- Amazon.co.jp ・本 (526ページ)
- / ISBN・EAN: 9784488160074
作品紹介・あらすじ
「母さんが誘拐された」ミュンヘン市警の捜査官ザビーネは、父から知 らせを受ける。母親は見つかった。大聖堂で、パイプオルガンの脚にくくりつけられて。遺体の脇にはインクの缶。口にはホース、その先には漏斗が。処刑か、なにかの見立てか。ザビーネは連邦刑事局の腕利き変人分析官と共に犯人を追う。そして浮かび上がったのは、別々の都市で奇妙な殺され方をした女性たちの事件だった。『夏を殺す少女』の著者が童謡殺人に挑む。
感想・レビュー・書評
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選書のために手に取る。
猟奇的な連続殺人で身内が犠牲になった女性捜査官が、優秀だけど偏屈な分析官と組んで犯人を探すミステリ。
ドイツ-オーストリア間の連携操作が比較的スムーズなことに、EU圏の国境の低さ(今はそうでもない事態が起こっているのだけれど)を感じるのと、登場する男女が互いに微妙に接点を持っていることに、同じ業界に生きる者同士の密接さというか、世間の狭さというものも感じるし、実際その「近さ」を上手く使っている。
何人かの人物の時系列と視点をクロスさせることで、読み手に混乱を招こうとしているのだけれど、比較的早い時点で下手人が割れるので、あとはそれが読み手の思い通りに動くか動かないかを見きわめながら読む、という感じが強い。それに以前、同じ作者の作品を読んでいるので、ざっくりといえば似たパターンを原因と行為に持ってきているのがわかって、ちょっと冷めてしまったところはある。ショッキングな描写を要所要所に盛り込み、ページ数があるわりには、読後感が軽いような。
個人的には、ヘレン・ベルガーが職を追われるもととなった事件もかなりショッキングに感じたので、そこをさらっと流してしまっているのが「えええ?」と思った。まあ、ひょっとしたら、このあたりがシリーズものの素材として生きてくるのかもしれないけれど(シリーズものミステリあるある)。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
オーストリアの作家「アンドレアス・グルーバー」の長篇ミステリ作品『月の夜は暗く(原題:Todesfrist)』を読みました。
ここのところドイツミステリが続いていましたが、今回は同じドイツ語圏のオーストリアミステリです、、、
「アンドレアス・グルーバー」の作品は、約2年振りで3作品目ですね。
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「母さんが誘拐された」ミュンヘン市警の捜査官「ザビーネ」は、父から知らせを受ける。
母親は見つかった。
大聖堂で、パイプオルガンの脚にくくりつけられて。
遺体の脇にはインクの缶。口にはホース、その先には漏斗が。
処刑か、なにかの見立てか。
「ザビーネ」は連邦刑事局の腕利き変人分析官と共に犯人を追う。
そして浮かび上がったのは、別々の都市で奇妙な殺され方をした女性たちの事件だった。
『夏を殺す少女』の著者が童謡殺人に挑む。
訳者あとがき=「酒寄進一」
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2012年(平成24年)に刊行された、ミュンヘンの女性刑事「ザビーネ・ネーメス」とドイツ連邦刑事局の事件分析官「マールテン・S・スナイデル」を主人公としたシリーズの第1作です。
■プロローグ
■第一部 二ヶ月後 五月二十二日日曜日から五月二十三日日曜日
■第二部 五月二十四日火曜日
■第三部 五月二十五日水曜日
■エピローグ
■訳者あとがき
母が誘拐され殺された… 遺体は大聖堂のパイプオルガンの演奏台にくくりつけられ、脇にはインクのバケツ、口にはホース、その先には漏斗が、、、
容疑者にされた父の疑いを晴らすべく、ミュンヘン市警の捜査官「ザビーネ・ネーメス」は腕利き変人分析官「マールテン・S・スナイデル」と犯人を追う… 浮かんできたのは、別々の都市の聖堂で、同様に奇妙な殺され方をした女性たちの事件だった。
ドイツで有名な絵本『もじゃもじゃペーター』を見立てた猟奇殺人事件(凄惨で残虐な殺害、虐待シーンは、想像力オフで読む必要あり)を企てるサイコパスを探し当てて、追い詰めるのは、「マールテン・S・スナイデル」と「ザビーネ・ネーメス」の凸凹コンビ… 偏屈で高圧的、マリファナを嗜み、本の万引きがライフワークという変人「マールテン・S・スナイデル」と、がむしゃらで事件解決のためなら規則も無視して突き進む「ザビーネ・ネーメス」のコンビが絶妙ですねー
「アンドレアス・グルーバー」は相変わらず巧い… 序盤から物語にぐいぐい惹きつけられて、ラストに向けての怒涛の展開は読み応え十分、、、
掛け値なしに愉しめるサスペンス作品でしたねー この凸凹コンビを主人公とした物語は、本国では続篇が刊行されているようですが、日本語に翻訳されていないようなんですよね… 翻訳される日を心待ちにしています。 -
スナイデルのキャラが好きなのでシリーズになってるのは嬉しい
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母が誘拐され殺された。遺体は大聖堂のパイプオルガンの演奏台にくくりつけられ、脇にはインクのバケツ。口にはホース、その先には漏斗が。容疑者にされた父の疑いを晴らすべく、ミュンヘン市警の捜査官ザビーネは腕利き変人分析官と犯人を追う。浮かんできたのは、別々の都市の聖堂で、同様に奇妙な殺され方をした女性たちの事件だった。『夏を殺す少女』の著者が童謡殺人に挑む。
グ、グロい。けれど一気読み。 -
★3.5
事件分析官と言えば、同じくドイツのアーベルト&クリストシリーズがある。偏屈者とそれに振り回される女性相棒が猟奇的な連続殺人に挑む、という似た設定だ。どちらも気楽に読めるエンターテイメント(以上でも以下でもない)だが、本作は2人のセラピストパートを上手く組み込んでいて先行きのハラハラ感にぐいぐい引っ張られた。
ただ後半、舞台がウィーンに移ってからはスナイデルの変人ぶりが影を潜め、ヘレンの存在感がドイツの2人組より優ったような気がする。さらに事件後半はご都合主義が目立って少し雑な収束感が否めない。シリーズらしいので次作に期待したい。 -
嫌いじゃないけど腑に落ちないもやもや感が残る。
偶然やたまたまが多く個人的には欲しい3つ。 -
いつも通り、幼児期に虐待された犯人とトラウマ持ちの主人公たちのはなし。連続殺人の殺し方がエグい。
最初は展開がまだるっこしいが、途中から出てくる変人分析官のキャラが良かったので最後まで楽しめた。私も彼にハグされたい。 -
設定が怖い。視点がコロコロ変わるけど、2サイドいるかなぁ。色んなキャラいるし。でも最後は面白かった。
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主人公はミュンヘンの捜査官ザビーネ。彼女の身内が巻き込まれた連続殺人事件を、性格はねじまがってるけど優秀な事件分析官といっしょに追っていく。事件そのものに目新しさはないけど、人物のキャラがしっかりしてるのと構成の上手さから、想像以上に楽しめた。捜査の過程以外に挟まれる別件が意外な所でつながったりとか。事件分析官のスナイデルはセバスチャンを彷彿させて良かったなー。