冬のスフィンクス (創元クライム・クラブ)

著者 :
  • 東京創元社
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本棚登録 : 31
感想 : 3
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  • Amazon.co.jp ・本 (325ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488012878

作品紹介・あらすじ

眠りに就く前に絵画を見ると、その中の世界に入り込める男・楯経介が、夢の中で遭遇した連続殺人の顛末は。これは夢か、現実か-幾重もの"夢"と"探偵小説"とがせめぎ合い、読者を幻惑する異端の書。

感想・レビュー・書評

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  • ミステリ。幻想。夢。
    うわー、複雑。どれが現実でどれが夢なのか、読んでいて不安な気分になってくる作品。
    二章の終盤、謎解きが始まってからはテンポアップし、なかなか良かった。
    幻想ミステリでは小林泰三『アリス殺し』が好きだが、今作はより幻想よりで、異質な読後感を味わえた。

  • 目次の「推理小説風の発端」「探偵小説風の展開」「読者への挑戦状?」にワクワクさせられる。夢の中で殺人が起こり、楯経介は探偵と名乗ってしまう……、という導入も良い。夢や絵に関する蘊蓄もちりばめられていて、筆力は確かだと感じさせるし、楽しい。途中までは普通に面白かった。

    ところが、解決方法が「知るはずのないことを犯人が喋った」……って。まったく論理的でないし、これで挑戦状?とかなりガッカリしてしまった。

    京子とのロマンスも「うーん?」だ。飛鳥部さんのロマンスはちょっとズレている気がする。「堕天使拷問系」の時もそう思った。恋愛に重点が置かれている話とは思わなかったので、恋愛要素が大きくなるにつれて「なんか違うなあ」というモヤモヤが募った。

    亜久直人が結構カッコよかったので、ラストは起きないのか、と少し残念。

    夢の中で先生にソフトボールに誘われるくだりは、根拠はないが飛鳥部さんが見た夢をそのまま書いたのでは、という気がする。不可解だし、不思議な質感があって気になった。

    あとがきの「ボンカレーおばさんの恐怖」には笑わせてもらった。

  • ううむ。夢と現の区別がつかなくなっていくというか、作中作というか。

    随所に現れる絵画的な描写は美しい。かつ、登場人物も絵画的な美男美女が多いので、いろいろなシーンを非常に頭の中でイメージしやすい作品であることは確か。
    ただ、非常に「静か」な作品で、各キャラクターは私の頭の中でイメージできるものの、あまり「動かない」。まさに絵画を見ているよう。

    美しいモノ、幻想的なロマンであることは確かだが、私は手放しでは楽しめなかった。自分の好みは、頭の中でドラマのようにキャラクターが動いてくれる作品であって、多分、こういう静かな耽美系の雰囲気苦手なんだ。。。
    こういうのが好きな人はたまらないんだろうなぁ、というのは何となく判った。

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