- Amazon.co.jp ・本 (297ページ)
- / ISBN・EAN: 9784488023805
感想・レビュー・書評
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第十四回鮎川哲也賞受賞作。
終戦直後の昭和21年春、戦友の祝言に出席するために沖合の島に渡った乙文(おとふみ)明。戦地で別れて以来の再会と戦友の結婚を祝い、ホッとしたのも束の間、翌朝新郎新婦が無惨に殺されているのが発見され…。
横溝先生の『獄門島』を彷彿とさせる〈鬼角島〉。余所者に対する島民たちの冷ややかな態度、仲の良くない二軒の網元、戦友絡みで島にやって来た男。『獄門島』は戦死を伝えに来たのだが。
しかし新郎新婦が密室で惨殺されている事件が起こり『本陣殺人事件』ぽくなってくる。
実際作中に『十年ほど前に岡山県で起きた、新婚夫婦の殺人事件』という記述があり、やはり金田一シリーズを意識した作品だと分かる。
さらには十九年前には一方の網元の当主が殺され、もう一方の網元の当主が失踪するという、『悪魔の手鞠唄』みたいな設定の事件も起きている。
金田一シリーズ大好きな人間としてはワクワクせずにいられない。
しかしその先は、主人公が探偵役だと思っていたら別の探偵が現れて、しかもちょっと手懸かりを発見したらあっさりと島を離れたり、その直後に新たな事件が起こったり振り回される。
終盤には力業のような謎解きが行われるが、それがあっさりと覆り別の謎解きが始まるところなど、三津田信三さんっぽくもある。
だが最後のお遊びの設定を見ても、やはり横溝作品を意識した作品のようだ。
巻末の選評にもある通り、文章は荒い。指摘された部分は校正されているようだが、主人公の乙文同様に直情的で猪突猛進な印象。しかし受賞時19歳というのだから、若さによる勢いと見ることも出来る。
謎解き部分はなかなか面白かった。島の怖い伝説とも上手く絡めてある。
2003年の受賞作だが、調べるとその後は書かれていないようだ。同時受賞だった岸田るり子さんはコンスタントに作品を出されているが、作品を書き続けるのは大変なことなのだろう。 -
島に残された忌まわしい伝説や猟奇的殺人など、ミステリーとして魅力的な要素はあるが、普通なら重みのあるその雰囲気を変に軽薄にしてしまっているのは、文章のまずさが原因か。それでも後半は面白かったので、今後に期待したい。
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鮎川哲也賞受賞作。こーいう雰囲気の作品好き。
2008.6.30
金田一シリーズ『獄門島』『本陣殺人事件』と読んで、次は『悪魔の手鞠唄』を
読もうと思ってたので、...
金田一シリーズ『獄門島』『本陣殺人事件』と読んで、次は『悪魔の手鞠唄』を
読もうと思ってたので、fukuさんのレビューに、ビビビときました。
何だか面白そうな作品ですね。
読んでみたくなりました(*^^*)
コメントありがとうございます。
金田一シリーズのテイスト満載なのでニヤニヤしながら読みました。
主人公のキャラクターは好...
コメントありがとうございます。
金田一シリーズのテイスト満載なのでニヤニヤしながら読みました。
主人公のキャラクターは好みではありませんでしたが、謎解き部分は読み応えがありました。
二段組ですが字は大きめですしテンポ良く読めました。
『悪魔の手鞠唄』を読み終えたら、
読んでみようと思います!
2段組!ちょっとビビってます...
『悪魔の手鞠唄』を読み終えたら、
読んでみようと思います!
2段組!ちょっとビビってますが……笑