世界が認めたニッポンの居眠り 通勤電車のウトウトにも意味があった!

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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784484131078

作品紹介・あらすじ

なぜ日本人は降車駅に着くと、突然ニョキっと起きあがるのか?ケンブリッジ大学の文化人類学者が論じる、日本人の居眠りに学ぶ、智恵と効果。

感想・レビュー・書評

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  • オーストリアの日本研究者が書いた睡眠文化の本。
    タイトルだけみるとガイジンも褒めたたえる唯一無二の日本って素晴らしい!みたいな感じだけど内容はまとも。
    睡眠の文化は色々あるけれど優劣ではないよ、INEMURIは日本文化だけど短時間の睡眠文化は日本だけにある固有のものでもないよと書いてある。
    非論理的な正当化はやんわり批判しつつ、頭ごなしの文化否定や諸手を挙げての賛美はしない。

    原題は「居眠り――日本人の睡眠と、そこから私たちが学ぶこと」。
    日本で出すには原題もいまいちだけど、それにしたってなんでこんなバカみたいなタイトルにしちゃったんだろう。
    このタイトルを好む層とこの内容を好む層はきっと被らない。

    日本人による日本の眠り論へのツッコミが楽しい。
    「日本人は勤勉で仕事が忙しいから睡眠時間が少ない」という説に、過去と比較して労働時間はあまり変わらないが余暇の時間が増えているというデータを出したり(過労死する層と余暇が増えた層は別だとも思うが)、
    「日本人が電車の中でよく眠るのは治安がいいからだよ」といった直後に「動物は浅い眠りを繰り返す、常に警戒が必要だから」と説く人に、電車の眠りもそうなんじゃないかと考えたりとか。
    (安全面じゃなくて、よだれを垂らしたり乗り過ごしたりすることを警戒する)

    健康法にかこつけて自分を延々と語ったり、女を律しようとしたりする人たちの啓発本も論評される。
    こういう人たちを見ると、持論を補強するために科学を装う人はどこにでもいるもんだなと思う。
    この手の啓発本に書かれている価値観は一般的なものじゃないし、これらを信じる人どころか読んでいる人だって少ないけれど、この手の本が本屋の棚に並んでいるのも日本の事実。

    この場所にはこんな習慣があってこんな風に考えられていて…というのは、この場所からはわかりにくい。
    だから、この場所を知っている人からこの場所を知らない人向けに書かれた本で、自分の暮らすこの場所を改めて知るのは楽しい。

  • ’居眠りとは「居合わせているが眠っている」あるいは「眠りながら出席している」という、「居る」と「眠り」の合成語’
    我々にとっては当たり前すぎる居眠り、日本ではなぜ容認されているのか、外国人の視点から極めて興味深い現象として分析されていて面白い。昼寝/仮眠と居眠りを分けて考えられているのも鋭い。

    [more]<blockquote>P39 (日/中の伝統医学は)睡眠を生理的なものとはみなさず、色欲や飲食の欲と同類で、抑えなくてはならない欲が養生の考えであった。衝動ならば抑制しなければならない、それを克服する術を学ぶべきであってできるだけ早く起きるべしというわけだ。

    P78 睡眠パターン(文化圏)
    1)単相睡眠の文化圏
    2)二層睡眠(シエスタ)の文化圏
    3)仮眠文化圏
     3−1昼寝(成員がプライベートに眠るタイプ)
     3−2居眠り(成員が起きている他人の目の前で眠るタイプ)

    P104 エドワード・ホールはモノクロニック社会とポリクロニック社会というものを区分している。
    モノクロニック社会(時計の時刻)・・時間的計画に沿って物事/仕事を一つずつ処理していく方式
    ポリクロニック社会(ながら族)・・同時に複数の物事に照準が合わせられる。いくつかの物事を同時に片付け、必要ならばいつでも中断する

    P153 男性の専門家たちが女性の幸福を心配していること、そして「客観的な」自然科学的認識を元にしながら倫理的な要望を引き出そうとする傾向があることだ。

    P179 「誰かが他人の前で、ないしは本来は積極的に働いているべき時間帯に眠っているのは確かにあまり上品ではないし規律正しくもないが、睡眠がそれに先立つ苦労の結果とするなら容認に値する」という意見が支配的である。

    P211 居眠りの最中にもその都度の状況に適合するよう試みなければならない。睡眠は、当人の身体がその場のフォーマルな状況のルールに沿って動いている限り、従属関与として認められる場合もある。</blockquote>

  • 外国人による日本論。「そういう風に見られるんだ〜」と面白く思う部分もあるが、ごく一部の例を日本人の一般論として紹介されて納得いかない気分になった箇所も。生徒の居眠りを喜ぶ教師についてのくだりは、どこの学校の話?

  • 日本人の睡眠に関して、歴史も含めて、まとめた本。シエスタなど他国の昼寝についても書かれているが、どうも日本の居眠りは、他国の人の理解を超えたことのよう。特に女性が電車で爆睡というのはありえないとか。

    面白い本

  • ☆昔から、居眠りしていたようで。なんか、日本はガイジンさんによる日本文化評に甘いのではないか。

  • 外国人から見た、日本人の居眠りに対する考察が書かれた一冊。外国における日本の研究の奥深さを垣間見える。

  • 社会
    歴史

  • 1日に複数回眠る多相睡眠は昔から日本の文化に存在していた。
    一方、夜間に眠り、昼間はなるべく眠らない方式は西洋から導入された。
    居眠りの効用やその考え方など様々なことが記載されておりとても興味深い。

  • オーストリア人の方の文章。「はじめに」だったか最初に掲載している、書籍を書くにいたった経緯や、感想を筆者が書いているのだが、そこが一番面白かった(本文は飛ばし読みであまり内容が頭に入ってません)。
    様々な日本人のインタビューを掲載しているが、日本語を一度ドイツ語?だか英語にやくしたものを再度翻訳したからなのか、非常に読みづらい。グーグル翻訳を読んでいるみたいな感じ。本文はとっつき悪かったです。

  • 学校の授業中にウトウト・・・電車の中、隣に座る人の肩にもたれ掛って気持ちよく居眠り、なんていう経験、誰しも1度はあるのではないだろうか。実は、この「居眠り」、海外では見られない日本特有の光景である。オーストリア出身の睡眠について研究している著者が、外国人の視点から、日本人の居眠りの謎を紐解いていく。

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著者プロフィール

1965年オーストリア生。ウィーン大学日本学研究所博士(日本学)。ケンブリッジ大学東アジア研究所准教授。日本の社会人類学、とくに日常生活。

「2013年 『東日本大震災の人類学』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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