しゃべくり探偵の四季: ボケ・ホームズとツッコミ・ワトソンの新冒険 (創元クライム・クラブ)
- 東京創元社 (1995年2月1日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
- / ISBN・EAN: 9784488012700
作品紹介・あらすじ
がんばれ、関西。難事件を関西弁パワーで解く連作ミステリ。
感想・レビュー・書評
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ボケ役で安楽椅子探偵な大学生・保住クンと、その相方(笑)ツッコミ役な、同じく大学生・和戸クンの関西弁叙述形式の推理短編集。… つまり基本的に、地の文(状況の描写)が無くて、会話で話が進んでいくのです。が、ちゃんと推理ものになっている辺りがこの作者のすごいところですね。伏線も実はしっかり張られてるのです。
そして何より、関西弁のノリが良いんですよ~。
この本は実は2作目でして、「しゃべくり探偵」という本が1冊目。(こちらのレビューはまた次の機会に。)
亡き祖母の家に和戸クンの妹夫婦は引っ越す予定でいたのだが、どうもこの家には、物を壊す幽霊が出るようなのだ…――「騒々しい幽霊」(保住クンの新学期)
バンドを始めた保住クン。和戸クンの友人にもロックバンドをしている者がいるのだが、この友人、最近泥棒に入られた。けれど、盗まれた25万円のギターは何故か戻ってきたのだ…――「奇妙なロック歌手」(保住クンの五月病)
”半魚人”と”人魚”と”ぼく”。体験ツアーで、この3人でバディを組んでダイビングしていた時に”ぼく”は見てしまった。”人魚”こと憧れのインストラクターと同じ名前が、サンゴに刻まれているのを…――「海の誘い」(保住クンの夏の思い出①)
友人の代理で参加したテニス同好会の合宿。そこで”ぼく”が出会ったのは、”高原のお嬢さん”と”火の玉”と…そして、男の絞殺事件だった…―「高原の輝き」(保住クンの夏の思い出②)
顔と手を焼かれて死んだヤーさん。刑事が事件を調べても、散髪に行くと言ってから死体で発見されるまでの消息が、どうにも掴めないでいたのだが…――「注文の多い理髪店」(保住クンの秋のお洒落)
某大学の学園祭。「ギリシア式棺占い/1回500円」のいかにも怪しげなテントの中に入った”わたし”は、占い師(とその黒幕)に占って欲しいことを話した。兄が新興宗教のススメで突然結婚すると言い出していることを…――「戸惑う婚約者」(保住クンの学園祭)
駅前のトイレ前で見張っていたのに、尾行していた女を見逃してしまった新人調査員クン。だが彼は、トイレ掃除のおばさんが怪しいのではないか、と屋台でおでんを食べながら話すのだ…――「怪しいアルバイト」(保住クンの年の暮れ)
以上、7作品。実は和戸クンが出てくるのは1話目と2話目のみで、保住クンも”主人公”ではナイ、という…前作「しゃべくり探偵」とはちょっと違っているのですが、基本の雰囲気は変らず「浪花お笑い調」。(「高原の輝き」だけ、違うかな~…)
私の気に入りは、「注文の多い理髪店」。床屋のオヤジの独り語りで進むんですが、このオヤジがイイキャラしてます。 客にはなりたくナイ感じですが(笑) 真相解明も実に鮮やか、動機も意外性ありまくりで、すっきりまとまっていると思います。
次点は「怪しいアルバイト」。ミステリファンのひとりとして、あのアレにつなげてある辺りで拍手なのですv
なが~い、むずかし~いミステリに疲れた方、笑えるミステリを是非ご賞味ください。
ちなみに挿画担当は、いしいひさいち氏。かわいいよん♪詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
いしいひさいちさんの挿画と大阪弁のせいか主人公2人おじさんよりに思ってたけど、考えてみたら大学生、今どきの普通にかっこいいんではないか?wと半分から後半思った。
しかし安楽椅子探偵、見てきたようにものを言い、だね~すごいね~ -
イメージ参照(http://blogs.dion.ne.jp/kentuku902/archives/6170518.html)
(収録作品)海の誘い/奇妙なロック歌手/高原の輝き/注文の多い理髪店/戸惑う婚約者/怪しいアルバイト/騒々しい幽霊 -
話の展開の仕方が非常に上手い作家さん。
床屋のお客さんに対する独り言のみで、事件を最初から最後まで描写して、解決までしてしまう所は、鳥肌が立った。
ミステリ好きなら読んでおきたい一冊。
読みやすいけど、内容が濃いのがすごい。
あと、関西弁好きにはたまらない一冊でもある。 -
保住君、大活躍?・・・かな。