背が高くて東大出 (創元推理文庫 M て 1-16 天藤真推理小説全集 16)
- 東京創元社 (2001年7月1日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (438ページ)
- / ISBN・EAN: 9784488408169
感想・レビュー・書評
-
ショート・ショートから中編まで10編収録の作品集。
天藤さんの作品のイメージは『大誘拐』のほのぼのとしたユーモアミステリのイメージだったので、収録作品のちょっとブラックな感じは少し意外でした。
一番好きだと思ったのは「父子像」主人公が父親の職業を調べる短編です。
これはどちらかというと天藤さんのイメージ通りの短編。宮部さんの初期作品と似たような明るさとほのぼのさがあったと思います。
「背面の悪魔」は少しエロティックでブラックな短編です。手記が少しホラーっぽくも感じられて面白かったと思います。
「日曜日は殺しの日」と「死神はコーナーに待つ」はどちらも100ページほどある中編。「日曜日は~」は犯人が最初から分かっている倒叙サスペンスとなっていて、犯人視点、刑事視点と視点の切り替えが面白く、それによって追い込まれていく過程、事件のほころびに気づいていく過程、どちらも楽しめました。
「死神は~」発作的に女性を殺してしまった男が主人公。それなのに文体や男の言動のおかげで主人公はなんとも憎めないキャラになっています。
事件の目撃者と思われる女性との不思議なやり取りや産業スパイが絡んできたりと、なかなか動きの多い作品でこちらも楽しめました。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
短編集。表題作「背が高くて東大出」が良い感じにひねりがきいててお気に入り。あとは「父子像」。ネタバレになるので詳しく書けないが、素晴らしい。
あとこの短編集、エロ要素が含まれている作品も多いですな。 -
題名に惹かれて読んでみました。
「父子像」は特によかったです。
父親の職業を知らない僕(主人公)がそれを探ります。
最後に明かされる父親の職業が良いですね。
是非他の作品も読みたいです。 -
やっぱり面白いなぁ。天藤真は凄い。乱歩の設定した本格の形式とは離れているんだけど、これは明らかに本格。日本のミステリが如何に乱歩の影響下にあるかだね。収録短編どれもこれもユーモアに富んでいたり、展開が巧妙でぐいぐい引っ張っていったりと読んでて飽きることがない。すばらしい。
-
(収録作品)背が高くて東大出/父子像/背面の悪魔/女子高生事件/死の色は紅/日曜日は殺しの日/三枚の千円札/死神はコーナーに待つ/札吹雪/誰が為に鐘は鳴る