とうとうシリーズが終わった
シリーズも回を重ねるごとにぐいぐい引き込まれていった
最終巻は、動物園で野良猫が次々と怪しげな傷つけられ方をしている事件
例によって、鳥井が解明していくにつれて、中学校時代のいじめの真相が明らかになっていく
鳥井や坂木の心の闇だけでなく、一見、体育会系で明るく何の翳りもなさそうに見えていた警察官の滝本の心の傷も明らかになっていく
そりゃそうだよな、誰にだって透明なセロファンのような心のわけがない。人に言えない弱さもあり、傷もあり
もがいている
だから、誰かに縋りたくて、聞いて欲しくて、認めて欲しくて、褒めて欲しくて
そのくせ、助けなんていらないと強がってみたり
何と人間はややこしくていじらしい生き物なんだろう
そして、第十二章、坂木は心を鬼にして鳥井にもう部屋を訪ねることはないと告げる
「僕は自分の部屋に帰る。今度は鳥井が僕の部屋に来る番だ」と
鳥井のそばにいて、鳥井を守ることが精神安定剤となっていた坂木は、守るつもりで縋っていた鳥井という杖を手放す決断をする
思いもしなかったことを告げられ取り乱す鳥井
余韻たっぷりのエピローグに想像力が掻き立てられた
二人の新たな未来をちょっとのぞいてみたい
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2023年7月4日
- 読了日 : 2023年7月3日
- 本棚登録日 : 2023年7月2日
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