プラスチック・ラブ (創元推理文庫) (創元推理文庫 M ひ 3-12)

著者 :
  • 東京創元社
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本棚登録 : 176
感想 : 19
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488459123

感想・レビュー・書評

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  • 高校2年生の木村君が主役の短編集。
    いつも作品の冒頭付近に登場する独特の風景描写や、高校生にしては枯れ過ぎている木村君の性格、必ず登場する個性的で魅力的な女性たちなど、短編集であるぶん作品ごとにこれでもかと溢れる樋口節の凝縮に、ファンの私は大満足。
    木村君のプライベートが矛盾だらけでも、そんなことは気にならずに楽しめます。早く読み終わってしまうのがもったいなくて、ゆっくり熟読しながら味わいました。

  • なるほど、樋口さんの描く男子は普通だから好きなんだな。
    相変わらず好ましいです。ぽっ。

  • 竹内まりやの代表曲、ではなく、高校生の木村くんが、同級生の女の子に頼られて様々な謎を解くという短編アンソロジー作品。

    中学時代の元同級生が、二人乗りバイクの転倒事故で対向のタクシーに轢かれて亡くなった。その同級生はナンパされても連いていくタイプでもなく、重症を負ったライダーに聞いても、様子のおかしなところはなかったという。事故時に何が起こったのか。

    片岡義男の作品のように、何らかさえない高校2年生である木村くんは、様々な女子と付き合っていてモテて頼られる。ただ、住んでいる場所、高校、家族構成が作によって違うため、単に木村くんという名前を使った(性格は同じだけど)、別人の話として読むべきであろう。そもそも短編と知らずに読んだので、え、そこで終わるか?という作品も多かった。

    ちょうどアニメ映画「君の名は」を見かけた(途中までね)ところなので、あれと同じ世代の話として読めるといえば読めるのだが、思いの外あっさりと謎は解けてしまう。

    純文学のたぐいかと、途中うがった読み方をしてみたが、そうでもなくそのまま読めばいい作品であろう。お話としては読みやすい。

    登場人物の家庭環境や、放課後の生活、更にはキャラクターの設定までが各作同じようなもので、そこまで同じであれば、もうちょっと長くして、1冊に2~3本程度のボリュームにしたほうが良かったのではないか、などと読んでいたら、いろんな雑誌に依頼された短編だったわけ。

    ただ、探偵小説としても青春小説としても、中途半端な印象が残る。女子ウケはしなさそうな作品である。

  • 高校生・木村時郎が関与した八つの物語を、季節の移ろいと共に綴る異色の青春ミステリー。
    日本には四季があって毎日の景色も変わってくる。日々に同じ顔がないように、人間もそれぞれの個性を持ち、同じ人物も昨日の自分とは違う。木村に関わる人たちの変化は、当たり前と言えば当たり前のことであり、それをあえて物語にした作者の実験に、やっと時代が追いついた。

  • 「木村くん」は、いつも彼を取り巻く彼女たちにひっぱり回されている。

    中学から高校までの、閉塞した日常の中でおきるちょっと不可解な出来事たち。

    青春モノといえば、甘くて、すっぱくて、やるせなくって、そして少し熱いというのが相場だが、
    木村くん自身の、人を見る目の皮肉っぽさ、目線の乾き具合で、この作品はどこか、ハードボイルドっぽい。

    1編だけだけど、柚木草平の登場が嬉しい。

  • 2016.6.17 読了


    柚木草平シリーズ番外編らしいですね。
    読み始めたときは 知らなくて、
    あれ?!と思っちゃいました。

    短編集で、あれ?これで?
    という感じで 終わるのですが
    相変わらずな 語り口で ホッとします。

    ただ 主人公が 草平じゃない
    別人で、しかも 若いピチピチ?の
    高校生なのに、
    語り口(性格?)が 草平そのもので
    草平の子供時代かと思うくらい。

    せっかく 主人公が 別人なんだから、
    もっと違った雰囲気を感じたかった。。。

  • 帯に柚木草平シリーズとありますが…ちょっとねぇ8作の短編のうち、柚木が出て来るのは1作のみ。いくらシリーズ番外編と書いてあってもどうかと思います。
    それはさて置き、本書は青春小説です。著者の他作品では殺人事件が起きますが、本書では一作のみです。ほとんどはありふれた話ですが、そのありふれた話を読ませるのが樋口作品でしょう
    読んでいて甘酸っぱくなるそんな短編集です。

  • 再読。
    短編集は苦手という作者。
    人生を達観したような、作者の人生観のような台詞がちらほら。
    女子高生が語る退屈な将来と自分は全然違うが、少しは客観視すると楽になるかも。
    ちなみに、気の弱い女性は世の中に一人もいないらしい(笑)

    2011.9.3
    高校生の木村くんが主役の短編集。
    青春物というのか、ミステリーは少ない。
    高校生でも妙に老成しててシニカル、語り口はハードボイルド中年男と同じなんだけど。
    この作者のファンだから面白いのだと思う。

  • 高校生の木村くんが主人公の短編集。元警察官のフリーライターも登場するが、あくまでも脇役。ハードボイルドな高校生活を送る都立高校生の物語。連作なのかと思ったら、時期がかぶっているのに彼女らしき人物の名前が違っていたりと、主人公の名前が同じなだけで基本的に短編の関連性は低い。それで面白くなくなっているということはないと強調しておこう。青春ミステリーとは一線を画しているのが特徴か。作者自身が指摘するとおり、スポーツ万能でもなく頭脳明晰でもない、ただの高校生が主人公。だからこそずっと同じ彼女というわけにもいかなかったのだろうなと想像。普通の高校生にずっと付き合ってる彼女ってあんまりいないからね。

  • 公孫樹の枯葉がふりそそぐ十二月、中学時代の同級生・竹田寛子が、ラブホテルで殺害された。高校二年生の木村時郎は、寛子の最近の様子が気にかかり、彼女の高校の同級生を訪ねた。そして寛子が、“プラスチック・ラブ”という謎の言葉を残していたことを知る。その帰り、時郎は事件を取材している柚木草平と出会う―。四季の移ろいと事件を綴った、青春私立探偵シリーズ番外編。

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著者プロフィール

1950年、群馬県生まれ。業界紙記者などを経て、88年『ぼくと、ぼくらの夏』で第6回サントリーミステリー大賞読者賞を受賞しデビュー。『風少女』で第103回直木賞候補。著書に『礼儀正しい空き巣の死 警部補卯月枝衣子の思惑』、「船宿たき川捕り物暦」シリーズの『変わり朝顔』『初めての梅』(以上、祥伝社文庫刊)など。2021年10月、逝去。

「2023年 『礼儀正しい空き巣の死 警部補卯月枝衣子の策略』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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