カササギ殺人事件〈下〉 (創元推理文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (382ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488265083

感想・レビュー・書評

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  • あ、下巻でそうきましたか。
    まさかの入れ子構造の殺人事件。

    作中人物の著作を題材にするというメタフィクションという意味では、『ハリークバート事件』とかないわけではないけれど、ここまで大掛かりなものは初めて。
    ほとんど2作品で、しかもそれぞれが関連するという試み自体が驚きで高評価に値する。

    ただ双方の事件がフーダニット、ホワイダニット色が強いため、つまらないわけではないけれど、やや間延びする感がある。

    エンディングもカチリとはまるものではあるが、王道といえば王道で、その角度できたかというようなカタルシスはない。

  • 上巻読了後すぐに読み始めた下巻の冒頭、「!!??」という衝撃は忘れられません。
    衝撃の余韻が覚めぬまま読みはじめ、状況が理解できてくるにつれ、今度は「やられた…!」という悔しさとそれを上回るわくわく感が押し寄せてきました。

    これから読もうとしている未読の方のお楽しみを奪わないよう、詳細なレビューは自分だけの備忘録にメモ。

  • 登場人物も多く読み切るのにずいぶん時間かかったけれど、上巻と下巻でこんな展開するとは驚いた。 期待値が高かったからか犯行の動機にも今ひとつ説得力を感じなかったけれど、それでもアディカス・ピュントと犯人を探ってゆく語り口は読み手を飽きさせない。

  • 「ミステリーとは何か?ミステリー好きは何を求めているか?」
    の答えがぎっしり詰まっているのが、解き明かしてくれるのがこの本でしょう。
    「ええっ!?うそ、それ無いよ、だまされた、初めから言ってよ、僕はそれが嫌いだ!」というのが夫です。そんな人はほっときましょう~~(笑)
    ミステリー好きはそれがたまらないのです。喜んで騙されましょう。登場人物をくまなくチェックして、ヒントを見つけたらほくそえんで、悦に入りましょう。作家は執筆の際そこに呻吟しているのです。
    この本はミステリー好きなら誰でも知っている、過去の作品の人物の名前、土地、風景、タイトル、ストーリーなどなど数知れず散りばめられ、それを意識するのも楽しいものです。
    もちろん、謎解きも王道です。

  • アンソニーホロヴィッツ?
    荒木飛呂彦のイラストで覚えてた。

    ストーム・ブレイカーシリーズの人だよね?

    そのあとホームズのパスティーシュを
    やって、公認のジェームズ・ボンドをやってと…ティーン向け作家をしていた反動か、やたらと「箔」のついた物件を攻める作家なのか?と疑い
    「次はクリスティいったれ!…でもクリスティっぽいのをただ書くのじゃつまらんので、一小説丸々別の話で包んでみたらどうか?」とか、考えたんじゃないの?と更に疑惑を募らせ、なかなか手に取らなかったのだけど

    逆に考えると「ミステリー愛」無くしては出来ない。なかなかプレッシャーの大きな作品を書いてきたって事なのかも?とか考えつつ読み始める。

    (読み終えて)
    物語は、主人公の編集者が小説「カササギ殺人事件」を読みだすところから始まる。
    このある作家の新作「カササギ殺人事件」を読んでると、たびたび
    「アレ?今何を読んでるんだっけ?」と思うくらい、クラシックで王道なクリスティっぽい雰囲気の探偵小説が続く…

    そして上下巻には理由が…
    全体的にド王道ミステリーとしか言えないのですが、出版業界、作家志望あるあるやらを絡めて来て面白い。

    でも、クラシック感はそんなにワクワクしないのよね…なんでなのか。

  • 読み終わった今も、もう一度読もうかと思うほど、面白かったです。

  • 久しぶりのミステリー、しかも翻訳物でウマイっと唸らされる作品でした。上巻では、翻訳物にありがちな、カタカナの固有名詞の乱舞に惑わされましたが、下巻では納得の展開、さすが本屋大賞受賞作品という貫禄すら感じました。アンソニー・ホロヴィッツ作品をまとめ買いしたので、そちらもまた楽しみにして読み進めたい。

  • ガチの伏線とダミー伏線の貼り方がエグい。それを全て回収し尽くすのがまた凄い。二重のフーダニットってこういうことなのね。語り継がれる名作とはこういうことなのか。

  • 読み始めてすぐ、「わたし」に渡された原稿は結末部分がなかったことが判明した。ほどなくして著者であるアランが亡くなったこと、出版社にアランからの遺書と思しき手紙が届いていたことが判明する…ここまでは想像の範疇であったものの、謎解きを行うのが一般人である「わたし」であることがかなり意外だった。

    あくまで「わたし」は一般人なので、容疑者を絞り込む際の思考の流れが丁寧に書かれていて、欠落している謎解き部分で触れられるはずの伏線となる箇所も早くから読者に提示していることにも驚かされ、また作者の自信を感じた。

    ある箇所を読んでおかしいなとは薄々思っていたものの、作中作と「わたし」のいる世界が×××を×××××ことでつながり、なぜこの小説が入れ子構造になっているかが明らかになるくだりはやられた!と思わずにいられなかった。上巻のプロローグにある通り、「最後にすべてをすっきりと説明してくれて、どうして最初から気がつかなかったのだろうと地団駄を踏まずにはいられない、満足のいく種明かし」だったと思う。

    総じて満足度が高い本だったけれども、2つの事件のどちらも後味が少し悪いので、スッキリした後味が欲しい方はその点を心しておくといいと思われます。

  • 上巻は、食事時などに少しずつ楽しみながら読んでいたんだけど、下巻はほんとうに何もかもほっぽらかして一気読み。久しぶりだこんなにのめり込んだの。一粒で二度おいしい、なんともぜいたくなミステリでした。訳もとても読みやすかった。
    このブクログのレビューでもネタバレフィルターかけずにネタバレしたりしてる人がいるみたいだし、とりあえず何も事前情報入れずに読むのが吉。読み終えてからあれこれながめて楽しめばいい。

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著者プロフィール

Anthony Horowitz
イギリスの作家。1979年、冒険小説『Enter Frederick K. Bower』でデビューし、YA(ヤングアダルト)作品「女王陛下の少年スパイ!アレックス」シリーズ(集英社)がベストセラーとなる。ドラマ『刑事フォイル』の脚本、コナン・ドイル財団公認の「シャーロック・ホームズ」シリーズの新作『シャーロック・ホームズ 絹の家』(KADOKAWA)なども手掛ける。アガサ・クリスティへのオマージュ作『カササギ殺人事件』は、日本でも「このミステリーがすごい!」「本屋大賞〈翻訳小説部門〉」の1位に選ばれるなど、史上初の7冠に輝く。続く『メインテーマは殺人』『その裁きは死』『ヨルガオ殺人事件』(以上、東京創元社)も主要ミステリランキングで首位を取り、4年連続制覇を達成した。


「2022年 『ホロヴィッツ ホラー』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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