自由からの逃走 新版

  • 東京創元社
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  • Amazon.co.jp ・本 (338ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488006518

感想・レビュー・書評

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  • 心理学や歴史的な観点から、自由が孤独や無力感を生み出し、自由を破壊するような絆や矯正を求めることを学べる。目標を持って、自発的に考えたり動いたりすることで幸福を得られる

  • 自分のことだな、、と思いながら読んだ。社会的性格は両親という代理人から日本文化としてインストールされた。しかし漠然とした「絶望と不安と懐疑」がどこかにくすぶっている。自発的な行動で社会と関係を持つことが、この呪いを解くカギなんだ、、

  • 今年の課題図書。自由を謳歌し続けたい、と思った。自由を脅かす孤独や無力感に騙されないようにする。また、恐怖により服従に向かうような人が周りにいないようにケアしたい。

  • 人は自由を制限する束縛や抑圧から解放されたとしても、解放後に待ち受ける無制限の自由がもたらす孤立と孤独の感情に耐えきれず、自ら自由を捨て他人からの束縛を再び望むようになる。


  • アバタロー氏+県立図書館(あとがき)
    1941年出版
    自由が与えられた大衆の行く末に関する概念
    政治や心理学の多岐にわたった内容

    《著者》
    1900年生まれユダヤ系
    ドイツの社会心理学者
    1934年アメリカに亡命
    1941年アメリカが参戦するタイミングで著書を発表(ファシズムに対する危機のためこの時期に発表か)

    《感想》
    とても興味深かった
    個人でいたいが属していないと不安
    自分がいざ個人になったとたん、まさにこれに当てはまり身に沁みた

    自由は欲しい
    自由すぎると人間はダメになる
    制限があると自由を求める
    つまり人間は矛盾している
    身近すぎて深く考えず、自由の扱いは何とも難しい
    本書を読んで、続けてオルテガやル・ボン等の人間心理を探ってみたい

    著書を借りてきたが難しくて何ヵ月もかかりそうで断念
    巻末にある社会学科出身の元東大新聞研究所教授、日高六郎氏の訳者あとがきは反対に読みやすかった
    米と英で版を重ねており、問題意識の深さに由来するものだと記載されていた
    戦争や悪いことに思想を使ったのかなと思ってしまった

    《内容》
    〇逃げたくなる3つの心理
    逃げ道の詳細
    ・権威主義
    自分が欠けている力を獲得するために、自分以外何かと自分を融合させようと心理的傾向のことを意味する
    権威にすがって安心したがるマゾヒズム的
    (カリスマの言葉を信じる)
    自分自身が権威を奮って安心したがるサディズム的

    ・破壊性
    対象を壊して苦しみから逃れる安心感
    友人がいなくなってしまえ
    私なんかいなくてもいい

    ・機械的画一性
    自分が自分であることをやめる
    自分の思考感情意見を放棄して、みんなの意見に依存することで溶け込ませる

    まとめると何かに依存、何かを壊す、自分を溶け込ますによって自由からの逃走をする
    近代以降の多くの人々はアイデンティティーを失い、従属する人形のような存在になってしまった
    20世紀初頭にその受け皿となったのがファシズムだ
    ヒトラーは無力な個人よりも強力な組織に身を投じ、一員として生きろと民衆を扇動した

    ○現代の個人
    自由の重みに耐えられない個人はどうすればいいのか
    ・自発的な活動によって自分と世界を結び付ける
    ・愛するという行為(著書あり)
    愛は与えるもの、外側の世界全部が対象

    自由の代償として孤独と不安がまん延してしまった
    かつて存在していた世界との絆を再構築し、真の自由を手に入れられるか…

  • 社会的条件は性格を通して、イデオロギー現象に影響すると説く本。
    偽の自己とは、他人に期待されている役割を自己の名で行う代理人。

  • 社会心理学者のフロム氏による代表作です。本書は80年ほど昔の本になりますが、2019年現在で読んでもまったく色褪せない内容を含んでいると思いますし、おそらく80年後にもまだ読まれているでしょう。歴史を作り上げていくのは「社会的経済的条件」「イデオロギー」についで「社会的性格」が重要な役割を果たす、というのが本書の主張になります。具体的には自由からの逃走を引き起こすような「社会的性格」の存在に本書は警鐘を鳴らしているわけです。

    人間は束縛からの自由を得るとき(フロム流に言えば消極的な自由を得た時(〜からの自由))、気持ちの高揚感を得ると同時に、孤独感や自分の無意味感、無力感を同時に感じてしまいます。その際に人間が取りうる行動としては大きく2つある。1つは「積極的な自由」つまり、「〜への自由」ということで積極的・自発的に活動を行うこと。もう1つはより大きな権威などに寄り添って自分の自由を放棄してしまう、つまり自我を失うけれども心の拠り所を得る行為にでるわけです。後者の例として本書ではプロテスタンティズムやナチズム、またサディスティック/マゾヒスティックを例として挙げています。おそらくこの現象は社会の激変期に起こりやすいのだと思うのですが、AIやロボットが人々の仕事を置き換えていくような時代が本格的に到来すると、フロムが警鐘を鳴らしているような「社会的性格」が広く出現するかもしれない、と思いました。

  • 常に会社に文句を言ったり、こうしたりしたらいいのにと発言している人が「じゃあお前らの好きにやっていいぞ。何やりたい」と言われて自由を与えられると途端にシーンとなる場面はこれまでよく見てきた。そこで今まで、いかに束縛された身は楽だったのか、なぜなら自分自身の力で選択する労力もなくただしたがっていればよかったのだから、と思い知らされる。自由というものが急に苦痛になる。自分の言葉に責任を持たなければならなくなり、逆にその言葉や行動に縛られ自由がなくなったかのように思われ、ただ無意識に会社に従属して何も考えず上司や会社の意向を汲んでいたほうがどんなに気楽だったか、と思わされる。
    そんな日常を思い出させた。

  • 感想
    なぜ自らの命令者を志向する人間が少ないのか。自由とは責任を伴うからである。権威あるいは権力に我々は屈する。自らの意思を以て。

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著者プロフィール

ドイツの社会心理学者、精神分析家。1900年、フランクフルト生まれ。ユダヤ教正教派の両親のもとに育ち、ハイデルベルク大学で社会学、心理学、哲学を学ぶ。ナチスが政権を掌握した後、スイス・ジュネーブに移り、1934年にはアメリカへ移住。1941年に発表した代表作『自由からの逃走』は、いまや社会学の古典として長く読まれ続けている。その後も『愛するということ』(1956年)、『悪について』(1964年)などを次々と刊行する。1980年、80歳の誕生日を目前にスイス・ムラルトの自宅で死去。

「2022年 『今を生きる思想 エーリッヒ・フロム 孤独を恐れず自由に生きる』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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