慟哭 (創元推理文庫) (創元推理文庫 M ぬ 1-1)
- 東京創元社 (1999年3月17日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (418ページ)
- / ISBN・EAN: 9784488425012
感想・レビュー・書評
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終わり方がスッキリしなかったです
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2つの物語が交差する時ゾクゾクした
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母から勧められて読んでみた。
「答え」を強く求める人には評価されず、「過程」を楽しめる人には向いている本だと言えそう。
読了後「珍しく大オチは読めた!」と鼻息荒くWeb上の考察・レビューの類を読み漁ったが、結構分かった人が多い様子で。
「そうだよね〜結構わかりやすい伏線だったもんね〜自分でも分かるってことは百戦錬磨のミステリ好きの方々は分かるよね〜」と正直少し残念に思った。
ただ、いろんな人のレビューを読むうちにこれは単純なフーダニットものではないのかもと思うようになった。(表面的にはそう見えるけど)
思うに、この小説は以下のような設計(楽しみ方)を意図して執筆されているように感じた。
1.フーダニットを早い時点で読者に強めに匂わせて「読めた!」と思わせる。
2.途中で揺さぶりをかけて「やっぱり違うかも」と思わせる ※ここがミソ
3.「やっぱりそうでした」のオチに持っていき、「知ってた!」と言わせる
4.ラストは寂寥感で締めくくる
2を挟まないと、2流ミステリになってしまう。
2があることで、読者は達成感・優越感を感じることができる。
※自分のように、途中で「あ、自分の予想違うかも」と思っていた人も、掌を返して都合よく「知ってた!」と言える。
そういう意味では、「読めた→つまらん」となる人と「読めた→おもろい」となる人の違いは、2でちゃんと揺さぶられたか?揺さぶりを楽しめたか?の2点だと思った。ここがあるから深みが出る。
ただこの本の楽しみ方は、きっと他にもあって。
この本は「ワイダニットを味わう」楽しみ方もできると思う。
多くの人の感想にもある通り、一人の男が絶望の淵から宗教にのめり込み、おかしくなっていくさまは読み応えがある。娘を持つ親としても、感じるところは多かった。
ミステリど真ん中かと言われるとそうではないとは思うのだが、人によってさまざまな楽しみ方ができる良質な物語であるがゆえに、多くの人から評価されているのだと感じた。
さて、次は定番のクローズドサークルに戻ることにしよう! -
巧妙に構成された展開で、でも終盤に向かって徐々に真実が見えてくるのがおもしろかった。
新興宗教はフィクションだと感じるくらい縁遠いものだから、描かれた姿がリアルかどうかは分からないけど、ハマっていく様はなるほどなぁという感じ。
ラストシーンではなんともいえん気持になるなぁ。 -
そうきたかーなるほどねー!
フィクションとはいえ子供が死ぬのはつらい。
ただ文書の構成力というか、作者の方の考察力がすごかった!
ラストは一気に読んじゃいました!^_^ -
とても悲しい物語。タイトルの慟哭とは本来、激しく泣き叫ぶことのような意味なのですが、作品中にそうしたわかりやすい激情の発露のような描写はほぼありません。だからこそ、脳みそが痺れるようなやり場のない悲しみが伝わってきました。
新興宗教にのめり込んでいく男と、連続幼女誘拐事件を追う警視庁捜査一課の課長の視点で交互に物語が進みます。最後まで読み終えた時、ただただ悲しい、そういう感情を覚えました。また頭から読み返したくなる作品です。
ところで、貫井さんの作品は初めて読みました。初版が1999年なので見慣れない単語があったりしましたが、クセがなくスッと入ってくる文体でリズムよく読むことができました。