なぎなた (創元推理文庫)

著者 :
  • 東京創元社
3.25
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本棚登録 : 185
感想 : 16
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  • Amazon.co.jp ・本 (361ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488421076

作品紹介・あらすじ

米大統領選挙の熱狂の最中に発見されたひとつの死体の謎を、ファンタスティックな筆致で描く「幻の銃弾」など七編収録。たくらみに満ちたミステリ・ワールド、二分冊その1。

感想・レビュー・書評

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  • ちょうど10年前くらいの短編集
    未発表作品を集めたものだけに、、、あくまで個人の感想ですが、倉知ファンではあるだけに通常作品との差があって、うんまぁ全打席ヒットは無理よねぇという気持ちになりました
    でもまぁファン的にはこういうのもたまにはありですかね

  • 短編集。うーん、どの話も特にミステリとしては意外性も驚きもなく読み終えた。「運命の銀輪」は死神みたいな警部のキャラ性は面白く感じたけれど事件を解く鍵となるものが出てきた時にすぐ「あっ、これのあれが使われるんじゃないか」と気付いた。他の話もすぐに謎が解けてしまったのでミステリにあまり馴染みがない人の方が面白く読めるんじゃないかな。一番楽しく読めたのは「見られていたもの」だった。

  • ノンシリーズの作品を集めたミステリ短編集。

    猫好きはより楽しめる「眠り猫、眠れ」と「猫と死の街」、倒叙ものの「運命の銀輪」、日常の謎を追う「ナイフの三」など、七つのお話。

    取り立てて派手さのない普遍的な雰囲気に安堵しながらページを繰っていくと、不穏な空気を膨らませて物語を盛り上げていく手腕が素晴らしく、一気に読みました。
    ただ、お話の雰囲気作りはうまいのですが、真実を隠すために偽装を重ねる犯人の話が多く、その偽装があり得なさすぎて本格ミステリとしては腑に落ちない読後感でした。

    どの短編もひねった作りなのは、悪への警鐘とか社会への糾弾といった作者の強いメッセージ性が込められているからなのかと思いましたが、そういうわけでもなさそうです。

    後書きも蛇足って感じで・・・倉知さんのノリは自分には合わないみたいです。

  • 読みやすい、定番トリック、バラエティあり。
    ミステリー初心者におすすめかな。

  • 倉知淳のミステリ短編集。二冊同時刊行の片方。
    もう一方より面白い話が多かった。
    ただしテンポは良くない。読み辛いわけではなく、作品自体の雰囲気と合っていないのだと思う。個人的に合わない可能性もあるが。
    話としては、例えば「消えた銃弾」等はとても上手いと思えるので、次回作以降に期待。
    3-

  • 流石に面白かった

  • 死に神を思わせる風貌の警部が、完璧だったはずの殺人計画を徐々に崩壊へと導いていく-倒叙ミステリ「運命の銀輪」をはじめ、残虐な場面が上映されているにもかかわらず観客席の闇の中で微笑を浮かべる女性の謎を追いかける傑作「闇ニ笑フ」、米大統領選挙の熱狂の最中に発見されたひとつの死体の謎をファンタスティックな筆致で描く力作本格推理「幻の銃弾」など七編を収録。

  • 「たくらみに満ちたミステリ・ワールド」ということで、短編集「なぎなた」。全七編を収録。お話の一つ一つは確かに短編なんだけど、通して読んでみると結構な文章量がありますね。本短編集の姉妹本「こめぐら」も同時にリリースされています。

    本格ミステリの入門編を書き続ける、という作者の思いもあって、内容としてもそれほど複雑ではなく、アンフェアというものでもないのだけど、ミステリをそこそこ読んでいる人間からすると、少々物足りない。また、ちょっと話が強引かなと思わないでもない。

    個人的には収録されている一編「運命の銀輪」が面白かったですね。倒叙ミステリというもので、「コロンボ」とか「古畑任三郎」というと分かりやすいですかね。まず犯人の犯行が描かれ、それを探偵がどうやって追いつめていくのかといった部分がお話の焦点になる作品です。

    作者さんはこの倒叙ミステリものをシリーズ化しようと考えているようなので、こちらは気になります。ただ、その他の短編については…うーん、やっぱり物足りないかな。ネコがやたらに登場するので、ネコ好きの方なら共感できる部分があるかもしれませんね。私は特にネコ好きでもないので、登場する度に「またネコか」と思う程度でしたけど、逆にネコに良い思い出がない方からすれば、うんざりするかもしれないな。

