ぬいぐるみ警部の帰還

著者 :
  • 東京創元社
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本棚登録 : 307
感想 : 66
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  • Amazon.co.jp ・本 (237ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488027193

作品紹介・あらすじ

「お弁当ぐるぐる」(『赤い糸の呻き』所収)から生まれた、音無警部(←ぬいぐるみ好き)&則竹女史(←音無にぞっこん)コンビが活躍する、ユーモア本格推理。五編収録。

感想・レビュー・書評

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  • 容姿端麗で頭脳明晰。若きキャリア音無警部の隠された(?)趣味はぬいぐるみを愛でること。
    叩き上げのベテランで一見、気難しげな職人肌の江角は、ミーハー気味なミステリオタク。
    男社会に舐められないよう男性を寄せ付けない態度の則竹は、音無の容姿に内心ではメロメロ。
    唯一、まともな桂島は若手なのであまり口出しはできず――。

    「ウサギの寝床」
    開かないはずの金庫が開いていた謎と、三匹セットのウサギのぬいぐるみが一匹だけ被害者のベッドに落ちていた謎。

    「サイクル・キッズ・リターン」
    通り魔と思われた事件現場に残された遺留品の謎。
    それは一件目の被害者の生徒手帳だっだが、連続犯行の表明にしては間が開きすぎている。犯人の意図はどこにあるのか。

    「類似の伝言」
    ダイイングメッセージは「○」か「C」か?
    一枚だけ傾いたパネルの写真と、12年前の限定モデルのぬいぐるみが持っていた遺書の真意とは。

    「レイディ・イン・ブラック」
    階段の踊り場に残された不燃ゴミの謎。
    そして、殺害された画家がご執心だった黒衣のモデルの正体は?

    「誘拐の裏手」
    妻を誘拐された男。誘拐犯の指示に従い、あちこち走りまわされたのに目の前で妻を殺される。怒りにかられた男は誘拐犯を手にかけ――。
    本当の被害者は誰か、もしくは、本当の加害者は誰か。

    キャラクターがそれぞれおもしろい設定なのに、どれもあまり前に出なくてもったいない気がした。
    そもそも帯に偽りありだと思う。(※)
    ぬいぐるみがカギになるのは1話目と、うーん3話目もかなぁ、という程度だし、音無と則竹がコンビでもないし、本格推理だけどユーモアはそんなにない。
    あとがきで「殺人事件がメインになる以上、ある程度シリアスにならざるを得ない」とあって、それはその通りだけれど、やっぱりキャラ設定から想像するようなもう少しライトなノリでもよかったのでは、と思う。
    続けて「多少はシリアスになっても、ダークな後味には陥らないように自分では心がけたつもりですが」とあるけれど、どれも救いがなく、やり切れない気持ちになるお話ばかりで、これまた、もう少しライトでもよかったのにーと思う。

    追記:※帯
    「ぬいぐるみは見ていた。/現場に遺されたぬいぐるみは何を語る?
     イケメン警部の音無+彼にぞっこんの則竹女史コンビで贈るユーモア本格推理」

    ・・・・・・・・・・・・・・・・
    一番驚いたというか、印象に残ったのが、「レイディ・イン――」で、飲料の容器を必ず水で洗って乾かす習慣を、「潔癖症というか神経質」と、書いてあったこと。
    えええーっ!わたしもそうするよ!神経質どころか、自慢じゃないけどズボラだよ!
    しかも理由が「他の者にはまったく感知できない程度の飲料の残り香が気になって仕方がないから」・・・いやいやまったく感知できないってことないでしょ!すんごく匂うよ!特にアルコールは!
    と、あまり内容に関係のないところにツッコミ入れまくりでした。

    • nejidonさん
      九月猫さん、こんにちは♪
      ☆みっちゅ(あ、間違えちゃった)とは、なかなか微妙な作品のようですね。

      【飲料の容器を必ず水で洗って乾かす習慣を...
      九月猫さん、こんにちは♪
      ☆みっちゅ(あ、間違えちゃった)とは、なかなか微妙な作品のようですね。

      【飲料の容器を必ず水で洗って乾かす習慣を、「潔癖症というか神経質」と、書いてあったこと。】
      これは確かに「ええ~!?」ですね。私も必ずやります。
      何回か水をかえて、しゃっしゃっごぼごぼごぼって。
      そして、その下の九月猫さんの一行【自慢じゃないけどズボラだよ】で爆笑です。
      ストーリー以外で妙に気になってしまう部分て、ありますよね。
      無いほうがいいんですけどね。
      2013/07/26
    • 九月猫さん
      nejidonさん、こんばんは♪

      はい、わたしにはビミョーな作品でした(笑)
      ☆みっちゅ(マネっこ♪)の振り幅を広くしているので☆3...
      nejidonさん、こんばんは♪

