- Amazon.co.jp ・本 (368ページ)
- / ISBN・EAN: 9784488241063
作品紹介・あらすじ
ブッククラブのメンバーは、1900年代初頭の船を再現した蒸気船オリエント号での豪華クルーズに参加していた。オリエント号の臨時の医師であるアンダースに誘われたのだ。アリシアにとっては恋人アンダースとのロマンチックな船旅のはずだった。だが乗客が死亡したり行方不明になったりで、それどころではない雰囲気に。ミステリマニアの血が騒ぎアリシアらは独自調査を始めるが……。クリスティ好きの面々大活躍のシリーズ第2弾。
感想・レビュー・書評
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アガサ・クリスティー好きのブッククラブメンバーが事件を解決する『マーダーミステリーブッククラブ』シリーズ第2弾。
第1作の終わりにいい雰囲気になっていたブッククラブ主宰のアリシアとメンバーのアンダースは、本作で晴れて恋人同士に。しかし、いまだ前妻を引きずっている様子のアンダースに、アリシアはもやもやした気持ちを抑えることができない。
そんな中、アンダースがかつてロンドン~シドニーを航行していたという『オリエント号』の復刻船に代理医師として乗船することになり、ブッククラブメンバーも便乗して5日間のクルーズに出かけることに。
船の乗員は、やる気のないバーテンダー、「サラミ姉妹」と呼ばれるクルーズ女王の三姉妹、皆からの信頼が厚い船長と奔放な夫人、車椅子の老婦人とその若い夫など、なかなか個性的なメンバーである。
船の中で甘い時間が持てると思いきや、なかなか二人の時間を持とうとしないアンダースにいら立ちを隠せないアリシア。さらに、乗客の女性が突然死したと思ったら、船長夫人まで海に転落して行方不明になってしまい、船内は緊迫した雰囲気に包まれる。
ブッククラブメンバーは、船長夫人の転落時に居合わせてショックを受けているメンバーの一人、ペリーのために、事件の謎を解決しようと立ち上がる。
ストーリーはクリスティーの『ナイルに死す』を彷彿とさせる群像劇。ただ、『ナイルに・・』は乗客全員が本筋の謎に絡んで生き生きと描かれていたのに対し、本書では一部の登場人物がストーリーにうまく絡んでいないところもあり、やや消化不良である。
また、今回はブッククラブの会合が開かれないため、事件の目撃者?になる学芸員のペリーと普段から物静かなヴィンテージ古着ショップオーナーのクレアはともかくとして、誰よりも本に詳しいおしゃべりな司書のミッシーや、ブッククラブで腕を振るってくれたアリシアの妹で料理人の卵、リネットの出番は少なめなのも物足りない。ブッククラブの活動を何冊か書いてからの本書であれば、番外編としてもっと楽しめたかもしれないな、とちょっと残念。
それでもテンポよく読み進められて、トラベルミステリものとしては十分面白い。また、真相は皮肉に満ちていて、ピリッとした後味を残すのもよい。クリスティーの作品に多い「あの」しかけもちゃんと踏襲されており、オマージュとしてファンを満足させてくれる。
ブッククラブメンバーの活躍は次作以降に期待するとしよう。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
先月の翻訳ミステリー札幌読書会で取り上げられた『マーダー・ミステリ・ブッククラブ』の続編は、何と、全編、豪華客船オリエント号内での物語。偶然とはいえ、数日前に、妻から世界一周の豪華客船での100日クルーズなる提案資料を受け取ったばかりのぼくは、偶然とはいえ、豪華客船の旅を読書体験で味わうことになってしまったのである。
但し、本書でのクルーズはオーストラリアのシドニー~ニュージーランドのオークランドまでの5日間。そこに集まるはわれらがブッククラブの面々。今回はアンダースが本業の医師の仕事としてクルーズに乗り込むこととなり、彼の勧めで全員が船上に集結したものの、Dr.アンダースは本業で忙しいことと業務上の守秘義務などもあってメンバーとの距離感が目立ち、とりわけ主人公アリシアとの恋愛関係の側面も少しぎすぎすしてくるなど、前作に続きブッククラブ内の混乱が作中に散見される。
今回は女性の海上への転落による行方不明事件の真相を突き止めるべくブッククラブのメンバーはそれぞれに奔走する。メンバー外のゲスト・キャラクターたちも個性豊かで、行儀の悪いバーテンダー、もてもてのダンスホスト、クルーズ経験豊かな謎のご高齢三姉妹、車椅子の老婦人と、年齢差がありすぎる写真家の夫などなど、怪しい人たちが多すぎるのである。
