血の収穫 (創元推理文庫 130-1)

  • 東京創元社
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感想 : 10
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  • Amazon.co.jp ・本 (314ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488130015

感想・レビュー・書評

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  •  こちらも「名無し」の探偵なのだが。
     銃声と、血と、そして血。

     悪徳がはびこる街を訪れた探偵。
     自らの手を血で汚しながら街の悪を潰していく。
     が、そのやり方は本当に正義なのか。

     単純な勧善懲悪などではなく、
     やり口もきれいでもない。

     西部劇に出てくるアウトローのような。

     そう思うと、この手の設定は西部劇を始め、
     日本で言えば時代劇ドラマや、小説、漫画でも見かけてきた。
     「吸血鬼ハンターD」も思い出すし、
     「北斗の拳」だって、その繰り返しをしながら前に進んでいたような。
     シリーズものでバイオレンスや、戦いを描くとこうなるのかな。

  • ハードボイルドの原点。黒澤明「用心棒」馳星周「不夜城」に多大な影響を与えた作品。ということで、馳ルートから知って読んだ。なるほど。「不夜城」と話の構造が似ている。が、やはり影響を公言できるくらいは馳星周は自作に独特の色彩を帯びさせているとも思う。個人的には「不夜城」の方が面白かったけどこの作品も十分に面白かった。

  •  面白かった( ´ ▽ ` )ノ
     まさに「毒をもって毒を制す」、ハブ殺しにマングースを持ち込んだどっかの島の話みたい( ´ ▽ ` )ノ
     映画「用心棒」の元ネタながら、主人公「おれ」の血の気が多いぶん、こっちのほうがはるかに強烈( ´ ▽ ` )ノ
     中盤までは向こう見ずの正義感ぽかったけど、終盤になるともう単なるトラブルメーカーのトリックスターに近い( ´ ▽ ` )ノ
     ドンパチ争いごとが好きで仕方ないんだね( ´ ▽ ` )ノ
     おなじハードボイルドのタフガイと言っても、直前に読んだドラちゃん「大いなる眠り」の一匹狼マーロウと違い、本作「おれ」はリーマン探偵のデブおやじ(>_<)
     セリフに凝ったりカッコつけたりしないで、欲望むき出しで猪突猛進なとこがいい( ´ ▽ ` )ノ

     ストーリーも設定も、本当に面白い( ´ ▽ ` )ノ
     ハードボイルドという枠組みを外して、歴代ミステリー、いやいや全エンターテインメント小説の中でもトップクラスの面白さ( ´ ▽ ` )ノ
     時代を考慮してもかなり拙い訳文に加え、誤植・脱字の連発するこんな最低の本でも、無我夢中にページを捲らせてしまう( ´ ▽ ` )ノ
    (しかし、この本は2001年版で、初版刊行から40年以上もたったものだけど、なお誤植が残ってるというのが驚き(゚д゚)!)
     ただ、「マック」は日本語のカタカナ表記にしちゃうと引っ掛けにならないね(>_<)
     他にも、後になって妹がいると分かったり何だり、ミステリーとしてはちょっと卑怯なとこもあるけど……まあ、ご愛嬌だ( ´ ▽ ` )ノ

     こんな面白いし、「用心棒」やら何やら影響を受けた作品は多いのに、本作直接の映画化作品というのが今までない(らしい)というのが、また信じられない(゚д゚)!
     なんでだろう?(´ェ`)ン-…
     ガイ・リッチーとかソダーバーグとか、この手の犯罪ものは人気コンテンツだと思うんだけどなあ……(´ェ`)ン-…

     で、ブクログレビューがここまで10もないというのがまた、驚きでもあり悲しみでもあり……(´ェ`)ン-…
     古い作品はやっぱり不利なんだな……(´ェ`)ン-…
     ジャック・ブラック主演で映画化されたりしたら、また読まれるようになるかもしれないね( ´ ▽ ` )ノ
    (と書いてる自分自身、今まで何となく読みそびれてた(>_<)……「マルタの鷹」なんかはずっと昔に読んでたんだけどね……(´ェ`)ン-…)