      はい、わたしにはビミョーな作品でした(笑)
      ☆みっちゅ(マネっこ♪)の振り幅を広くしているので☆3ですけれど、
      気持ち的には☆2.5です(^-^;)
      帯の言葉(レビューに追記しました)で想像していたお話と
      ずいぶん違っていたのが敗因かなぁと。
      特殊なキャラ設定していない推理モノとして書かれた作品だったら、
      もっと好意的なレビューになっていたと思います(^-^;)

      >何回か水をかえて、しゃっしゃっごぼごぼごぼ
      ねー、やりますよねーーっ!!
      いやホント自慢じゃないけどというか、自慢しちゃダメだろーってくらい
      ズボラなんです。なのになぜか、周りには几帳面に思われてるので、
      誤解してる方たちには片っ端から謝りたいくらいです(笑)

      妙に気になる部分、ないほうがいいですよねぇ。
      特にミステリでは、ないほうがいいですよねぇ。
      2013/07/28
  • ぬいぐるみ大好きイケメン警部という設定だけど、中身はちゃんとした本格ミステリー。推理力のある人は途中で展開読めたりするのかな。続編も読むつもり。

  •  音無警部のイケメンもぬいぐるみ好きもミステリおたくの江角刑事もも一ついかされていない。人物をもう少し書いてくれないと登場人物に肩入れできない。文を軽くして読みやすくしているんだろうけれど、話の終わり方も唐突な感じがする。

  • 短編連作には複雑すぎる心理と真相。「類似の伝言」の愛の在り方が凄まじい。

  • 映像でみてちょうどいいくらいかも(映像化されてないけど)。ちょっと読むのは浅め。

  • 殺人事件の現場にあったぬいぐるみたちが語る事件の真相とは。

    ぬいぐるみをこよなく愛する超絶イケメンの音無警部。
    個性豊かな部下の江角と桂島と佐智枝。

    会社経営者の娘の死と、開けられた金庫とベッドにころがっていたうさぎ。

    自転車に乗っていた中高生たちのいっけん無差別による殺人事件。被害者の文化祭で展示されるぬいぐるみのために、事件解決に全力を注いだこと。

    人間関係がないに等しかった写真が趣味の自宅で殺害された被害者が持っていたのは、天涯孤独を埋めてくれるプレゼントされたぬいぐるみで、それによって導かれた犯人。

    マンションをアトリエにしていた画家の卵の男の殺人事件で、被害者のモデルをしていた青年が母に送ったぬいぐるみと、彼らの関係と、すぐ近くにいた犯人。

    歳の離れた夫の義母の介護に疲れてしまった若い妻と、人生に絶望していたヘルパーがかけの印に使ったぬいぐるみと誘拐劇。

    上から目線だけど、ありきたりすぎず、わかりにくくもなく、わかりやすくもなく、ちょうど良い事件。

  • 帰還?と思ったら一つ前作品があるんですね。そちらを先に読んだ方がもっとキャラがつかめて楽しかったのかもしれません。一編目はキャラをつかみ損ねているうちに短編なのでさらっと事件解決まで行ってしまった感じがありました。ですがキャラがわかってくるとこの設定がなかなか楽しかったです。事件自体は苦かったり重かったりするものもありますがどれも意外とあっさりしている印象です。もちろん謎解きなどはきちんと計算されていて安心して読めますが。前作が載っているという「赤い糸の呻き」も読んでみたいと思います。

  • 刑事にはもったいないほどのイケメンの音無警部,推理もキレるのだが,ただ一つの弱点は無類の《ぬいぐるみ好き》であること。これぞと思うぬいぐるみを見つけると,そこが殺人犯行現場であろうともお構いなしに欲しくてたまらなくなる。だが,ぬいぐるみがきっかけで真相を見破ることも多々あり。【ミステリ小説としてはちょっと薄味なのが残念】

  • 音無警部といい個性的なキャラが多い作品。
    少しギャグ色が強いのが人によって好みが分かれるところであるが、個人的にはミステリーらしくなく面白かった。
    もう少しで評価4だったんだけど、惜しかった。

  • イケメンキャリア警部なのに、ぬいぐるみ好き。
    ベテラン刑事なのに、ミステリオタク。
    クールで有能なのに、脳内では恋愛妄想。
    コミカルなキャラそろいで、たのしい。
    刑事なのに、殺人現場で「名探偵」「ダイイングメッセージ」といったキーワードにウキウキしてしまう江角が、特に笑える。
    ユーモアミステリだけど、事件そのものはわりとブラック。
    続編もあるようなので、読んでみたい。

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著者プロフィール

1960年高知県生まれ。米エカード大学創作法専修卒業。
『聯殺』が第1回鮎川哲也賞の最終候補となり、1995年に『解体諸因』でデビュー。同年、『七回死んだ男』を上梓。
本格ミステリとSFの融合をはじめ、多彩な作風で次々に話題作を発表する。
近著に『夢の迷い路』、『沈黙の目撃者』、『逢魔が刻 腕貫探偵リブート』などがある。

「2023年 『夢魔の牢獄』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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