模倣の殺意 (創元推理文庫)

著者 :
  • 東京創元社
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  • Amazon.co.jp ・本 (327ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488449018

作品紹介・あらすじ

七月七日の午後七時、新進作家、坂井正夫が青酸カリによる服毒死を遂げた。遺書はなかったが、世を儚んでの自殺として処理された。坂井に編集雑務を頼んでいた医学書系の出版社に勤める中田秋子は、彼の部屋で偶然行きあわせた遠賀野律子の存在が気になり、独自に調査を始める。一方、ルポライターの津久見伸助は、同人誌仲間だった坂井の死を記事にするよう雑誌社から依頼され、調べを進める内に、坂井がようやくの思いで発表にこぎつけた受賞後第一作が、さる有名作家の短編の盗作である疑惑が持ち上がり、坂井と確執のあった編集者、柳沢邦夫を追及していく。著者が絶対の自信を持って読者に仕掛ける超絶のトリック。記念すべきデビュー長編の改稿決定版。

感想・レビュー・書評

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  • 7/7に死んだ坂井正男と坂井正男。時間差トリックに完全に騙された。想像していた結末と違いすぎてびっくり。

  • やはりミステリ好きには、読者への挑戦がしびれます。
    違和感も少なく、読みやすい上質な叙述トリックミステリ。

  • すっかり騙されてしまいました…。

    ページをめくる度に明かされていく真実におもわず、え?え?と声が出るほど。しっかり読んでいたはずなのに…。

    楽しめました。

  • 一つの事件を二人それぞれの視点で紐解き、真相を推理していくのだが、見事に騙された。
    特に気にもとめずスルーした箇所にヒントが隠されていた。
    全てを読み終えてからタイトルを改めて見ると、合点がいく。

    時代背景など古臭さは感じてしまうものの、昭和40年代に国内最初の叙述トリックを完成させたという事実は素直に評価したい。

  • わからなかったわぁ…
    そんなに古い感じがしなかったのだが、結構前の作品でびっくり。でも、ちょっと納得。

    2人の人間が、作家、坂井正夫の死を追いかけ、調べていく。でも実は…

    よく読めば人物像でわかったかもしれないのに、残念。
    でも、やっぱり1年のズレは気づかなかったかな。
    解説を読んで、二回改訂されたとの事。それも面白かった。

    まあまあでした。

  • 叙述トリックという手法にすっかり騙されて(^^;;
    この作品が、叙述トリック国内初みたい。
    古い作品だけど、3回ほど改訂&改題されている事からも名作なんやろな。
    古き良き時代の作品やな。
    殺意シリーズは、まだ何冊か出てるので読んでみよ(^-^)v

  • 1人の被害者、1つの事件。
    その事件を調べる探偵役が2人、
    そして浮かび上がる容疑者も2人。

    完璧な密室殺人。
    そもそも殺人事件なのか。自殺ではないか。

    事件だとしたら、犯人は?動機は?
    どうやって殺したのか?

    4章の「真相」に書かれた
    作者からの挑戦状を前に、
    あれこれと推理してみました。

    何も当たりませんでした。
    いや、正確には惜しいところまでは
    自力でたどり着きました。


    上記のあらすじがそもそも間違っていた。
    被害者は2人、事件も2つ。
    そして探偵役の1人が犯人。
    1年ズレていたなんて…!

    だから『模倣の殺意』なのか。

  • あれに似たトリックだなーと読後に思いましたが、出版が昭和の40年代であり、あとがきをみると、後に似たようなトリックが出回ったとのこと。なるほど! これが元祖なのでしょうか。

  • 確かに今はもうこの手の叙述ミステリが溢れてるけど、当時は新鮮だったんだろうなー。
    個人的には柳沢さんが列車に乗ってなかったところを見破るトラックの表記(小柴→???)のくだりが好き。

    ・やたらみんなタバコを吸う
    ・個人情報もらしすぎ
    ・固定電話とか交換手とかカメラのトリックとか
    ・名前がめちゃめちゃ古風
    昭和ならでは。

  • またまた未来屋書店さんのミステリー売り場で自分が購入。

    ↑このミステリー売り場はこれまで随分楽しめただけにかなりハードルあがってしまった(^_^;)

    七月七日、午後七時。作家 坂井正夫が青酸カリによる服毒死と遂げた。
    中田秋子、津久見伸助はそれぞれの見地から真実を追いかける。

    中田、津久見と交互に真相に近づいていくのだが、真実は!!

