裏山の奇人: 野にたゆたう博物学 (フィールドの生物学 14)

著者 :
  • 東海大学
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  • Amazon.co.jp ・本 (276ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784486019947

作品紹介・あらすじ

博物学への憧憬と好奇心を携え、生きものに魅せられた怪しい男が、近所の裏山から地球の裏まで徘徊する。博物学とは、好奇心とは何だ。昆虫学者が綴るフィールドの「怪」進撃。

感想・レビュー・書評

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  • 著者の子ども時代、すげえなあ。小さい時から虫に取りつかれている。こうでなくっちゃ、虫博士にはなれんよなあ。虫についての著者の奮闘、すさまじく面白い。はああ、って感心、茫然って感じ。内容、豊富で濃密、すごいよすごいよ。日本学術振興会のお仕事の後の勤め先が見つかることを祈っています。

  • 2014 9/6読了。Amazonで購入。
    若手昆虫学者である著者の、これまでの研究生活を綴った本。とだけ言うと、なんか博士課程苦労話みたいなのを最近だと想像しちゃうんだけど、そういうのではない。現代版・南方熊楠とでもいうべき、まさしく「奇人」自らが記した奇書。ぶっちゃけ9月に読んだ本の中では群を抜いて面白かった。

    海外の熱帯雨林に行ったりもして、ゲノムを調べたりとかそれっぽい研究もしているんだけれども、著者のイキイキとした研究ライフはむしろ普段の裏山にあることがわかる。
    そこら辺の近所の裏山にも生態がよくわかっていないような生き物はいっぱいいて、著者はそれを興味を持って眺めて、調べて、論文にしたりしている。

    まず「好蟻性」なんて言葉がIMEで変換できることすら知らなかったけれど、そういうニッチな世界のいきもののことをずっと調べている、それもどんどん発表している人がいて、それを心から楽しんでいそうっていうのは凄いというか、いや本当、熊楠っぽい。まさに「裏庭の奇人」だ。
    願わくばそんな「裏庭の奇人」が研究者として大成できる日本でありますよう。

  • このシリーズの中では一番面白かった。
    好蟻性昆虫の研究者だが、フィールドワークで見つけた生物全般に触れており、バラエティに富んだ内容になっている。

  • 傑作。後半になるにつれて文章がノッてくる。昆虫についての記述も面白いが、真顔で入れてくるギャグ、著者の私生活や信念がたまらなく楽しい。このあとどうなったのか続きが読みたくて仕方ない。

  • 先日、NHKのラジオ聞き逃しサービスで、著者の話を聴く機会があった。
    前の職場の先輩が昆虫博士だったこともあり、勤務していた施設に来館された折、会釈したことを覚えている。その時は、今までみたこともないアリの巣に寄生する土壌昆虫の写真をみて、こんな写真どうやって撮るんだろう?とボンヤリ想ったぐらいだった。しかしラジオ番組を聴いていて、すっかりその語り口に魅せられ、どうやったらこのような虫博士が誕生するのかしら?と、生まれ育った背景や昆虫博士になる契機となった出来事がいよいよ知りたくなって、手に取ったのがこの本である。
    元同僚であり先輩であったN博士がいなければ、この本を手にしていなかっただろう。また昆虫や自然に対する考え方や知識も得られなかった。N博士には非常に感謝している。

  • 2020.04.09 図書館

  • 【展示用コメント】
    フィールド調査で大いなる大発見をする秘訣は、いかに「不自然」を見つけられるかに尽きる。「不自然」を見つけるには、何が「自然」かを知っていなければならず、それを知る唯一の方法は、足繁くフィールドに通い、身を置くことだけだ。(本文より)

    【北海道大学蔵書目録へのリンク先】
    https://opac.lib.hokudai.ac.jp/opac/opac_link/bibid/2001635435

  • アウトドアマンや猟師、隠遁者を描いた話が好きなので、タイトルに惹かれて手に取る。

    本を開いたら、口絵にいきなり「シジュウカラの雛に寄生するハエ」とかの写真が出て来て、あ、やっちまった(いけない本を開いてしまった)・・・と思ったのが第一印象。

    著者は昆虫学者(博物学者)で、「アリヅカコオロギ」を中心に、日本の裏山にいるような(と言うとありふれたつまらないものと最初は思うわけで)虫たちの生態や苦心の発見譚をめんめんと綴る。学術書ともエッセイ集ともつかない。まさに裏山の奇人(著者自身のこと)の書である。

    学名や詳細な参考文献リストが載った本でありながら、「どういうことですかバアサン」とか「マルヤマ? 誰だそいつ(と共同研究者をつかまえて言う)」とか「虫採りの楽しさを知らない人間には、逆立ちしたって一生わかるまい」とかざっくばらんな表現が躍っていて、サイコーに楽しかった。

    研究者になる(である)ためには、そのテーマが三度の飯より好き、ってのがないとダメなんだろうなあというのがサイコーに伝わってくる。ところどころに登場する「美少女ゲーム」より好きかどうかはともかく。

    「アリヅカコオロギ」に関心がなくても、最後まで一気に読ませられた本であった。

  • ☆信州大学附属図書館の所蔵はこちらです☆
    http://www-lib.shinshu-u.ac.jp/opc/recordID/catalog.bib/BB16359550

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著者プロフィール

九州大学 熱帯農学研究センター 博士研究員。
信州大学 大学院 総合工学系研究科 山岳地域環境科学専攻 博士課程修了。 博士(理学)。
著書に『裏山の奇人――野にたゆたう博物学』『アリの巣の生きもの図鑑』(共著)(ともに東海大学出版部)など。

「2016年 『虫のすみか―生きざまは巣にあらわれる』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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