福家警部補の考察 (創元クライム・クラブ)

著者 :
  • 東京創元社
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  • Amazon.co.jp ・本 (244ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488025571

作品紹介・あらすじ

地位と愛情を天秤にかける医師の誤算(「是枝哲の敗北」)、夫の企みを察知し機先を制する料理好きな妻(「上品な魔女」)、身を挺して師匠の名誉を守ろうとするバーテンダー(「安息の場所」)、数年越しの計画で恋人の仇を討つ証券マン(「東京駅発6時00分 のぞみ1号博多行き」)――犯行に至るさまざまな事情と慮外の齟齬。透徹した眼力で犯人の思惑を見抜くシリーズ最新刊。

感想・レビュー・書評

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  • 倒叙形式ミステリーシリーズ第五作。
    一見粗忽で現場の責任者には見えない福家警部補が今回も犯人をグイグイ追い詰める。
    シリーズも第五作になるとマンネリ感もあるが、久しぶりに読むとやはり面白い。

    自信家の犯人のちょっとしたミスを見事突いてみたり、なかなか尻尾を出さない犯人を罠に掛けてみたり、被害者の残した罠を突き付けたり、あの手この手で追い詰めていく。
    今回の変わり種としては、第二話の「上品な魔女」と呼ばれる罪悪感や良心を持たない怖い犯人と、第四話の新幹線の中で犯人を追い詰めていくパターン。

    倒叙形式なので犯人視点で物語が展開していくが、読者には伏せられている点や犯人も知らない点があって、それが最後に犯人の息の根を止める点にもなるところが面白い。
    また今回も皮膚科の伊師とMR、バーテンダーに証券マンなど様々な職種の人間が出てくるが、福家の博識にも感心させられる。

    大倉さんファンとしては〈いきもの係〉シリーズの日塔警部補が登場したり須藤が名前だけ出て来てニンマリさせられた。

    ハッキリ言えることは、福家警部補に睨まれたなら決して逃れられない。徹底的に調べられ何度でもやってきて、ついに陥落させられる。
    それは例え聞き込みの中で知った過去の事件であっても同じ。だが道を外れかけた若者を目覚めさせることもある。

    相変わらず身分証を忘れたり身だしなみもグシャグシャなままだったりの福家だが、一番は死体と一緒に閉じ込められた事件だろう。また二岡も相変わらず振り回されているが福家に付いていけば間違いないだけにやりがいはありそうだ。

  • シリーズ第5弾。
    倒叙形式だから、犯人の動機がはっきりしていて、その身勝手さがよくわかる。
    だからこそ、容赦なく追及していく福家警部補が、痛快。
    不眠不休で、あいかわらずタフ。
    捜査担当ではないのに事件にかかわるなど、いつもと違ったアプローチが新鮮。
    今回は今までに比べて、ややドジっ子色が薄かったような。
    福家警部補も成長しているということ?

  • シリーズ第5弾。今回もすごく面白かった。大満足。

    犯人を追い詰めていく過程で、福家警部補に事情聴取をされる人々がいる。彼らはいつも何気なく存在しているが、福家警部補に出会い、福家警部補の「ひと言」で人生が好転する様子を読むたび、こちらも活力を与えられるかのよう。

    続編まだかな。

  • 倒述でお馴染みのシリーズ。今回は、福家警部補のスーパーマン的要素が薄く、可愛らしい印象だった。トリックも派手すぎず、臨場感があり、犯人に共感できない感じもなく読みやすい。
    新幹線の話は、たまたま隣の席に座った人が犯人と見抜くという、古畑任三郎でも相棒でもよくあるシチュエーション。ドラマ的。

  •  福家警部補シリーズ第5弾。多分4作目は読んでない。以前の作品も、ブクログに登録してないっぽい。すべて短編集で、最初に犯人がわかっている、叙述?スタイル。

    是枝哲の敗北…皮膚科医の犯行。巻末に、アドバイスをもらった医師として、実在の是枝先生がいた。感謝の気持ちでタイトルにつけのかな?。

    上品な魔女…主婦が研究者の夫を殺害。サイコパスなの?罪悪感なく利己的な行動や思考の犯人。なんなら中編でもたのしそう。

    安息の場所…女性バーテンダーの犯行。

    東京駅発6時00ふん~…証券会社勤務の男性が、恋人の敵を取って、次の復讐に向かう。しかし、新幹線で乗り合わせたのは福家。

    福家警部補ってあんまり個性がない。仕事ができるけど、整理整頓は苦手、おしるこが好きってのもあんまりキャラ立ちにはなってない。だからこそじりじり理詰めで追い詰めていく様子がこわい。犯人がだんだんそわそわし出す様子がよくわかる。

  • 今回もテンポ良く犯人を追い詰めていくので痛快。古畑任三郎が好きならぜひ読んでほしい。そういえば古畑任三郎も警部補だった。

    今回は福家警部補がどの時点から犯人の目星をつけているのかが知れてよかった。

    しかし、事件解決の犯人の心情をもう少し掘り下げてもらえると、さらに読了感が良くなると思うんだけど。

  • いわゆる古畑任三郎系。

  • 収録作品:是枝哲の敗北 上品な魔女 安息の場所 東京駅発6時00分のぞみ1号博多行き

  • 「是枝哲の敗北」「上品な魔女」「安息の場所」「東京駅発6時00分 のぞみ1号博多行き」 しょうもないのもあるけど、気がつかないで、見逃してあげてって思ってしまう動機の殺人もある。福家はでも、絶対に見逃さない。他人の動向を見逃さないから、犯人は追い詰められるし、逆に救われる人もいる。 倒叙ミステリはどんどん追い詰められるのが本当にどきどきする。 ただ、福家は警察に見えないから、最初にとにかく名乗りなよ、ってなっちゃう。長所と短所が、どっちなのかわからなくて、そこも面白いんだけど、やっぱり少々しつこい。進むものがなかなか進まなくて、ハラハラする展開の時はイラッとする。終わってみると、そこも面白いのだけども。

  • 読みだすと止まらないんだよね。
    個人的にはもう少し「何故わかった」の部分が鮮やかなのを期待したい。

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著者プロフィール

大倉崇裕(おおくら たかひろ)
1968年京都府生まれ。学習院大学法学部卒業。97年、「三人目の幽霊」で第四回創元推理短編賞佳作を受賞。98年、「ツール&ストール」で第二十回小説推理新人賞を受賞。2001年、『三人目の幽霊』でデビュー。代表作である白戸修シリーズ、福家警部補シリーズ、警視庁いきもの係シリーズは、いずれのシリーズもTVドラマ化されている。

「2022年 『殲滅特区の静寂 警察庁怪獣捜査官』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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