるであろう「文化」のありよう、意味を問い直す内容になっています。
    特に情報のフィルタリングに関する話題は、示唆に富んだものです。

    ここで、あまりの格調の高さに怖気づいてはいけません。
    意外にすらすら読めるのです。
    もし、本への愛があり、声高に語られる「電子書籍元年」にいいようのない不安を覚えるなら、おすすめの一冊です。

  • テスト

  • すべての読人(よみんちゅ)に捧ぐ――
    もうすぐ絶滅するという紙の書物についてばかり語っている訳ではない、が、それ以上に面白い、オモシロイ、示唆に富んだ対談。USBからフランス詩、インキュナビュラ(グーテンベルクの印刷術発明から15世紀末までにヨーロッパで活字印刷された本)に名著珍本、焚書と禁書、空き巣まで……
    読み終わったら誰もがこう思うはず。
    ”本から離れようたって、そうはいかない”!!

  •  紙の書物を愛好する二人の対談をまとめた本です。まさしくインテリの二人の頭脳から生み出される話題は紙の書物の「絶滅」よりもはるかに広範で、紙の書物と電子書籍、紙の書物と文明、残された書物と消えた書物、古書収集など、社会のあらゆるテーマに及びます。

     内容については目次を読むとかなり推測できますが、全体的には、「知のフィルタリング(選別)」が大きな問題として挙がっていると思います。はるか昔へ目を向ければ、当時は存在したはずなのに現在では存在していない、あるいは語られてさえいない書物というものは確実にあるはずですし、近現代でも、名著として挙がるということにはなんらかの選別が働いています。

     こうした選別のなかで、対談に臨むお二人が愛好しているのが「人間の愚かしさ」です。人びとが善意で犯す誤りは、ときにとてつもなく滑稽なものです。「存在を隠していることだけが彼らが存在している証拠である (p. 301)」みたいな意見を真剣に言うわけです。人間は賢い生き物のように思えて、ときにとてつもなく馬鹿げた推測を、”真剣に”行ってしまう。そして、「過去についての我々の知識は、馬鹿や間抜けや敵が書いたものに由来している (目次)」。結局のところ、われわれは(とくにぼく自身は)馬鹿なのだ! そしてそこに知の営みの面白さがあります。二人の対談者への共感を勝手に覚えた本でした。

     紙の書物から、歴史と知の営みの旅へといざなってくれる本です。
    (その意味でこの本は”楽しむ本”で、知識を得る本ではありませんから、お忙しい方にはおすすめしません)

  • 本についての本。”本は消える消えるといわれてるけど、でも、電子媒体のほうがもう過去のものになって見られないの多いよね?”っていうとこになるほどーと思った。

    難解なのは覚悟して、四苦八苦しながら読んだけども、対談形式がどうしても苦手なので辛かった…。

    この本、装丁がほんとに素晴らしくて、小口が深い藍色のグラデーション。イタリア版もこういう感じなのかしら。これだけ凝ったものなら自分の本棚に置きたくなる人多いかも。

  • 装丁が美しい本です。

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著者プロフィール

1932年イタリア・アレッサンドリアに生れる。小説家・記号論者。
トリノ大学で中世美学を専攻、1956年に本書の基となる『聖トマスにおける美学問題』を刊行。1962年に発表した前衛芸術論『開かれた作品』で一躍欧米の注目を集める。1980年、中世の修道院を舞台にした小説第一作『薔薇の名前』により世界的大ベストセラー作家となる。以降も多数の小説や評論を発表。2016年2月没。

「2022年 『中世の美学』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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