殺す (海外文学セレクション)

  • 東京創元社
3.09
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本棚登録 : 66
感想 : 10
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  • Amazon.co.jp ・本 (123ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488016203

作品紹介・あらすじ

ロンドン郊外に新設された、超高級住宅地で発生した大量殺人事件。家政婦、ガードマンを含む三十二人の大人全員が殺害され、十三人の子供が誘拐された。警察の捜査では迷宮入りしかけたこの事件に、内務省は精神分析医グレヴィルを招聘する。さまざまな仮説が検討されるが、捜査は一向に進展をみない。だがある日、行方の知れなかった子供の一人が、心身喪失状態で発見された。少女との対面のなかで、精神分析医が見出した残酷な真実とは。現代社会の病に挑んだ、鬼才作家の予言の書。

感想・レビュー・書評

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  • ロンドン郊外の高級住宅地『パングボーンヴィレッジ』で起きた大量殺人事件。わずか二十分足らずの間に、三十二人の大人全員が殺され、一三人の子どもが誘拐されたのだ。様々な仮説が立てられるも、犯人の動機や正体は一向に分からず、精神分析医『グレヴィル』は協力を依頼される。
    やがて行方不明だった最年少の少女が心身喪失状態で発見された。彼女の不可解な動きを見た精神分析医が見出した残酷な真実とは・・・


    最初に言ってしまえば、犯人は意外でも何でもなくこの状況下では一番当然だろうと思う人物でした。
    語り手である医師が最後まで嫌だったし、もっと殺人者の内面を描いてほしい気もしたが、著者の証言したいのは別の所なんだろうな。現代社会に警鐘を鳴らす的な?
    -愛情と理解の牢獄-
    家はそんな余裕は財力的にも精神的にも持ち合わせてないので心配する必要もないが・・・

  • 22.5.12〜16

    簡潔な感じがたまらん

  • 超高級住宅街で起こった大量殺人事件。
    すべての住民は殺され、13人の子どもたちは行方不明に。犯人、そして動機は一体・・・。
    あらすじ読んだだけで、なんとなく犯人が分かってしまった。10年くらい前の作品だから、そのころは衝撃的だったのかな。他人事として慣れてしまった今のほうが恐ろしいのかも。
    理解と管理に溢れた愛情は重いだろうなあ。逆らう方が悪い、みたいな気分になるよね。

  • かなり最初の方で犯人は分かるし、その後さらに恐ろしい展開もない。そんなに面白くないなぁ…と思って読み進めながら、ふと、さらに悲惨で救いのない展開を望む自分が怖くなったりも。

    それにしても、精神分析医が書き手である意味は殆ど無かったと思います。

    あと、先日甥が貸してくれて読んだはやみねかおるの「そして5人がいなくなる」を思い出しました。同じテーマ。

  •  多分、ジャンルは・・・なんだろう。少なくともミステリかどうか微妙。

     タイトルは単刀直入で面白い。文体はサラっとしていて読みやすいけれど、起伏が少なく、情景における音の広がりは乏しい。

     登場人物はそこそこ多い。内容に関わることだし、好き嫌いの分かれる部分なのでなんとも言えないものの、個人的には問題なし。主人公周辺は二、三人しか出てこないので無茶苦茶に混乱することはない。

     大人が嫌いな高校生にオススメ。僕が読んだのもその頃でした。


     ちなみに、バラードの他の作品を読んだことがないので、作者の評価は出来ません。あしからず。

  • 短くて、簡単に読めるけれど、バラードらしからぬコクの無さ。

  • バラードの初期のSFにはずいぶんはまったものですが、こういうのは初めて読みました。

  • こわい。
    他人を傷つけるのも罪だが、自分を傷つけるのも罪だ。たとえそれが不可抗力でも。

  • これまで読んだ『狂風世界 』『ハイ-ライズ 』(テクノロジー三部作)、『結晶世界 』(災害小説シリーズ)と今回の『殺す』。すべて趣の違う作品だが、もしこの中から選ぶとすれば、この作品が一番面白い。

    閉ざされた感のある高級住宅地で起こった早朝の大量殺人、目撃者も無く子供たちが誘拐された理由も全くわからない。まさに謎だらけの事件を精神分析医のクレヴィルが解明していこうとする様子は緊張感があり一気に読む進めることができます。特にクレヴィルによる事件の再現シーンは手に汗にぎります。大体、出だしの20ページくらいで犯人の予想はつくと思いますが、その「犯人は誰かという謎」はあまり重要なことではありません。この本はミステリというよりサスペンス、「誰が犯人か」というよりも「何故、犯人なのか」というところが焦点だと思います。理想的な生活とは何だろうという現代社会の病を描いた作品だと思います。おすすめ。

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