悪女の品格 (ミステリ・フロンティア)

著者 :
  • 東京創元社
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感想 : 34
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  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488017965

作品紹介・あらすじ

悪女の私を殺そうとしているのは、誰? 幼い頃からクラスのヒエラルキーの頂点に君臨してきた光岡めぐみ。二十九歳になった今も、抑えきれない物欲を満たすべく美貌と手練手管を駆使し贅沢を味わっている。かつての同級生たちと三人同時に付き合ってそれぞれに貢がせているのだ。しかし、小学生時代に自分が行った同級生への仕打ちをなぞるかのように何者かに次々と襲われる。めぐみは婚活パーティーで知り合った山本と共に犯人を絞り込んでゆくが……?! 二転三転するストーリーに一気読み必至! 東大在学中にデビューを果たした期待の女性作家、待望の力作!

感想・レビュー・書評

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  • 三人の男を手玉にとって贅沢な生活を送るめぐみ。婚活パーティーで出会った男も上玉とふんで近づくが。金持ちの家に生まれ、子どものころから好き放題生きてきためぐみに次々と災難が降りかかる。

    小学生時代に彼女たちが行ったいじめはもはやいじめというレベルではない。復讐されても仕方がないよねと思えるし、現在の彼女自身のみじめな境遇も同情の余地はない。
    犯人の復讐心もわからなくはないけれど、同罪だよね。
    ヒロイン自身は「悪女」というのもおこがましい、そんな切れ者でもなければ覚悟もない女だったという話。

    しかし、どろどろじめじめでいくのかと思ったら、なんか爽やかに終わってしまって、読後感が悪くないのが逆に悔しい。確かにね~ いちばんの復讐だよね。
    きれいにまとまっていて、いいんだけど、いいんだけど。

  • 主人公のめぐみが一つもいいとこなしで、全く共感もできず、なんとなくずっと不快さを抱えたまま読み終えた。品格というか、ポリシーみたいなものは、彼女からは感じられなかったな。やっぱりただのクズな気がする。

    最後は意外にもあっさりというか。あの人は、それで気が済むのだろうか。どことなく仲良くなった風になっていて、ちょっと納得いかない。優しすぎるだろう。

    これまで読んだ辻堂さん作品とは、少し違う印象だった。

  • 3人の恋人を器用に転がし贅沢な生活をする主人公のめぐみ。
    そんな彼女に起こる様々な事件。その事件には小学校時代に行ったいじめが関係して…。といったかたちで進むストーリー。
    主人公があまりにも屑過ぎて気持ち悪いのだが、終盤にかけて転落していく様は、自業自得かつ痛快。
    結局見せかけの友情、人間関係のこじれってところという感じ。
    総じて真木くんの辛い時期を乗り越えて成功した人間としての貫禄。親の権力を笠にし見せかけだけ飾っただけの屑共とは雲泥の差でした。
    結局品格ってなんだったんだろ。

  • いわゆる「悪女」ものが好きだ。読んでいて、不快感はもちろんあるが、それを上回る「悪女」は読み終わった後、爽快感がある。この作品もそういう爽快感を期待して、読んだ1冊。
    3人の恋人を持ち、その恋人に貢がせて、生活をしている29歳のめぐみ。しかし、ある日、夜道で何者かに襲われ、清掃小屋に監禁される場面から、物語は始まる。
    監禁された場所には、脅迫文と思われる手紙が残され、その後もめぐみの周囲では不審なことが続き、めぐみは追手から逃れるために訪れた藤沢でスリに遭い、一晩の食費と交通費を工面するために参加した婚活パーティで知り合った山本と名乗る男と犯人を探ることに。しかし、山本の正体は…
    携帯会社を経営する父親と、一流女優を母に持つめぐみは幼い頃からヒエラルキーのトップに君臨し、小5の時に特待生で転校してきた男の子を徹底的にいじめる。そのいじめをなぞるように、次から次へとめぐみの周辺で不審なことが起きるのだが、当の本人はほとんど覚えていない。よく、いじめられた方は覚えているが、いじめた方は覚えていないと言うのは本当なのだろうか?よくそこまで忘れられるものだと、半ば呆れてしまった。
    そして、何より違和感は登場人物が全員小学校のクラスメイトと言うこと。「悪女」なのに、クラスメイトしか恋人に出来ないのか…とも思うし、主人公のめぐみが全然魅力的ではない。物語も悪女だから…と言うより、めぐみの過去が理由で起きる事件の話であり、ある意味、自業自得で、ラストも中途半端で、正直、かなり微妙だった。

