闇からの声 (創元推理文庫) (創元推理文庫 M フ 2-2)

  • 東京創元社
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  • Amazon.co.jp ・本 (328ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488111021

作品紹介・あらすじ

隠退した名探偵リングローズはイギリス海峡に面した旧領主邸ホテルに招待された。ところがその夜、彼の耳に闇をつんざく幼児の悲鳴、恐怖のどん底におののく、いたいけな叫びが聞えてきた。生来子供好きのリングローズは事情を調べようと思って翌朝ホテルの中を捜してみたが、それらしい子供は見あたらなかった。声は確かに聞えたのに、その声の主はいないのだ。すると、不審の念にかられたリングローズに、同宿の老婦人が説明してくれた-その子供は亡くなったのですよ。このホテルで一年以上も前に、と。名作「赤毛のレドメイン家」と並んで推理小説史上に、不滅の光茫を放つ傑作。

感想・レビュー・書評

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  • 古畑任三郎を彷彿とさせるような、最初に既に犯人が分かった上で尻尾を出させるために行動するという流れが面白かった。(この手法を倒叙ミステリーというらしい。覚えとこう。)
    ラストが意外。もはや少年の助けを呼ぶ幽霊の声は怪奇現象として片付けられると思ってたのにちゃんとネタばらしがあったのも痛快で良かった。
    これが57年前に書かれたなんて!

  •  いわゆる倒叙もの。だが、スケールがでかい。場所はイギリスからイタリア、期間も1年近くを要している。
     探偵(元刑事)と犯人との心理戦が見どころの1つのだが、現代的にみると、今ひとつ。
     ラストは、少しほんわかさせられる。

  • 隠退した名探偵リングローズはイギリス海峡に面した旧領主邸ホテルに招待され、その夜、彼は闇をつんざく幼児の悲鳴、恐怖のどん底におののくいたいけな叫びを聞きます。
    生来子供好きのリングローズは事情を調べようと思い、翌朝にホテルの中を捜してみますが、それらしい子供は見当たりません。
    声は確かに聞えたのにその声の主はいないのです。
    すると不審の念にかられたリングローズに同宿の老婦人がその子供はこのホテルで1年以上も前に亡くなったのだと説明してくれます。
    名作「赤毛のレドメイン家」と並んで不滅の光茫を放つ傑作です。

  • フィルポッツの名作のひとつ。滞在したホテルで寝ていたとき少年の悲鳴がリングローズの耳に響く。彼はかつてそこで一人の少年がなくなったことを知り、それが殺人だということに気付き犯人の目星もついた。しかし、証拠はなく逮捕させるために彼は捜査を開始する。犯人はわかっているのでどうやって追い詰めていくのか、をみる心理小説です。地道な捜査なので迫力がなく少々退屈でした。ただ、対象者への巧妙な近づき方や揺さぶり方がわかりやすく、対象者の心理状態が巧みに描かれていてよかったです。最後の犯人との対決も迫力あるシーンでした。

  • 『赤毛のレドメイン家』よりずっと面白い??

  •  フィルポッツの作品。昔読んだ気がしていたが、たぶん読んでなかった。赤毛のレドメイン家と並ぶ傑作という扉の惹句ではあるが、ちょっとそこまではという感じ。遺産相続に関連する貴族子弟の謀殺事件に首を突っ込むことになった元敏腕刑事リングローズが、正体を隠しながら犯人を追うというストーリー。犯罪そのものは単純で犯人も明かされているので、謎解きというよりは手段を尽くして犯人をじわじわ追い詰めていくプロセスが主題となっている。話がうますぎるところが多々あって、まあ古き良き時代のミステリ感横溢という感じ。およそ100年前の作品であり、現代の尺度で評価するものではないのだろう。

  • 素晴らしく重厚でありながら軽妙な結末も見せる大傑作探偵小説。「赤毛のレドメイン家」と並んで面白い。フィルポッツ凄い。

  • フィルポッツと云えば『赤毛のレドメイン家』と連想されるように、あまりそれ以外の作品については巷間に知られていない。しかし、逆にそれが仇になっていると私は思っている。
    はっきり云って『赤毛~』は今読むとミステリの歴史に燦然と輝く名作かと訊かれれば、万人が万人とも首肯するとは限らないだろう。昔のミステリにありがちな冗長さを感じるし、同じアイデアでもっと優れたミステリが現在では存在しているからだ。だから『赤毛~』を読んで、「なんだ、フィルポッツとはこんなものか」と思われ、それ以外の作品に手を伸ばしていない方々が多くいると思う。しかし、私はそれは勿体無いと思う。なぜなら私は『赤毛~』よりも本書の方が面白いと感じたからだ。
    本書は全く『赤毛~』とは設定が違う。なぜなら犯人は誰だという謎解きがあるわけではない。犯人は事前に解っており、探偵はその犯行を暴くために存在している。では倒叙物かと云われれば、そうとも云いきれないところがある。あえて云うならばサスペンスの部類に入るだろう。

    本書の主人公は引退した刑事。彼が招待されたホテルで床に就くと闇から聞こえる子供の悲痛な叫び声。しかし子供の姿はどこにも見えなかった。気味悪がった刑事は宿泊客の1人、老婦人にその話をすると、それはこのホテルで亡くなった少年に違いないという。その婦人によればその少年は貴族の息子で、父親と付添夫とで滞在していたが、夜毎彼の叫び声が聞こえ、とうとう衰弱死してしまったのだという。元刑事はその2人が犯人に違いないと見当をつけ、犯罪を証明しようとするというのがあらすじ。
    幽霊からのメッセージといささかオカルティックな導入で始まる本書の主眼はこの元刑事と犯人と目される男との頭脳戦・心理戦を楽しむ作品だ。

    人間を描くという意味で、既に文学界の大家だったフィルポッツの実力は十分であり、この対決も様々な駆け引きが成され、読み物として楽しめる。『赤毛~』が視覚的に鮮烈なイメージの導入であったのに対し、本作では題名どおり「闇からの声」と聴覚的な導入であるのもなかなか興味深い。

    で、本作はホラーではなく、ミステリである。従って冒頭の幽霊からのメッセージも合理的な説明がなされる。私は当時この真相が気に入らなくて、評点を1つ下げたのだが、今ならば、確かにこういうトリックはありえるなぁと思える。
    ぜひ読むべきという作品ではないが、読むと意外に面白いといった類いの作品である。

  • 回りくどい説明。進まないストーリー。
    これは読破できない。
    断念。

  • この古さで、単なる犯人探しではないこんな作品をねー。

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