鳥少年 (創元推理文庫)

著者 :
  • 東京創元社
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感想 : 44
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  • Amazon.co.jp ・本 (333ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488441029

感想・レビュー・書評

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  • 人がお勧めしていたのを見て、手に取ってみた。なので、この作者さんの作品は初めて読む。表題作の鳥少年は、自分的にぐっとくるものは少なかったけど、どの短編も最後にこうくるか~~ってひっくり返される感じがたまらなかった。女の人の情念とか快楽への欲求とかそういうものがひたひたと感じさせられるような…淡々と静かに進むストーリーだけど、それが逆にじわりと空恐ろしさを感じさせる。ただ、読んでる時人や時系列が混乱する事があって判りにくい事もあったなぁ。今度は皆川さんの長編を読んでみたい。

  • なるほどこれが皆川博子か…濃い作品ってこういうもののことをいうのかなあ、と思った

  • 作品のイメージや空気を感覚的に掴みづらい文章で、始終もやもやした感じが取れません。それが読後に感じるうすら寒さと相まって何とも言えない不快感があります(誉めてます)

  • 途中挫折ですー残念。「死の泉」を読んだ時には感じなかったんですがどうにも描写がわかりづらくて……この台詞はだれの? とか、これはだれの行動? とかいちいち思考停止してしまうので話の世界に入りこむ以前の問題だったかも。
    「血浴み」まで読みました。「血浴み」の話は面白かった。どうしようもない感じの女の人のどろどろとした薄暗い話ですね……嫌いではないんだけどなあ。読み終わったらそれ以上先に読み進める気力がでなかった。

  • 不快に後を引く人間の生臭い情念を描かせるとぴかいち。

  • 16編収録。どれも淫らだ、最近の皆川作品にはない臭気がある。女の深い情念を扱った作品が多く、背筋が凍る不快さが残る。それは無意識中に自分が秘め隠していた部分を露わにされたことへの不快さなのかもしれない。怖いけど病みつきにさせる魔力がある。これから読む人(特に女性)は、ちょっと覚悟した方がいい。嵌ったらおしまい、底なし沼。

  • 皆川博子さんの短編は『蝶』のみ、他は長編ばかりを読んでいたので、短編集が出るのは凄く嬉しかった。解説に書かれている「小説誌からの依頼と自分が本当に書きたいもののギャップ」のようなものを所々に感じた。長編では見かけなかった、直接的な性表現などなど。でもやっぱり、全体的な雰囲気は皆川さんのものだ。

    一番のお気に入りは「密室遊戯」。自分の身体が存在することを自分で確認する為の自傷行為(身体に直接傷をつける方法から、精神的に自らを追い込んでみる方法まで色々ある)。私の場合、今いる場所が夢の中なのかそれとも現実世界なのか分からなくなることがある。これが倦怠感から来ているのかもしれない、と、この短編を読んで思った。
    人形好きとして気になった短編は「指」。寝ている人間に化粧を施すお話。球体関節人形制作の本を読んでいて、一番面白そうなのはお化粧の頁だったな、と思いだした。川端康成の『眠れる美女』好きな人は割と好きなんじゃないかな……?
    表題作の「鳥少年」は思っていたほどでは無かったな……。「鳥めいた変貌」は身体的なものかと思っていたんだけれども、声だけだった……「交流」というほどのものでは無かった。表紙開けてすぐのあらすじに、違和感を感じる。最後の一文がいまいち理解できないの……。
    「バックミラー」はいつもの文体とは異なり、若者の話し言葉のようで少々読みにくかった。こういう書き方もするんだね。最後の頁が理解できない……うぅ……
    「魔女」と「沼」は、結構好きな終わり方。『結ぶ』と『鳥少年』の2冊を読んで、幻視の意味が段々と分かってきた(気がする)。

  • 皆川さんの短編がピンとこないのか、もしくは初期作品?がピンと来ないのか。
    このあたりの妖しさというよりうすら寒い感じはあまりです。ざんねん。

  • 「火焔樹の下で」
    「卵」
    「血浴み」
    「指」
    「黒蝶」
    「密室遊戯」
    「坩堝」
    「サイレント・ナイト」
    「魔女」
    「緑金譜」
    「滝姫」
    「ゆびきり」
    「鳥少年」

    「泣く椅子」
    「バック・ミラー」
    「沼」

    やはり文体。
    そしてこの作品集では、昏い情念や執着のようなものがじっとりねっとりと。
    特に中年女性の年下の青年に対する、それが。

  • 『蝶』のような幻想的な感じをイメージして買いましたが、それとはまた違いました。
    幻想的というよりは人の狂気や執着心なんかが多かったように思います。
    少し読みづらい書き方をしてる話もありましたが、基本的には相変わらず読ませるものがありすっと読めました。

    好きだったのは、夢野久作や江戸川乱歩を思わせるところがある『火焔樹の下で』『密室遊戯』
    最後に驚かされる『サイレント・ナイト』『魔女』『泣く椅子』
    一番好きだったのは『沼』ですね。
    幻想怪奇的な稚児とお坊さんの小話も好きですし、最後の一文も好きです。
    残酷さがありながらどことなく綺麗さを感じました。

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著者プロフィール

皆川博子(みながわ・ひろこ)
1930年旧朝鮮京城市生まれ。東京女子大学英文科中退。73年に「アルカディアの夏」で小説現代新人賞を受賞し、その後は、ミステリ、幻想小説、歴史小説、時代小説を主に創作を続ける。『壁 旅芝居殺人事件』で第38回日本推理作家協会賞を、『恋紅』で第95回直木賞を、『薔薇忌』で第3回柴田錬三郎賞を、『死の泉』で第32回吉川英治文学賞を、『開かせていただき光栄です―DILATED TO MEET YOU―』で第12回本格ミステリ大賞を受賞。2013年にはその功績を認められ、第16回日本ミステリー文学大賞に輝き、2015年には文化功労者に選出されるなど、第一線で活躍し続けている。

「2023年 『天涯図書館』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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