    あー!そういう落ちかぁ!
    まぁ、騙されたっちゃ、騙されたわけだけど、少々後味が良くない。

    最初はアリバイ崩しか!?と思ったが、これは叙述トリックか(^_^;)

    私にはちょっとイマイチでございました(^_^;)

  • なんだかとっても難解‥というよりややこしい。
    読者のミスリードと言われたら、それはそうなんだけど、そんなのアリ?!と言う真相。
    その上40年くらい前に書かれているので時代背景とか言葉使いとかとにかく古臭い。
    すっごく昔のサスペンスドラマを見ているような気になる。
    もっと現代風にアレンジして再出版したら面白いのかも。
    でも原作者は亡くなっているから別の人で。
    アッ

  • うーん、いまいち
    なんと40年も前に書かれたミステリー
    叙述トリックをつかった物語でしたが、だから何?ってなってしまいました。
    あまり衝撃も受けず、たんたんと、あ、そういうことね。で終わってしまい、残念。

    ストーリとしては、7月7日の7時に死んだ坂井正夫の死の真相をめぐる物語。
    自殺か他殺か?その真相をめぐり、男女二人が別々の視点から真相に迫っていきます。
    なので、探偵役は二人です。
    二人の視点がめまぐるしく変わって、それぞれが徐々に真相にたどり着いたところで、ネタばらしとなりました。

    盛り上がるところもなく、メッセージ性もなく、淡々と事件が語られていき、淡々と真相が明らかになった印象です。
    なので、とくに印象に残るところもなく、トリックにトリック重ねて、最後は叙述トリックか...
    っといった感じで、深みを感じられませんでした。
    こうした凝ったトリックや謎解きよりも、ヒューマンドラマが欲しかったなぁ...

    謎解きが大好きな方にはお勧め
    エンターテイメント、ヒューマンドラマ、メッセージを求める方にはいまいち
    といった物語です。

  • 「叙述トリック」なるものを始めて読みました。トリックに気付いた時にはしてやられたと苦笑いしてしまいました。

  • 面白かったし、トリックもいい感じだったけど、なんだかあんまり熱中して読めなかったー
    秋子と津久見が違う時間軸じゃないかとそこは驚きたが同姓同名の坂井正夫と言うトリックに驚いた。

  • まず書かれたのが1972年であり、出版社やタイトルを何度も替えて再販されている作品であるという事。
    なんか違和感を途中から抱くものの、答えが出せぬまま結末を迎えて…

    作品が描く時代背景の古さは感じるものの、すっかり騙されたなぁ
    読み終えた後に、タイトルの意味に納得でした

  • 大変古い小説だと読んだ後に知る。改めて、この時代に叙述トリックを成立させたことに敬意を表したい。
    しっかり騙された。
    負け惜しみかもしれないが、人物描写がなんだか、食い違っているなあ、という気持ちはあった。
    秋子の会っている正夫と津久見や柳沢が話している正夫がイメージが違う、というか。

    津久見は真相にたどり着けるのか、この小説では書かれていないが、たどり着いて欲しくない、という気持ちが勝る。


  • 見事なミステリ。
    短いながら、読み応えあり。

    ストーリーは、
    坂井正夫氏が、
    サイダーに入った青酸カリを、
    服毒し、
    苦しみ、3階の窓から転落、
    死亡するところから始まる。

    その後、
    作家である父の紹介で知り合った、
    正夫に医療雑誌の議事の推敲を依頼していて、
    恋人であった、秋子のストーリーと、

    ミステリ作家である正夫と同人誌活動をしており、
    新人賞後第一作目を生み出す苦労を、知っていた
    友人の津久見のストーリーが、

    1辺ずつ、交互に語られる。

    ふたつのストーリーは、
    解決編直前まで、
    ついにずっと交わることもなく、
    ヒントのすべてを出し終わる。

    正夫の死の原因として、
    毒殺の犯人が居るのではと思い、
    過去、正夫にまとまったお金を渡していた女性、
    律子を追って、富山に向かうところから
    始まる秋子のストーリー

    厭世自殺と処理され新聞発表されて知った
    正夫の死だったが、ルポを書く必要が生まれ、
    その取材の過程で疑問を持ち、
    正夫が過去、自殺においやった女性が、
    編集次長 柳田の妹とであり、
    相当に恨み、動機があった、というところまで、
    知り、迫る。

    またさらに、正夫の死後に発表された、
    7月7日午後7時の死、これが、
    秋子の父であり大作家であった瀬川幸太郎、
    の盗作だというのに、
    柳田が無理に編集長に通して、
    出版して本にさせた、ことまで。



    ___以下、謎解きと感想。(さらなるネタバレ)

    ・ふたつのストーリーが、最後まで、交わらなかった
     ことには、違和感は感じました

    ・ミスリードする、
     律子の話と、
     柳田の話、
     これらは、ミスリードだな、とは思いはした

    ・何度も囁かれる、
     「探偵は犯人」説、
     アンニュイな囁き。
     一度は、探偵は犯人を書け。
     (そういや、medium、思い出すな…)

    ・ふたりともこんなにも純粋に、
     正夫の死を追っているのに、
     実は、犯人ってことなんてある??

