秘密組織【新訳版】 (創元推理文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488105518

作品紹介・あらすじ

【名作ミステリ新訳プロジェクト】第一次世界大戦が終わり、平和が訪れたロンドンで再会した幼馴染みのトミーとタペンス。仕事のないふたりは、〈若き冒険家商会〉を設立し「仕事を求む。内容、場所は不問。高額報酬必須」という広告を出そうと相談していた。たまたまそれを聞いていた男がタペンスに怪しげな仕事を持ちかけ、ふたりは英国の危機に関わる秘密文書争奪戦に巻きこまれて……。男女コンビ“トミー&タペンス”初登場作品が、生き生きとした新訳で登場!

感想・レビュー・書評

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  • トミー&タペンスをドラマで見たことがあり、古典は苦手意識はあるが新訳と聞いて手に取る。ドラマ版では中年感があり夫婦だったけど、それよりも前の話(第一話は見てなかったのかも)二人とも若々しく、意外に二人で行動してる時間があまりないのも新鮮で最後まで楽しめました。

  • トミーことトマス・ベレスフォードとタペンスことプルーデンス・カウリーの素人探偵を主人公とするトミー&タペンスシリーズの第1作。二人が若き冒険家商会を立ち上げる、ライオンという喫茶店でその会話を聞かれたことから事件に巻き込まれていく。そのあまりにも早すぎる展開がおもしろい。

    時代は第一次世界大戦が終わって、一時的でも平和な空気になっているロンドン。大都会の開放的な雰囲気が感じられ、新しいスタートを切ろうという雰囲気に二人が感化されているのがよく現れています。。タペンスは7人姉妹の家族に生まれ、その女性らしさを求められる堅苦しい生活にいやけがさして逃げてきている。短いスカートをはき煙草をすう、そして経済的に自立しようとする野心をもった進んだ考えをもった女性だ。出産したあとに小説を出版しだしたクリスティもタペンスの人物像にはこだわりがあると思います。一方、トミーはそんなタペンスを焚き付けるだけ焚き付けといてビールをごくごく飲むような脳天気な男。彼はタペンスの活躍に感化するように活動していく。ミス・マープルのような洞察力や人間の魅力で事件を解決に導くのとは真逆の猪突猛進方式で周囲の人間を巻き込んで物語を展開していくのがこの小説のたのしさです。

    トミー&タペンスシリーズはこの『秘密組織』(1922年)のあとに、『NかMか』(1941年)で中年になった二人を、『親指のうずき』(1968年)で初老の二人を、『運命の裏木戸』(1973年)では老人になった二人を主人公にしているらしい。二人がどのように成長しているのか、次の新訳発売をたのしみにしたいと思います。二人でリビングで紅茶をのみながら事件を解決するなんて風にまったく変わっていたら面白いですね。

  • トミーとタペンスシリーズ、新訳といえるのかな・・私は初読だけれど。
    もはや、歴史の一コマになっている時間1916年に実際起きたルシタニア号の沈没遭難事件に問う作品の発端が起きている。

    裏表紙にある登場人物の【ミスター・ブラウン】が?になっているのが作品の大きなポイント。
    最近の推理作品になれた脳みそにはシンプルかつ歯切れのよいセンテンスがとっても読みやすい。
    一日でだれることもなく読了。
    話の骨子のわかりやすさ、むろん良質の訳文ということもあるけれど、さすが若きクリスティが満を持して世に発信させただけのことはある。

    訳者の語りに載っていた【登場人物の命名の由来】もウィットが利いていて面白い。

  • 第一次世界後、ロンドンで再会した幼馴染みのトミーとタペンス。仕事がない2人は会社を設立し、〈仕事を求む。内容、場所は不問。高額報酬必須〉という広告を出そうと相談していると、怪しげな仕事を持ちかけられて…それが2人を英国の命運に関わる秘密文書争奪戦に巻き込まれる。
    若い実績のない2人が、いきなり秘密文書についての事件に巻き込まれるにはちょっとビックリしたけど、2人の冒険に目が離せなくなってしまった。トミーは?タペンスは?無事なの!?ってハラハラしました。

  • クリスティの作品だけど
    今まで読んだものとは違ってどうかなと思ったけど
    十分に面白かった
    若いカップルの頭と向こうみずな行動力
    人物描写が素晴らしいので読み進むのに
    時間はかからなかった
    この人がミスターブラウンかと疑った人物
    途中で修正させられたけど
    最後はやはりだった

  • 2023/5/23読了
    2人合わせて45歳に満たないトミーとタペンス初登場作。『変わりばえのしない毎日でも、せめて物語の中で冒険の喜びとスリルを味わいたいと願うすべての人々に』という、巻頭のクリスティの言葉に自信が滲む。しかもこれがデビュー2作目、時に31歳……! これが、若さか……。

  • 第一次世界大戦が終わり、平和が訪れたロンドンで再会した幼なじみのトミーとタペンスは、「若き冒険家商会」を設立、仕事を求めて広告を出そうと相談。たまたま、それを聞いていた男がタペンスに怪しげな仕事を持ちかける。それをきっかけに二人は英国の命運に関わる秘密文書争奪戦に巻き込まれ、命の危険にもさらされることになる。   
    ドイツの潜水艦Uボートに魚雷を撃ち込まれ、沈没寸前の大型客船ルシタニア号で機密文書を受け取り、その後、失踪したアメリカ人女性、ジェイン・フィンの行方が物語の焦点になる。
    また、黒幕となる謎の人物、ミスター・ブラウンの正体が誰なのかにも興味がいく。ただ、この点に関しては、途中で予測ができ、ラストは違ったかなと思わせられながらも、結局は予測どおりだった。
    冒険好きでおてんばなタペンスと、慎重で明晰な頭脳を持つトミーのコンビネーションやお互いへの思い、そして彼らの危険を顧みない大胆な冒険推理がこの作品の醍醐味だが、突飛過ぎる行動についていけないところもあった。
    1917年、ロシアで起きたボルシェビキによる10月革命、イギリスにおける労働党の躍進といった激動の政治と歴史が背景に取り込まれており、時代感のある作品でもある。この点に関しては、「名探偵ポワロ」と同様である。

  • ワクワク感があふれた良い訳で嬉しい。 大好きなトミー&タペンスの活躍を新たな気持ちで味わえた。

  • 新訳!
    クリスティの新しいものが読めると思うと訳違いだけであっても嬉しい。
    ミステリではなく冒険物もクリスティは楽しい。トミーとタペンス最高。

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著者プロフィール

1890年、英国、デボン州生まれ。本名アガサ・メアリ・クラリッサ・ミラー。別名メアリ・ウェストマコット、アガサ・クリスティ・マローワン。1920年、アガサ・クリスティ名義で書いたエルキュール・ポアロ物の第一作「スタイルズ荘の怪事件」で作家デビュー。以後、長編ミステリ66冊、短編ミステリ156本、戯曲15本、ノンフィクションなど4冊、メアリ・ウェストマコット名義の普通小説6冊を上梓し、幅広い分野で長きに亘って活躍した。76年死去。

「2018年 『十人の小さなインディアン』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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