ヴァイオリン職人と消えた北欧楽器 (創元推理文庫)

  • 東京創元社
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  • Amazon.co.jp ・本 (396ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488178079

作品紹介・あらすじ

名ヴァイオリン職人のジャンニは、ヴァイオリン製作学校の講師でもある。20年前の教え子であるノルウェー人のリカルドが講演を行い、その夜に殺害されてしまう。そして彼が持っていた、ヴァイオリンに似た楽器ハルダンゲル・フィドルが消えていた。犯人はなぜ、さしたる値打ちのない楽器を奪ったのか? 殺人と楽器の謎を追って、ジャンニは友人の刑事アントニオとノルウェーへ旅立つ。名職人にして名探偵の謎解きを堪能できる人気シリーズの日本オリジナル作品!

感想・レビュー・書評

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  • シリーズ3作目
    ミステリーというより、ノルウェー観光案内みたいだったけど、十分楽しかった。
    イタリア人には、ノルウェーの物価がとても高く思えるというのが面白い。作者イギリス人だよね。
    北欧はなんでも高いだなあ。
    ビール1杯、サンドウィッチ1箱千円位?
    日本もそうなるのかなあ。

  • 1作目に比べて動機や伏線、レッドヘリングが濃密になった印象

    ノルウェーの雄大な自然の描写や白夜に近い夜の光の描写がよかった
    過去の複雑な恋愛は最小限の表現で、進行中の恋愛は綺麗な感じで進行していて読みやすい

    3作目にしてようやくグァスタフェステのこと気に入ってたんだなと自覚してめちゃくちゃ応援した

  •  イタリアのヴァイオリン職人ジャンニが活躍する、音楽ミステリシリーズ第3弾。
     日本の読者向けに書き下ろされたオリジナル作品とあって、前2作とは少々趣きが異なる。
     ヴァイオリン製作学校の教え子の不審死を皮切りに、その死の謎と、消失した民族楽器ハルダンゲル・フィドルの行方を追って、舞台は北欧へと移る。
     ジャンニと昔馴染みの刑事グァスタフェステ、そして、恋人のマルゲリータ。
     メイン格のほぼ全員が中高年とあって、作中の雰囲気は上品で、捜査の中心となるノルウェーの壮大で冷厳な風土の描写と相俟って、終始、静謐で陰鬱な空気が漂う。
     自然描写の細やかさは見事だが、観光ガイド路線の風物詩の描写が些か冗長で、前半は少し退屈を感じる向きがあるかもしれない。
     そもそもが、推理物として論理的に洗練されたシリーズではないので、ミステリとしてはパンチが弱く、その醍醐味を堪能するには物足りないのが正直なところ。
     今回は、ノルウェーの作曲家グリーグや演奏家オーレ・ブル、戯曲『ペールギュント』等を題材にした、芸術の創造者に想いを馳せる、音楽史小説に近いと言えようか。
     また、ベテラン職人らしい主人公の、誠実で思慮深い古風な枯淡さと、穏やかな人柄に浸りながら、厳しい大自然の中に埋もれる愛憎と執着、喪失と祈りの物語と見るのが良いだろう。

  • 正直もう推理小説ですらなくむしろ紀行文学と言ったところだが、別にそれでも構わない。お馴染みの登場人物たちのわちゃわちゃをゆるく楽しむスタイルでいいのでは。
    旅行先で同行者の意向を淡々と無視して憚らないあたり、ジャンニさんも次第に年を重ねてなかなか独善的な初老と化してきたので、ここらで打ち止めでも悪くはないかもね。

    今回覚えた豆知識…一番高いのはグァルネリ・デル・ジュス!

  • 2021.07.11.読了

    2019年に第3弾が出ていたなんて、
    全然知りませんでした。

    すっかり第1作目 第2作目の内容を忘れてしまっていますが、
    好きだったのはよく覚えています。

    今回はノルウェーが舞台。
    ノルウェーの描写のされ方が、
    案外厳しく、フィヨルドは見にいきたいが、
    かなり覚悟しないと行けないのね
    と思いました。

    殺人事件の結末は 納得のいくものだったかな。

  • 色々な寄り道をして、当初の推理通りに帰着する。
    結末自体は納得できたが、前2作と比べると面白さは見劣りしてしまうかな、という感じ。

    今回は舞台がイタリアではなくノルウェーで、片言の英語での会話を表現した内容が多いものを翻訳しているため、その部分が読みにくいがそこは仕方ない。
    文字通りの観光もしているので、ノルウェーのヴァイオリン事情を知るのにも良さそうであり、新たな楽器の存在を知ることもできた。

  • シリーズ第3作。2作目から5年経って読者のリクエストに応える形で翻訳になったとのこと。今回の舞台は北欧、そして独特の音色のするヴァイオリン、ハルダンゲル・フィドル。ノルウェーの劇作家の戯曲がバックボーンに。3作を通じて感じるが、土地毎の風景や気候、人々の生活の描写が素晴らしい。ストーリーは悲しい結末、人を愛する事の悲しさが心に残る。一方で、主人公のジョヴァンニの恋は進展し、新しくアントニオの恋が始まる。作者はストーリの結末を悲しいものにするのに対して、登場人物の人生を幸福にすることにより、コントラストとしているような気がする。

  • 今回はかつての教え子でノルウェー人のリカルドが殺され、彼が持っていた北欧楽器が盗まれた。ジャンニと恋人のマルゲリータ、息子のように思っている刑事のアントニオの3人で、葬儀と捜査と観光の為にノルウェーに向かった。

  • 読了。ヴァイオリン職人推理小説シリーズの3作目。今回の舞台はノルウェー、ペール・ギュントがキーとなり、オーレ・ブルの話も登場する。
    訳者の後書きによると、この作品は日本向けに書き下ろされたものらしい。
    前作までのパガニーニやストラディヴァリの物語ほど、のめり込めなかったのは自分の興味にもよるかもしれない。
    小説に登場するハルダンゲル・フィドルは実際にその音を聴いてみたいと思った。

  • 図書館で。
    前2作が面白かったのでリクエストしていたのがようやく回ってきました。長かった。
    原文のタイトルであろう、Hardanger Riddleってなんだろう?と思ったらハルダルゲンフィドルという民族楽器の事だったんですね。面白い。

    というわけで今回は一行様ノルウェイに行くの巻、という感じ。正直、謎解きよりも彼らのノルウェイ観光の方がしっかり描かれていたような。3巻は日本の読者の要望に応えて、みたいなことが後書きに書かれてましたが作者もシリーズ化するつもりなかったのかもな、と思いました。
    そりゃ、イタリアに住む善良なバイオリン製作者はそう何度も殺人事件なんかに遭遇しないでしょうしねぇ…

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