    ・どちらかが犯人? 

    ・え…?
     よく読むと、ふたりが知っている
     正夫の死の事実がちょっとずつ違う…
     なんでだろ…

    ・さらに、正夫が発表する前の
     瀬川幸太郎の作品の発表月がわからない…
     書いてない…いつ?
     
     てか、なんで秋子そのこと知らないの?
     秋子はそのことをまったく問題にせず、
     送られてきた原稿が書かれた場所に訪れた
     だけなんだ?
     自分の父親が、盗作したかもしれないのだよ?
     おかしくない?
     …? 知らない? なぜ?

    ・さらにいうと、
     正夫さんろくでなし過ぎない?

     秋子と婚約しておきながら
     隠し子が居て、その子供に会いに行ったり、
     障害を抱える子を、育てられないし、
     まとまったお金もらって、
     婚約者と旅行しようとしてたし、
     過去には編集次長の妹を自殺に追いやってるし、

     …???

     正夫、くそすぎないか?

     ………

     あれ?、、、

     正夫、ふたりいる?(嘘です…、ココだけは、
     最後まで全く気が付けなかったのです、
     もちろん、もうひとつの事実にもです、)

    ______

    他にも、色々気になったのですが、
    下記は、全部はずれ。

    ・津久見には恋人が居て、
     デパートで、贈るための
     カンラン石を買っているが、
     それを渡す描写が一切描かれない

    ・秋子の仕事場に、
     男から電話があって、
     声が聞きたいだけだったと、
     婚約者の正夫の死後にも関わらず、
     かかってくる。
     秋子にも、別の人が居た、説?
     その相手は、まさか、津久見…???


    ↑ このふたつの推理は、大ハズレでした…


    謎解きで、
    ハラハラしながら読めるミステリーを、
    久々に読めました。
     
     







  • 7月7日の午後7時、作家の坂井正夫が鍵のかかった自宅内で毒による死を遂げ、作家人生を儚んでの自殺と処理された。が仕事を依頼していた編集者の中田秋子や同人誌仲間だったルポライターの津久見伸助が事件について調べていくとそれぞれに怪しい人物が浮かび上がる。50年前の作品なので色々緩く、皆仕事上の個人情報喋り過ぎ!仕事に私情挟み込み過ぎ!である意味素人探偵が活躍しやすい背景が新鮮。二人の話が上手く噛み合わず読みにくいなー、と思っていたら作者の思う壺でした。今読むとこうね、と感じるけど当時を思うと衝撃。前評判入れず真っ更な状態で読むべし。特に後書きは読んじゃ駄目だ。

  • 正直、最後まで読んで真相が判明したとき、少しがっかりした。そのトリックがあまりにも大胆というか単純に思えてしまったからだ。だからこそ「騙された!」というような気持ちのいい感覚は得られなかった。
    しかし、真相がわかった上で改めて読み返すと節々に伏線があったことに気づいた。特に序盤にあった「探偵イコール犯人」というワードがこの作品そのものを表していることに気づくと思わず感心した。他にも、秋子側の坂井は受賞したと一言も書いてないなど、真相がわかった後にその緻密な構成を事細かに理解できたので、★4。

  • 騙されたー!!!
    途中までは気づいたのにー。
    気持ちの良い悔しさを久しぶりに味わえた良作。
    ミステリを読む楽しさってこういうところだよね。

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著者プロフィール

1935年群馬県生まれ。早稲田大学文学部卒業。 66年に「闇の顔」で第1回双葉推理賞候補になる。『新人賞殺人事件』(後に『模倣の殺意』に改題)で単行本デビュー。叙述トリックを得意とし、『空白の殺意』『三幕の殺意』『天啓の殺意』などの著作がある。2009年逝去。

「2022年 『死の湖畔 Murder by The Lake 三部作#2 告発(accusation) 十和田湖・夏の日の悲劇』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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