    個人的には、ネコ好きに向けてリリースしているわけでもないのだし、もう少し控えた方が…と感じますけど、「あとがき」にもありますが、作家がネコ好きなので、仕方ないかな。

    お勧めは…ちょっと難しいですね。

    入門編というには、ミステリがあまり強くないというか、登場する謎に対して「なぜ?」という気持ちが強く働かないので、あくまで、ネコが多く登場する短編小説、という体で読んだ方がいいかもしれない。そういう意味ではお勧めです。

  • “焦れる詩織をよそに、丈史はしたり顔で、
    「これも俺は現物を見てるんです、間違いなくおっさんはサンダル履いてました。で、ここからは蓋然性の問題なんですけどーー」
    「無理して難しい単語使わないでよ」
    「別に無理してませんってーーでね、今日は土曜日でしょう、仕事が休みの人も多いはずです。休日にサンダル履きで洗剤だけを買うーーこういう行動をする人は、近所の住人である可能性高いと思いませんか」
    「そんなの判んないじゃない、休みじゃない人もいるし。普段からデフォルトでサンダル履きの人だっているだろうしさ」
    「この季節にですか?今の時期、サンダル一本槍で通す人はめったにいませんよ、爪先寒すぎです」
    「けど、電車で買いに来たのかもしれないよ、特売で洗剤が激安だったか何かで。可能性の話なら、車で来たってことも考えられるでしょ。サンダル履いて運転して来て、近くの駐車場に停めた、とか」
    「車でわざわざ洗剤一箱だけ買いに来るなんて、それこそ蓋然性低すぎですよ。そんな無駄なことする奴はめったにいないでしょう、普通」
    「それはそうだけどーー」
    詩織は言葉に詰まってしまう。確かに、そう云われれば反論でいない。ヘタレのくせにこの男、口だけは達者だ”[P.195_猫と死の街]

    「運命の銀輪」
    「見られていたもの」
    「眠り猫、眠れ」
    「ナイフの三」
    「猫と死の街」
    「闇ニ笑フ」
    「幻の銃弾」

    「眠り猫、眠れ」と「闇ニ笑フ」が特に良かった。

    “「確かに彼女、美形だ。お前がこだわるだけのことはあるーーけどな、正体不明の謎の女ってのは、お前の思いすごしだよ。俺にはすぐ判ったぜ、彼女が何者かーーそれから、どうして何度も同じ映画を観に来て笑ってるのかも」
    「そんなバカなーー」
    思いがけない椎名の発言に、僕はきょとんとしてしまう。
    「本当だよ、一目見てすべて判った」
    「一目見てってーー嘘つくなよ、判るわけないじゃないかよ、そんなの」
    「本当だよ、お前もよく考えてみれば判るはずだーーまあ、云ってみりゃ彼女、お前と同じことをしていただけなんだな」
    「僕と同じことーー?」
    意味がまるで判らず、ぽかんとして聞き返す僕に、椎名は笑って答えて、
    「いいシナリオ書くには人間観察も必要なんだろ。しっかりしろよ、最終候補」”[P.269_闇ニ笑フ]

  • 短編集。7編。
    「本格ミステリの入門編を心がけている」と著者が仰る通り軽く読めるミステリ。
    「運命の銀輪」は倒叙もの、「見られていたもの」は事件を目撃して…というもの、「幻の銃弾」はNYが舞台の事件もの。
    他の4編は日常の謎を扱ったもの。
    どのお話もシンプル。ミステリを読み慣れている人には物足りないかも。

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著者プロフィール

一九六二年静岡県生まれ。日本大学藝術学部卒。九三年「競作 五十円玉二十枚の謎」に応募し、若竹賞を受賞、九四年『日曜の夜は出たくない』で本格的に作家デビュー。二〇〇一年『壺中の天国』で第一回本格ミステリ大賞を受賞。著書に『星降り山荘の殺人』『片桐大三郎とXYZの悲劇』『皇帝と拳銃と』『豆腐の角に頭ぶつけて死んでしまえ事件』『月下美人を待つ庭で猫丸先輩の妄言』などがある。

「2021年 『作家の人たち』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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