     死ぬまでに一度は読んでおきたい傑作だよ( ´ ▽ ` )ノ


    2017/11/27

  • 読む前に映画「用心棒」の原案的なのと知って、映画観てないけどミステリ要素は薄いのかな?って思ってたけどしっかりミステリしている。全体としてはギャングたちの抗争が強い印象を与えるが、3つもの殺人事件をちゃんと解決してる。

  • 黒澤明監督の『用心棒』の元ネタと聞き読んでみる事にしました。
    ギャングと賭博師と悪徳警官がいいように利権を貪ってる街で、主人公の探偵「オレ」がそれぞれの間を上手く立ち回り、同士討ちをさせ壊滅されるというお話。『用心棒』の元ネタというか原案かな。まあ影響は与えてるでしょうね。
    変なまどろっこしさもなく早い展開で物語は進んでいきます。
    陰鬱な街を舞台にして悪党、娼婦、探偵がごちゃ混ぜになって一気にラストまで駆け抜けます。この疾走感と昂揚感はクセになります。

  • 中盤で退屈した。もともと長編向きのネタではない。いくつかの短編や中篇が合わさって、ポイズンビルという舞台の元、長編用に形成されたような印象がある。

    『マルタの鷹』で顕著に見られた、余計な描写を削ぎ落とした筆致は、本作品ではやや薄のような気がする。が、全体に漂う非情な雰囲気は相変わらずで、人の命を救うことと奪うことが同じ温度でさらりと描かれているのにはもう笑うしかない。

    キャラクターも変り種揃い。タイプの違う悪党なのだが、何かに必死で喰らいつこうとしてる点では皆同じ。その化け物を増殖させている町までひっくるめて己の仕事ととらえている巻き込まれ型主人公の「わたし」には同情はするが、共感することはあまりない。

    これだけ豊富な人間関係を、心理描写なしの台詞だけで確立させる手腕はさすがだと思う。こういう世界だけで通用しそうな台詞がちらほらあり、その心地よい符号具合が可笑しかったのが強く印象に残っている。

  • 黒澤明「用心棒」の元ネタとして有名。ハメットの長編第一作。
    探偵である“おれ”が話の中心ですが、ポイズンヴィルという町全体が主人公のような話です。バイオレンスあふれる作品で、読み応えは充分。非情な主人公に共感できるかどうかで、好き嫌いは分かれそうですね。

  • 探偵の「おれ」が、ギャングの利権争いと汚職にまみれた小さな町の「悪」を根絶やしにしようと駆け回るハードボイルド。
    チャンドラーの小説に登場する探偵、マーロウにあった軽妙さは「おれ」にはなく、この作品のヒーローはあまりにも非情な人間として描かれている。こいつ、間接的に何人も殺しちゃうんだよ。ひどい奴。黒澤の「用心棒」の原作とは知らなかったな。

  • 49年前の1961年1月10日に66歳であの世に逝っちまったアメリカのミステリー作家ダシール・ハメットの、日本における一番の継承者はいったい誰か?

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著者プロフィール

1894 年アメリカ生まれ。1961 年没。親はポーランド系の移民で農家。フィラデルフィアとボルチモアで育つ。貧しかったので13 歳ぐらいから職を転々としたあと、とくに有名なピンカートン探偵社につとめ後年の推理作家の基盤を作った。両大戦への軍役、1920 年代の「ブラックマスク」への寄稿から始まる人気作家への道、共産主義に共鳴したことによる服役、後年は過度の飲酒や病気等で創作活動が途絶える。推理小説の世界にハードボイルドスタイルを確立した先駆者にして代表的な作家。『血の収穫』『マルタの鷹』他多数。

「2015年 『チューリップ ダシール・ハメット中短篇集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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