- Amazon.co.jp ・本 (420ページ)
- / ISBN・EAN: 9784488209148
感想・レビュー・書評
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久しぶりに読むと懐かしいイースタ署にもどってきたという鉄板の安心感。しかしファイアーウォールときた。クルト・ヴァランダーとIT犯罪、これほど似合わない取り合わせもない。しかし時代の流れは止められない。もちろんだからといって古いタイプの捜査官の存在価値がなくなるわけではないが、あと10年この仕事をやりきれるだろうかという彼の不安もよく理解できる、一見無関係そうな小さな事件に意外な関連が見つかり最後には世界規模の陰謀が明らかになる。今回はIT技術が核心だけにいつものイースタ署の面々も本質的な活躍の場は少ないのだが、ヴァランダーの空回り気味な奮闘は変わらない。最前線で狙撃されたり突入したりというのも同じ。そして相変わらずの人間的弱さにつけこまれて窮地に追い込まれる。しっかりせえよといいたくなる。そしてここへきて明るみに出た署内の内紛。そのゆくえが気になる。といってもこのシリーズもあと2作しかないのだけれど。
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2019.10.15.読了
まず初めに、おもしろくはない
ヴァランダーは色ボケした(笑)
あらゆる事が解決せず答えの出ないままである。
犯人が何をしたかったのか?作者も分かっていないのではないか?かなり怪しい。
ということに耐えられるサスペンス好きの方にオススメ -
スウェーデンの警察もの。
刑事クルト・ヴァランダーのシリーズ第8弾。
仕事は有能だが、数年前に離婚し、世話がかかった父をなくし、恋人バイバには去られ、糖尿病を抱える50男ヴァランダー。
かっての親友ステンも、牧場を売って遠くへ行こうとしている。
娘のリンダとはうまく行っているが、遠くに住んでいて忙しい。
付き合う相手を求めたらどうだというリンダの勧めで、迷いつつも広告を出すことに。
19歳と14歳の少女がタクシー運転手を襲って金を奪い、怪我させたのがもとで死なせてしまう事件が起こる。
罪悪感がなくふてぶてしい二人の様子にショックを受ける大人たち。
ただ金が欲しかったというのは嘘だと直感するクルトだが‥
14歳のエヴァが母親に何度も殴りかかるのをとめたクルトは、エヴァを殴ったところを写真に取られ、新聞に報道されてしまう。
母親はエヴァが殴ったことを否定。問題となったため署長に疑われ、クルトは苛立つ。
19歳のソニャは署内から脱走してしまい、後に変電所で死体となって発見される。自殺か他殺か?事件は奇怪な様相に。
中年の男性ファルクがATMの前で倒れていたという事件も起きる。
ファルクはITコンサルタントで、当初は心臓発作かと思われたが、不審な点があり、しかも遺体が盗まれる。
かわりに、変電所にかかわるものが置かれていた。
ファルクの遺したコンピュータは異常に警備が厳重で、クルトらはハッカーの若者を頼ることになる。
コンピュータ犯罪がテロリズムに悪用されるという現代的なテーマ。
国際的なスケールになっていくと、作者の独壇場ともいうべきペースに。
アフリカに住んでいたこともあるマンケル。
今回はルアンダでの出来事が事件の背景に。
原著は1998年ですが、古さは感じません。
コンピュータに詳しかったら、やや古いのかな?
2012年翻訳発行。
あと2作で完結だそうです。
その前にシリーズ外作品が発行されるとか。
それも楽しみ。 -
なかなかタフな読み物で物語の進行が実際の捜査の様に遅々として進まない。だが着実に進んでいる。面白いぞ。
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ヴァランダー警部シリーズ。ITを使った大規模なサイバーテロとスウェーデンの田舎町の刑事さんとの闘い。
ヴァランダーさんのキャラクターがとっても良い。 -
ヴァランダー・シリーズの邦訳8作目。創元推理文庫というとマニアックなイメージが強く、自分には敷居が高く、手を出しにくかったのだが、そのイメージを打ち破ったのがヴァランダー・シリーズであった。以前からこのシリーズはスウェーデン版のハリー・ボッシュ・シリーズではないかと思っている。ミステリーと併せてヴァランダーが孤軍奮闘するハードボイルドな香りがハリー・ボッシュ・シリーズに似ている。
最初は『ファイアウォール』というタイトルが昔気質のヴァランダーと結び付かず、面食らった。また、この上巻の前半で描かれる事件も大して大きな事件とも思えず、ヴァランダーが過去の亡霊と向き合うスローな展開が続き、警察組織のゴタゴタが描かれるだけかと高を括っていた。しかし、二人の少女によるタクシー運転手殺害事件のとITコンサルタント変死事件とがシンクロし、いよいよタイトルと結び付く展開が始まると物語は俄然面白くなる。そして、冒頭からのスローな展開の全てが作者の仕掛けた罠だったことに気付き、二重に驚かされる。
結末の断片が少し見え始めたばかりの上巻。果たして真実は如何に。 -
原作のあるドラマは本を先に読むべきだな・・・とまたまた後悔 orz
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かのマルチン・ベックシリーズを場所をスウェーデン南部の地方都市に移して、その続編を書いてみたふうの警察小説。英米でも高く評価されているだけのことは充分に理由のあることで、国産の出来の良いミステリの三倍くらいの仕掛を盛り込んだ、おもしろさてんこ盛りの作品。タイトルに繋がるキーパーソンが登場するのは、上巻のほとんど終わりあたり。
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ヴァランダー・シリーズ中、最高傑作!
序盤からそんなことを感じさせる。
このところ海外のシリーズものをよく読む。
アメリカのものには凝りに凝ったプロットと、驚きのツイストで楽しませてくれる作品が多い。
しかし、このヴァランダー・シリーズは事件よりもむしろ主人公の生き様に面白みをみている。
スウェーデンというお国柄もあるのか、ジトッとして暗い雰囲気が特徴のストーリーでもある。
ヴァランダーの疲労感が伝わってきて、読者自身も疲れてしまいそうな滅入る物語でもある。
それなのに面白い。