  • なかなかこれは読んでて引き込まれる話だった
    小学校の時のいじめっ子
    社会人になってからの人間関係
    丁寧にうまく書かれている
    いじめられた側は決してそれを忘れない
    そしていじめる側に回っていたとしても忘れないものがある
    最後の一言に救われた気がしたけど
    やっぱり許せないな

  • 「普通になんて生きられない。金がないと」光岡めぐみは三人の恋人を器用に転がし貢がせ、贅沢な生活を送っている。ところがこの一週間、監禁や薬品混入など何者かに次々と狙われるようになり、そして彼女自身の過去の罪を告発する手紙が届く。めぐみはパーティで知り合った大学准教授と共に犯人を捜すが……。

    正直全く理解も共感も出来なかった。被害者はいつまでも加害者を恨み傷を負っているべきだとは思わないし、堂々と強く生きているのは非常に好ましい。でも最終的にスパダリ化するのはご都合がよろしすぎるのでは……何よりめぐみに一切悔いる気持ちも謝る気持ちもなさそうなのがなあ。結局一度も謝らなかったのは悪女らしいと言えばそうなのかもしれないけど。でもこのネタをやるにはこのタイプの主人公でしかあり得なかっただろうし、そういう意味では面白かった。犯人は早々に分かるけど、めぐみが酷い目に合うのは大変楽しく読んだ。もっとずんどこに落として欲しかったけど。何もかも失った割にあんまり傷はつかなかったように見えるのがなあ。
    あとシリアスな話を軽いキャラたちと爽やかな空気でまとめようとするのはもう辻堂先生の作風ということになるのだろうか……

  • 主人公のめぐみが小学校から陰湿ないじめを平気でやるような嫌な女で、29歳の今も三股かけてしかも相手を金勘定や仕事で選ぶような生活している。そんな中、めぐみは昔のいじめをなぞらえたような犯罪に巻き込まれ…という筋書きで、めぐみの過去や現在がメインの第一章は読むの止めようかと思うくらい胸くそ悪くなる話が続いたが、謎解き(犯人探し)メインになってくるあたりからはうっすら犯人がわかる展開ではあるものの、面白く読んだ。
    准教授、大人すぎるだろう。

  • 関係性の歪さとラストに向かうまでの心情が丁寧に描写されていたのと主人公の最初の妖艶な印象から少しずつ仮面がとれていくように印象が変わっていくのが良かった。

  • 最初、主人公のめぐみの性格と、いじめ描写と、いきなり登場する人物たちの姓と名とを覚えるのに読みにくさを感じました。途中、大学准教授とめぐみが本音でやり取りしだした頃から読みやすくなって惹き込まれます。准教授、やるなぁ。

  • 光岡めぐみ、29歳。かつての同級生たちと3人同時に付き合い、器用に転がし貢がせている。
    しかし、監禁や薬品混入など次々と狙われるようになり、婚活パーティーで知り合った山本と共に犯人を絞り込んでいくが・・・。

    「悪女の品格」というタイトルだが、悪女でもないし、品格もない。
    犯人探しはそれなりに面白かったが。
    (図書館)

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著者プロフィール

神奈川県生まれ。東京大学在学中の2014年、「夢のトビラは泉の中に」で、第13回『このミステリーがすごい!』大賞《優秀賞》を受賞。15年、同作を改題した『いなくなった私へ』でデビュー。21年、『十の輪をくぐる』で吉川英治文学新人賞候補、『トリカゴ』で大藪春彦賞受賞。

「2023年 『東大に名探偵はいない』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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