船上という巨大な密室でありながら、限られて逃げられない登場人物たちは、オリエント急行ならぬオリエント号の中でそれぞれの個性を発揮してゆく。本シリーズの作家ラーマーは、個性を描き分けるのがとても上手いように思う。ブッククラブの面々だけでも個性がはっきりしてわかりやすい上、作品毎に変化するゲスト・キャラクターもオリジナルで癖が強く印象に残りやすい。
さらには本書は最後までどんでん返しの連続となる。いわゆる仕掛けの上の仕掛けといった、凝りに凝ったストーリーなので、本格ミステリーの好きな方にもおススメ。容疑者も沢山陳列されているようなので楽しいはず。
さて、この本を読み終えて、とりあえず作品中の事件は無事に解決したのだが、妻からの豪華客船での100日クルーズの提案は課題として未だ残る。ぼくにとっては一番の問題は、100日間のクルーズ中、新刊ミステリーが全く入手できなくなるという状況に耐えられるかどうか? である。例え新刊でなくても100日分の本(30~40冊?)を持ち込む? 豪華客船クルーズは、本中毒のぼくにとって、かくも苦しい選択肢なのである。さて? -
マーダーミステリーブッククラブシリーズ、2作目。
メンバーがいまいち弱いというか、魅力がないんだよな~。アリシアがあんまり好きになれないのが、原因。しかもアンダースン、1作目がどんなキャラだったかよく覚えてないが、今回はほんと全然ダメな感じ。どうした~なんかかわいそうにも思えてくる。
新キャラのが良さそうなので、次作はちょっと期待できるかな~ -
シリーズ2作目。今回は蒸気船オリエント号の中で起きる事件で、乗客の中に犯人がいる!というクローズドサークルもの。容疑者となる乗客たちが個性的で、なかなか面白かった。プロローグの前に注意書きがあるけど、終盤でクリスティの「オリエント急行の殺人」のネタバレがあるので、ネタバレが嫌な方はクリスティを先に読むのがおすすめ。
前作から続いてアリシアの恋愛模様も描かれているけど、ちょっと意外な展開かも? 次作ではどうなるのかな。 -
前作でとある失踪事件に巻き込まれた〈マーダー・ミステリ・ブッククラブ〉の面々。
今作は早くも家のダイニングを飛び出し、蒸気船のクルーズ旅行へ。もちろん、そこでも事件に遭遇し、調査に乗り出す。
船旅中の事件というのはミステリでもよく扱われるシチュエーションだと思う。旅行という非日常感と、海上・船上という密室。私も大好きな舞台のひとつである。
前作の終盤からとある変化をしつつ迎えた今回の船旅で、主人公アリシアの複雑な心境と謎だらけの(しかも複数の)事件。
タイトルからもおわかりのように、アガサ・クリスティーの名作『オリエント急行の殺人』にもなぞらえられそうな船上の密室劇が楽しかった。
限られた空間で限られたメンバー。外界とは隔絶されている。条件は地上の密室も同じだが、そこに「旅」という要素が加わると、より刹那的な人間関係や駆け引きが生まれるのだと、個人的には思っている。
シリーズ2作目にして新しいキャラクターも登場するし、今後もますます楽しみなシリーズだ。 -
マーダー・ミステリ・ブッククラブシリーズ第二弾。アリシアとブッククラブの愉快な仲間たちが乗船したクルーズ船で事件が発生する。序盤はアンダースに対するアリシアの言動に正直辟易。それでも個性的なメンバーが揃っているお陰でテンポよく和やかな旅が進んでいく。
客船という究極のクローズドサークルだが、ブッククラブの面々だけでなくサラミ姉妹など個性豊かで賑やかな雰囲気なので陰惨さはあまりない。タイトルからも分かる通りアガサ・クリスティの『オリエント急行殺人事件』をオマージュしており、ネタバレが含まれているので注意が必要。
「こういう時こそ少年探偵団の出番だ!」的なノリが良い。メンバーのどのキャラクターも好きだけど特にペリーが最高。 -
「マーダー・ミステリ・クラブ」の第二弾。今回も謎が面白く、楽しく読めました。前回は全員で取り組んで解決したけど、今回は主人公のアリシアが大活躍。いつものメンバーがあまり出てこなくて、そこが物足りないかな。アリシアが終始怒ってばかりで、最後に振られる?アンダーソンがちょっと可哀想かも。新たに出てきた刑事さんはカッコいいかもしれないけど、あまり有能だとはいえないけど、アリシアはそれでいいのか。とりあえず4作目までは出ているそうで、また楽しみが増えた。