幽霊が多すぎる (創元推理文庫)

  • 東京創元社
3.38
  • (3)
  • (15)
  • (26)
  • (3)
  • (0)
本棚登録 : 206
感想 : 20
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (460ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488194024

作品紹介・あらすじ

パラダイン男爵家を脅かす怪現象の数々──ポルターガイスト、うろつく尼僧の亡霊、外から鍵をかけた部屋で夜ごとひとりでに曲を奏でるハープ。さらに悪いことに、客人が幽霊に襲われた! 騒動を鎮めるため駆けつけた心霊探偵ヒーロー氏の活躍やいかに? 『スノーグース』などで知られる心やさしきストーリーテラー、ギャリコ唯一の長編本格ミステリ、本邦初訳。解説=我孫子武丸

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • ギャリコの作品は今まで「ハリスおばさんパリへ行く」しか読んだことがなかった。ユーモラスで優しくはあるけれど、一方で驚くほど人生の皮肉と哀感を描く作家でもあるのだな、という印象だった(ご都合主義とも言えるような楽しい展開で油断していると、痛烈なパンチで胸をえぐってくるような)。
    この作品では、貴族の館で起こった幽霊騒動をおさめるために、心霊探偵アレグザンダー・ヒーローが捜査をするのであるが、巧みな性格描写で形作られた登場人物がいかにも!な感じ。
    友情出演か、ハリスおばさんが思いがけなく現れたのでちょっと嬉しかった。ヒーローくんは気が多すぎて身から出た錆。メグが一番魅力的なのに、困ったもんですね。

  • ミュージカルか舞台の原作だったかな?と思い違いしちゃうような、ミステリー。
    陰惨なシーンがないのも、沢山の人の思惑が絡むのも面白い。
    シリーズ化ならなかったのか、映像化、舞台化されてそうなのに?とも思う。

  • 東京創元社2019年復刊書目の1冊。
    ポール・ギャリコと言えばミステリのイメージは全く無いが、本書は著者が唯一残した、本格ミステリ長編とのこと。
    内容としてはかなりオーソドックスな本格もので、幽霊屋敷やポルターガイストといったオカルト的な要素が雰囲気とよく合っていた。
    ミステリとしてはこれ1冊しか無いというのが惜しい。主人公の活躍をもっと見たかった。

  • 【古本屋で購入】
    ミステリーか?確かに犯人探し、その動機とトリックを追うのだけど、あまりひねったところもなく、主人公ヒーロー氏(!)の大活躍というわけでもなく。
    色々な登場人物達がワイワイ駆けまわったり、騒いだり、恋愛模様も淡く・華やかに(?)、顔を青くしたり、白くした利、赤くしたり、深刻にならず騒動を傍観者として眺めている感じ。
    なお、原題のページが『Too Many Chosts』となっています。

  •  なぜ、昔『××館殺人事件』『××館の秘密』あと『××館の謎』のようなお館ミステリが大量発生したのか、自分なりに背景を考えてみました。古き良き時代の英国には、由緒正しき館が数多くあったことの表れではないでしょうか?
     そういうお館殺人というのは英国の時代劇なので、概ねパターンが決まっています。探偵役は館外から招かれてくるのが伝統。外部から来た者の視線で冷静に貫かれることで、その館の特色や登場人物の特徴が、作品にざくりざくりと彫りこまれるのです。
     ポール・ギャリコ唯一の本格長編推理小説は、このお館ミステリのお約束に、作者が自ら縛られて書かれた楽しい作品☆

     客人泊まり合わせるパラダイン館で、相次ぐ幽霊騒ぎ。ヒーローという名の探偵が館内を回って一人一人に聞きこみを行い、事件の糸を解きほぐしほぐし進んでいきます。若々しくて快活で見目麗しきヒーロー。幾度か美女の誘惑によろめきながらも、「いかんいかん★」と体勢を立て直し、探偵役を果たそうとします。
     その時、私はくすくす笑いを聞いたような気がした! 子どもの頃、海外ドラマを見ていると明らかに登場人物のものではない、謎の笑い声が入っていることがありました。ああいう声です。それもドッと笑ったりげらげら笑いだったりではなく、穏やかな「くすくす」。

