ヨルガオ殺人事件 下 (創元推理文庫)

  • 東京創元社
4.12
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  • Amazon.co.jp ・本 (432ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488265120

作品紹介・あらすじ

“すぐ目の前にあって──わたしをまっすぐ見つめかえしていたの”名探偵アティカス・ピュント・シリーズの『愚行の代償』を読んだ女性は、ある殺人事件の真相についてそう言い残し、姿を消した。『愚行の代償』の舞台は1953年のイギリスの村、事件は一世を風靡した女優の殺人。誰もが怪しい事件に挑むアティカス・ピュントが明かす、驚きの真実とは……。ピースが次々と組み合わさり、意外な真相が浮かびあがる──そんなミステリの醍醐味を二回も味わえる、ミステリ界のトップランナーによる傑作!

感想・レビュー・書評

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  • アンソニー・ホロヴィッツ作品を読むのは4作目。
    作中作「愚行の代償」単独でも十分に高品質なミステリーなのに、それが現在(設定は2016年)の事件と共鳴しあって、8年前に結審した筈の殺人事件と今の行方不明事件が同時に解決する、という、またまたアクロバティックな展開に今回も脱帽です。
    独特な性癖のひとが多めに出てくるのは、少々食傷気味ではあるけれど、アティカス・ピュントものとして続く限りはある程度避け難いのかも。

    これだけ制約がある中、続編で同じクオリティを保てるのかしらん、と次が心配になるくらいの傑作でした。

  • 素晴らしかった!
    何度見でもできる。本の中の本を読むなんておかしな話だけど。。。
    何年も前になる殺人事件の容疑者が、実は逮捕された人間と違うのがミステリー『愚行の代償』を読んで分かった。そして読んで知らせてくれた娘が失踪した。

    どこに犯人だと分かるヒントがあるというのか。
    なめるように読んでしまったけど1回では到底わからず。

    というかそれ伏線だったんかーい!というのもちらほら。

    個人的には、最も不幸な探偵役ともいえるスーザンが今回報われて良かった。そしてアンドレアスが今回も鋭いしかっこいいのでギリシア人の評価爆上がり。

  • いやはや、すごいよねー。
    そうくるか。
    そう絡めてくるのか。
    え?ちょろい読者選手権の結果?
    それは秘密。

  • 最後の種明かしのところで
    今までの伏線とか物語が繋がった気がしてすごく面白かった。

  • ウ~ン、面白かったッス。自由自在の筆ですね。
    こんなに面白いのに、あんまり「好き〜!」てさせないのは、(売れすぎてるのはあるけど)作者のとんでもないバランス感覚のたまもののように思える。
    めちゃくちゃ緻密な頭脳がないと絶対書けない作品群なのに、ホーソーンシリーズでは自分は凡庸で鈍いキャラだし。
    一人の人間がこんなの書けるんでしょうか。まったく。

  • この小説の肝ともいうべきアランの作品「愚行の代償」もきっちり載せているのですから、“ひと粒食べて二度美味しい”というどこかのお菓子メーカーのキッチフレーズを思い出します。改めてホロヴィッツの書くミステリーの凄みを感じました。
    主人公のスーザンの思うようにこのアランの作品を読んでも、この中身でどうしてヨルガオ館の殺人事件の真犯人がわかるのかという疑問が残ります。
    しかし、最後には様々な伏線を回収し真犯人が顔を出します。スーザンがポアロばりに関係者を集めて犯人を言い当てる下りは、やっぱりミステリーの醍醐味です。それにしても、途中スーザンが危ない場面でまたアンドレアスが何故か登場し彼女を救います。うーむ劇画風だと思いつつもほっとする場面でした。

  • 「カササギ殺人事件」から2年、恋人のアンドレアスと共に、クレタ島のホテル経営に携わっているスーザン。しかしホテルの経営状況はよくなく、2人の中もすれ違いがちだ。そんな時、ホテルの客には場違いな裕福な夫婦がイギリスから訪ねてくる。彼らの娘の失踪に、スーザンがかつて手がけたアランの本が関わっていると言うのだ。高額な報酬に釣られてイギリス行きを決意するスーザンを待っていたのは。

    前作のカササギと同じく、作中作が大きく関わってくるんだけど、現代パートに戻る頃には、誰がなんだったか忘れたり、作中作パートの人と混同したりしてしまうのだった。とはいえ、ちゃんとスーザンが対応表を作ってくれるんですが。
    そんなわけで、名探偵 みなを集めて さてと言い、が2回も見られる楽しい作品。私は犯人当てはさっぱりですが、当てに行きたい人には二度美味しいはず。
    最後は冤罪が晴れ、恋人との仲も修復して一件落着、とはいえ、依頼人が感謝とも恨み言ともつかない手紙をよこしてくるあたりも、何もかも暴いて去っていく名探偵ものらしさもあり。
    3作目もありそうとかで、楽しみです。次はアンドレアスと仲良くね!(颯爽と再登場するシーン、好き笑)

  • (上巻より)

    前作同様、作中作の方が面白い。
    屋敷を買い取りホテルとした女優が殺され、
    ミステリーの王道で容疑者がもりだくさん。
    まずは貴族の出自のため勘当同然で結婚した夫、
    住み込みで働いている母親と女優に好意をよせるその息子、
    ホテルを切り盛りしながら金をくすねている夫婦、
    映画に出演をせまる映画プロデューサーなどなど。

    実在の人物を下敷きに、意地悪く登場人物に変えている(前作で殺された)著者のはずなのに、
    探偵の新しい秘書だけは優秀で、気が利いて、と良い人に描いていて、
    ちょっと変だなと思っていたら…。

    先に読んだホーソーンシリーズよりもこっちの方が面白いのは確かだが、
    実際の事件の方の被害者は、
    占星術にはまっていて、純粋で騙されやすく、
    父母から愛される娘でありながら、姉は大嫌い、
    婚約中に他の男と浮気をし、
    その男の子供を夫の子供として産むと人物設定が無茶苦茶なのはひどすぎる。

  • 2024.3.17
    カササギ殺人事件の続編。作中作の構造を持ったアティカス・ピュントシリーズをもう一作読めること自体が奇跡的だと思います。本編の『ヨルガオ殺人事件』も作中作の『愚行の代償』も素晴らしい本格ミステリだと思いました。更に続編も予定されているとのこと。楽しみにしています。

  • 毎回1作品で2作楽しめる、頭がおかしい作品。それぞれ独立させても十分面白いのに、ヒントの1つにしてしまう贅沢な作中作。

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著者プロフィール

Anthony Horowitz
イギリスの作家。1979年、冒険小説『Enter Frederick K. Bower』でデビューし、YA(ヤングアダルト)作品「女王陛下の少年スパイ!アレックス」シリーズ(集英社)がベストセラーとなる。ドラマ『刑事フォイル』の脚本、コナン・ドイル財団公認の「シャーロック・ホームズ」シリーズの新作『シャーロック・ホームズ 絹の家』(KADOKAWA)なども手掛ける。アガサ・クリスティへのオマージュ作『カササギ殺人事件』は、日本でも「このミステリーがすごい!」「本屋大賞〈翻訳小説部門〉」の1位に選ばれるなど、史上初の7冠に輝く。続く『メインテーマは殺人』『その裁きは死』『ヨルガオ殺人事件』(以上、東京創元社)も主要ミステリランキングで首位を取り、4年連続制覇を達成した。


「2022年 『ホロヴィッツ ホラー』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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