木野塚佐平の挑戦だ (創元推理文庫(国内M))

著者 :
  • 東京創元社
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本棚登録 : 140
感想 : 20
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  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488459116

感想・レビュー・書評

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  • 良くも悪くも、ユーモアセンスとキャラクター、独特の文体だけで読ませてしまう。木野塚氏の今後の活躍にも、大いに期待。

  • 現職の総理大臣が急逝し大混乱の世間をよそに、美人ニュースキャスターの姿に煩悶する木野塚氏。些細な事件を解決し、糊口をしのぐ日々だったが、突然ケニアから桃世が帰ってきたかと思うと、オタク男の奇妙な相談をはじめ急な依頼が相次ぐ。それらが、なんとあこがれの大事件に繋がって―。桃世とともに木野塚氏は今日も行く。ユーモア・ハートボイルド長編、初文庫化。

  •  樋口有介の「木野塚探偵事務所だ」の続編。

     秘書が桃世がケニアにいってしまって、鳴かず飛ばずになっていた木野塚探偵事務所だが、突然桃世が帰国したと思ったら、あれよあれよととんでもない陰謀(?)に巻き込まれていく。

     相変わらず木野塚さんはウザイです。
     も「ソウルイーター」のエクスカリバーぐらいウザイ(わかる人がわかれはよろしいww)
     とはいえ、所詮本の中のことなので、うぜぇと思いつつ、微笑ましく読めるのであった。うん、ある意味、このウザサでこの本の中の虚構とリアルをガラス一枚隔てた別世界と確立させているのかもしれない。
     ってことは、すごい計算でなりたってますか??
     職人技だww

     話は、虚構にふさわしくえらく、とんでもなくでかくなり…。
     しかしながら、木野塚はかわらない。
     いや、大物を前に、小市民的なこっけいな部分はそれなりに変わるのだけど、なんか斜めいっちゃってるところは変わらない。
     うむ。自我の人ですね。

     ウザイと思いながら、なんだか楽しく読めるのは、これが自我の物語だからかもしれない。
     ナンバーワンよりオンリーワンだとか、個性が大事だとかいうけれど、個性や自我を主張するには、それと同等の責任とか裏づけが必要なのだ。むしろそういう責任や裏づけがない木野塚が、自我を通そうとする姿は滑稽なのだが、彼は肝心なところでそういったものを目の前に鮮やかに広げてみせる。
     
     早く続きが読みたいと、本を閉じたときに思い、ああ樋口有介のマジックにひっかかったんだなと苦笑する。そんな一冊。

  • 著者お得意の探偵モノなんですが、コミカル路線なのね。探偵はいつものカッコイイ中年じゃなく、定年退職後の冴えないおじさんだったりします。時々冴えてるような、単に運が良いだけのような感じで事件は解決はするんだが、やっぱもう少し主役カッコイイ方が個人的にはいいなぁ。

  • これは退職老人向けの青春小説です。
    『木野塚探偵事務所だ』の続編。
    本当に腹立たしいほど主人公、木野塚佐平探偵が思い込みハードボイルドなりきりの電波探偵でイラッとする(褒め言葉)ほど夢見がち。実際の名探偵桃世ちゃんが無事ケニアから帰還してきて、佐平老人の面倒を見つつ着実に探偵活動。加納朋子のアリスシリーズより自称探偵が突き抜ける無能で、実際の探偵が足を使ってるという印象。

    な、ナニユエ佐平老人の相手などしているのだね、桃世くん!

    ものすごい壮大でトンデモな話でした。男性には面白いのかも。

  • ハチャメチャなナンセンス・ハードボイルド・ミステリ長編。経理一筋で警視庁を定年退職した木野塚佐平、60歳。海外ハードボイルド探偵を崇拝する氏は、裏新宿に探偵事務所を開設した。本書はその『木野塚探偵事務所だ』に続くシリーズ第2弾。前作でケニアに去った秘書兼助手の梅谷桃世が半年後に帰ってきた。またまた、木野塚・桃世コンビに出会え、嬉しくなった。さて、ストーリーはどうだろう。冒頭、現職の総理大臣の死亡から始まる。こんな大事件の依頼が来るのか? と訝しく思いながら読み始めた。きっと木野塚は相変わらずの妄想ばかりで、事件のあらかたは桃世が解決するパターンだろうと思いきや、実はちょっと手の込んだミステリ仕立てで凝ったエンディングが待っていた。嬉しい勘違いだった。そう、ラストには驚きの真相が明かされる。ただし注意あり! この作品、一歩間違えれば「おバカミステリ」と言われかねない。否、ナンセンス小説が嫌いな方だとそう捉えるかもしれない。面白いんだけど……第3弾もあるらしい。楽しみに待とう。

  • 2008年7月20日読了

  • よからぬ事を妄想してしまう乙女を「腐女子」と言うのならば、木野塚氏は腐った玉子「腐玉子」でしょうか?なんせハードボイルドの世界を妄想しているわけですから(笑) 前作みたく横丁の事件を妄想たっぷりに追いかけていたらとんでもない結末が待っていた!こう来ましたかぁ〜木野塚佐平は60才。だけどさすがは樋口ワールド!これってある意味青春小説ですよね!

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著者プロフィール

1950年、群馬県生まれ。業界紙記者などを経て、88年『ぼくと、ぼくらの夏』で第6回サントリーミステリー大賞読者賞を受賞しデビュー。『風少女』で第103回直木賞候補。著書に『礼儀正しい空き巣の死 警部補卯月枝衣子の思惑』、「船宿たき川捕り物暦」シリーズの『変わり朝顔』『初めての梅』(以上、祥伝社文庫刊)など。2021年10月、逝去。

「2023年 『礼儀正しい空き巣の死 警部補卯月枝衣子の策略』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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