動物園の鳥 (創元推理文庫)

著者 :
  • 東京創元社
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  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488457037

作品紹介・あらすじ

春の近づくある日、鳥井真一のもとを二人の老人が訪ねてきた。僕らの年上の友人でもある木村栄三郎さんと、その幼馴染みの高田安次朗さんだ。高田さんが働く動物園で、野良猫の虐待事件が頻発しているという。動物園で鳥井が掴んだ真実は、自身がひきこもりとなった出来事とどうつながるのか-。鳥井は外の世界に飛び立てるのか。感動のシリーズ完結編、文庫版特別付録付き。

感想・レビュー・書評

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  • 引きこもり探偵シリーズ第三弾。「自分が人の悪意から救うべき者、あるいは救えなかった贖罪として。守っているふりして相手にすがっているのだ」滝本よく言ってくれた。自分に病弱な妹がいるからわかったんだね。「僕を手放しで必要としてくれる人の手をとって。その人に支えられて。そうやって生きてきた。」青空の卵を読んだ時、引きこもりの鳥井だけじゃなく坂木も救えないと思ってたから続きを読むか迷ったのだが、読んでよかった。「外は小雨で、薄暗い。誰かに顔を見られたくない人間が出歩くには、最高の天気だ。そしてノックの音が響いた」

  • ひきこもり探偵完結編。

    第一弾、第二弾はさくさくっと読みましたが、第三弾の今作は、引き込まれるように読みました。

    清々しい終わり方でした。

    ただ、どちらかというと自分は松谷さんタイプで…。でもここで凹んでしまってはこの本を読んだ意味がありませんよね!自分を大事に、大切な人を大事に!

  • あー、読み終わってしまった。寂しい。
    シリーズ1作目は面白くて、すいすい読んだ。2作目はひきこもり探偵シリーズが3部作しかないことを知って、大事に読んだ。そして、3作目は惜しむように読みました。

    なんとなく読む気になれなくて、ずっと仕舞っていた本だったけど、このタイミングで読めてよかった。

  • 動物園を舞台にした
    ストーリー
    出てくる鍋焼きうどんや
    ポトフが美味しそうでした♡
    最後にレシピが記載されてて
    作ってみようと思います♪

  • 季節は冬。ひきこもり探偵鳥井の作る鍋焼きうどんやポトフの美味しそうなこと。
    動物園のできごとをきっかけに、鳥井と坂木の過去が浮かびあがる。栄三郎も滝本も小宮もいい奴!
    ああ、完結してしまった。寂しい。

  • とうとうシリーズが終わった
    シリーズも回を重ねるごとにぐいぐい引き込まれていった

    最終巻は、動物園で野良猫が次々と怪しげな傷つけられ方をしている事件
    例によって、鳥井が解明していくにつれて、中学校時代のいじめの真相が明らかになっていく

    鳥井や坂木の心の闇だけでなく、一見、体育会系で明るく何の翳りもなさそうに見えていた警察官の滝本の心の傷も明らかになっていく

    そりゃそうだよな、誰にだって透明なセロファンのような心のわけがない。人に言えない弱さもあり、傷もあり
    もがいている
    だから、誰かに縋りたくて、聞いて欲しくて、認めて欲しくて、褒めて欲しくて
    そのくせ、助けなんていらないと強がってみたり
    何と人間はややこしくていじらしい生き物なんだろう

    そして、第十二章、坂木は心を鬼にして鳥井にもう部屋を訪ねることはないと告げる
    「僕は自分の部屋に帰る。今度は鳥井が僕の部屋に来る番だ」と

    鳥井のそばにいて、鳥井を守ることが精神安定剤となっていた坂木は、守るつもりで縋っていた鳥井という杖を手放す決断をする

    思いもしなかったことを告げられ取り乱す鳥井

    余韻たっぷりのエピローグに想像力が掻き立てられた
    二人の新たな未来をちょっとのぞいてみたい

  • 著者さんご自身でも文庫化時に振り返っておられましたが、「青臭い」という印象がありました。読んだ順番のせいかもしれません(坂木さん作品は和菓子のアンから入門しました)

    読み終わってから表紙を見るとエモいなぁと思いました。

  • シリーズ完結編では鳥井たちそれぞれの傷ついた過去が明らかになる。
    人の心の傷に触れるのはやっぱり苦しい。
    たとえそれが他者のものだとしても、その痛みが想像できてしまうと泣けてくる。
    だからこそ日常の謎を介して自身の問題と向き合い、前に進もうとする彼らを愛おしく思えるのだろう。
    坂木と鳥井。
    大人になりきれない二人をいつまでも見守っていたかったなあ。

  • 坂木さんの本を結構沢山読んだ後に、このデビュー作シリーズ。
    坂木さんの作品全体に一貫して感じられるメッセージは、この熱い作品からスタートしているのですね。

    読了後色々語りたいけれども....。シンプルに....。

    旅行行きたい!
    人の作った美味しい料理食べたい!
    全国銘菓食べたい!
    そして遠慮なく自分でいられる友達増やしたい!

    ああ、人間って厄介...。

  • シリーズ最後。ミステリーを期待すると違う。
    ちょっとした事件をみんなで考えながら、登場人物の過去や人間性に触れる話。
    鳥居がいじめられてた頃の描写は詳細ではないけど、そこに至るまでの過程は書いてて、かなり切ない。
    滝本の過去もさらっと書いてるけど、親と離れて暮らしていた話は、脇役なのにそれだけでスピンオフとしても別の話を書けそうなくらい。
    松谷ちゃんも、ご多分に漏れず好きになれないけど、家が駅に近かっただけで無意識の悪意に悩まされ、周りを気にし過ぎてしまうようになったのは可哀想かも。ただ、同じ境遇でも同じようになるかは別。
    最後の坂木がいきなり突き放すのは理解できなかった。なんでそんなに極端なんだろう。そこまで思い切らないと友達離れ出来なかった?
    でもすぐ仲直り出来たようで、成長できたのが分かってホッとした。
    巻末のレシピが思いがけず嬉しいオマケだった。

    人間にとって必要なのは、孤独になったとき、心に浮かぶ人たちの笑顔。
    確かにそうだなぁと妙に納得。

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著者プロフィール

一九六九年、東京都生まれ。二〇〇二年『青空の卵』で〈覆面作家〉としてデビュー。一三年『和菓子のアン』で第二回静岡書店大賞・映像化したい文庫部門大賞を受賞。主な著書に『ワーキング・ホリデー』『ホテルジューシー』『大きな音が聞こえるか』『肉小説集』『鶏小説集』『女子的生活』など。

「2022年 『おいしい旅 初めて編』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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