皆勤の徒 (創元日本SF叢書)

著者 :
  • 東京創元社
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本棚登録 : 348
感想 : 50
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  • Amazon.co.jp ・本 (342ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488018177

作品紹介・あらすじ

異形の天才、降臨。第2回創元SF短編賞受賞作にはじまる幻惑世界全4編。奇怪な造語に彩られた、誰も見たことのない世界を構築する卓越したSFセンス! 堀晃、大森望、日下三蔵推薦。

感想・レビュー・書評

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  • 「奏で手のヌフレツン」に続いて、作者の作品を遡ってみたくなり読んでみた。4つの短編からなり、表題作の「皆勤の徒」は、第2回創元SF短編賞受賞を受賞したのも納得の独自の世界観が構築されている。「奏で手の〜」で慣れたとはいえ、漢字の当て字が基本となる言葉遊びに溢れた文体は、求められる読む労力が高いので、あまり意味を考えずにビジュアルとして捉えて流し読むくらいが疲れなくていい。3つ目の作品までは、登場するのが異形な生物だらけでかなりグロい描写が連続するので、想像力豊かで昆虫や爬虫類や軟体系が嫌いな方は受け付けられないだろう。
    4つ目の「百々似(ももんじ)隊商」だけは現代風?な人類ぽい人々が登場し、かなり一般的な文章で、それまでの難解とも言える3作品のプロローグ的なわかりやすい導入支援作品となっている(と思う)ので、4つ目から読むというのもありかもしれない。が、いづれにせよ、すべてを理解しようとせず、まずは刹那を楽しむのがよいと思う。

  • 異様言語異様生物異様世界観で、意外にまっとうな筋をつけたらどうか!!?? という実験。
    とはいえ異様度のほうが大いに勝り、大森望の解説なしでは何ひとつわかるまい。
    ただやはり、どどんとぐちょぐちょと突き抜けた先に何かしらの詩情がある。これがいい。
    それにしてもよくこんな小説を。

    再読。

     序章
     断章 拿獲
    皆勤の徒
     断章 宝玉
    洞の街
     断章 開闢
    泥海の浮き城
     断章 流刑
    百々似隊商
     終章

  • こんなに解説が有難く感じたのは初めて。

  • 世界を本当に描写しようとするとおそらくこれだけじゃ物足りないだろう。理解しようとすることすら放棄される。
    本当はシンプルな構成を一度崩し、著者の世界で再構成されているので、この物語は、皆が書くように本当に人を選ぶ、というか忍耐がいる。あまり読み方はおすすめしないけど、
    おそらくこの本にすると、解説から読むと良いかもしれない。ネタバレしても十分に面白い。というか大局観をつかめないと、途中で投げ出してしまうだろう。

    ある意味、多様性という概念が存在しなくなり、その分、わたしという存在や、名前、所属がより重要になるということを全く違う世界において表現し、差別と区別の違いを理解しようとすればするほど強く感じる。
    僕にとってこの本はSFの体裁をとっているが新しい純文学の扉を開いて閉じてしまったような感覚だった。
    それほど読むのに力がいるが、吸い込まれ、没頭できず、反芻し、消化しきれず、あるがままを受け入れることしかできないような物語だった。

  • 第2回創元SF短編賞受賞作。
    非常に映像を喚起する文章でグロテスクな世界が描かれる故に、ビジュアル的な小説のような印象を持ってしまうが、全て読了すると言語実験的要素が強いように感じた。固有名詞や、漢字の置き換えのセンスが素晴らしい上に、日常的な語彙とのバランス感覚に優れている。
    随所に添えられた挿絵の画風も好み。もっと早く買っておけばよかった……。

  • 表現だけでだいぶ損してる、でもそれ抜くと普通な気も…

  • "濃厚"なSFです、僕にはまだ早かった。

  • 解説読むまで何事がバックボーンで進行しているのか、類推しかできませんでした。
    密度の高い、パリンプセストのようなお話。
    日本語でしか味わえない重層意味の用語多数のうえ、主観者がゆらぐため、読者(読める者)を選ぶ。
    「なんも考えずに、作家の書いた文字列をそのまま再構築してそこで得られる情景を楽しめる」タイプの本ではない。
    かような理由で読者を選ぶ。
    選ぶのですが、読む技能が相応にあると、色々考えながら再読、再再読するのが、大変なのに楽しくなる一冊。

    ですので星5つ。

    話の筋をあらかた理解したうえで読みなおすと、異種の異種っぷりが気持ちいいくらい地の文に浸透してるのです。「肘にふれる」とか。
    ももんじ可愛いよももんじ。もふり回したい。

  • 図書館で借りてみたけど、これを読み解くエネルギーは出ないわ。ダメだ。

  • 表紙は違うようですが、収録されている全ての挿絵を酉島先生ご自身が描かれているという事実にまず震撼
    す、すごい……
    造語に次ぐ造語の嵐に、不可思議な漢字の羅列を目にしているだけで小宇宙にどっぷり浸かるかのよう…
    凄い脳内の人だ……

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