     それを聞いて、「ああ、ギャリコさん」と嬉しく思いました。何を描いても温かいギャリコさん。推理、ファンタジー、冒険物といったジャンルの垣根を超えて、ポール・ギャリコだというそれだけのことで一分野を形成しているお方なのです。
     ギャリコ印は、この小説にもバーン! と濃いインクで押されています。ああ、描かれる人間ドラマのしっとり感、少女に注がれる視線の優しさ、この類いなき癒し効果。
     A・A・ミルンの赤い館がまふまふなら、こちらはぬくぬく。血なまぐさい事件ではなく、ぬくぬくと心温まるのでした♪

  • 初のポールギャリコ。ポセイドンアドベンチャーの原作者なんですね!
    本作は、幽霊騒ぎが頻発する屋敷へ、心霊探偵が調査しにいく話。登場人物は多いが、みんな癖が強く、キャラクターがよく書き分けられている。15人以上いるのに、一人一人存在感があるのがすごい。
    幽霊騒ぎのそれぞれのトリックは、説明されてもいまいちピンとこなかったが、愛憎入り乱れる人間関係や、ほっこりする終幕は、読んでいて楽しかった。

  • 以前からタイトルがかわいいな〜と思っていたのと、最近ミステリばっかり読んでいて、この本が本格ミステリと紹介されていたので手に取った。

    読む前はわくわくミステリホラー小説だと思っていて、館で次々と起こる怪奇現象…という序盤の流れは期待通りだった。
    でも読み終わってみると、人間の群像劇ど真ん中みたいな作品で、この読後感がとても意外で面白いな〜という気持ちになっている。

    主人公のヒーローはとても魅力的な主人公なのに、シリーズ化しなかったことが意外だし残念。
    あらゆる女性にモテまくってその度になびいてしまう姿は読んでいて面白かったのに!
    というかむしろ怪奇現象の種明かしより人間模様の方が気になってた!!

    本格ミステリと言われて手に取ると肩透かしをくらうかもしれないけど、ドラマを見るのが好きな人は好きかもしれない。
    私はけっこう好きだった。
    メグがかわいい!

  • 久しぶりにポール・ギャリコの本を読んだ。本当に久しぶり。スノーグースとか雪のひとひら、ジェニイを読んだのは20年近く前じゃないか。。。
    復刻ミステリとの帯が付いいて、復刻するくらいだから面白いのだろうと目を止めたら作者にギャリコとある。ギャリコのイメージは先の3冊だったから「ミステリ?」と不思議に思って手にとってみた。

    結果。結末や展開が気になって一気に読んでしまった。。。
    あまりにイギリス人気質の根にあるものが書かれてるので、作者はイギリス人かと思ってしまう。でもそうじゃないから分かるってことなんだろうなあ。


    主人公に好感が持てて、楽しく読めた。またギャリコの世界に触れたくなったけど、手に入るかな?

  • バカ面白かった。

  • これ一冊で終わるのが勿体ない、シリーズ化して欲しかったミステリでした。この時代から、ポルターガイストには子供が深い関わりがあることは知られていたのね。真犯人に一番同情した。恋愛模様が面倒くさすぎ。

全20件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1897年、ニューヨーク生まれ。コロンビア大学卒。デイリー・ニューズ社でスポーツ編集者、コラムニスト、編集長補佐として活躍。退社後、英デボンシャーのサルコムの丘で家を買い、グレートデーン犬と23匹の猫と暮らす。1941年に第二次世界大戦を題材とした『スノーグース』が世界的なベストセラーとなる。1944年にアメリカ軍の従軍記者に。その後モナコで暮らし、海釣りを愛した。生涯40冊以上の本を書いたが、そのうち4冊がミセス・ハリスの物語だった。1976年没。

「2023年 『ミセス・ハリス、ニューヨークへ行く』 で使われていた紹介文から引用しています。」

ポール・ギャリコの作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×