- Amazon.co.jp ・本 (448ページ)
- / ISBN・EAN: 9784488403041
感想・レビュー・書評
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「黒いトランク」と同じく鬼貫警部もの。シリーズ第4弾とのこと。
安楽椅子探偵が華麗に謎を解く作品も好きだが、本作のように地道に街を訪ね、人を訪ね、ひとつひとつ細い糸をたぐっていく作品も最近とみに好き。
アリバイ崩し&鉄道ミステリーの名作だと思う。鬼貫警部もいいが、上野署の須藤刑事も味があってよい。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
鉄道ミステリーはあまり好みじゃないですが、いかにして謎が暴かれていくのかには興味があるので最後まで楽しめました。探偵もののような派手さはなく地味ですが、時代背景が興味深いです。(メインの事件は下山事件を連想させます)
巻末の有栖川氏の文によれば鉄道ミステリーを確立し、リアリズムの捜査小説と本格ミステリーを融合させた鮎川氏の代表作とのことで、推理小説を知るのに頑張って読んでみるのもいいと思います(合わなければ自分の好みを知ることができますし) -
4+
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漠然とした手掛かりを頼りに、東京から京都、大阪、更に福岡まで飛び、執念で容疑者を絞りこむプロットはとても読み応えがあります。
鉄道を利用した二つのアリバイトリックは独創的で秀逸です。特にメインのアリバイトリックは単純にして大胆。伏線もきめ細かく、申し分のない出来です。
前半のストライキや新興宗教の部分はやや冗長な気がしましたが、作品の完成度は高く、探偵小説のお手本のような作品だと思います。 -
紡績会社の社長が上野の両大師橋で殺されて東北本線の鉄道車両の屋根に落下して運ばれる。鉄道トリック。
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1959年発表
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妥協を許さない鬼貫の捜査方針は時には呆れてしまうが、本作も粘り勝ちで犯人を追い詰めている。たった一本の糸を手掛かりに足を使って捜査するシーンが強く印象に残る。メイン、サブともに鉄道トリックを用いた希少な作品である。ともすれば、危険なトリックになりうるかも知れないものを、作者は堂々と論理的に披露している。レールに乗って一級の本格ミステリを堪能するのもいいが、たまには推理に参加したいものだ。