水に描かれた館 (創元推理文庫)

著者 : 佐々木丸美

• 東京創元社 (2007年2月28日発売)

感想・レビュー・書評

[こてつさんの感想 · 2013年11月12日]

殺人事件（？）や超常現象の謎解きよりも、恋に燃え上がった涼子の心の動きや内的独白、館の客人と哲文らの繰り広げる清冽な会話をじっくり反芻する方が読んでいて楽しかった。特に千波の第２の日記帳の部分は、胸に迫るものがある。ヤスミンが解説で佐々木丸美の小説を評して「わかる人は涙しろ、わからぬ者は去れ」と述べている。崖の上に屹立する館ゆえのイメージからか、ただこの内容と文体で書く人は彼女以外にいない。

[aoiさんの感想 · 2019年11月9日]

[01-008]館の財産目録作成のため訪れた鑑定士たち。しかし予定していた人数より一人多いことに、従兄弟たちは気付く。もしや残る一人は、あの事件を探りに来た者なのか。従兄弟たちに緊張が走る中、涼子はとある人物に惹かれる。幼い頃夢に見た人は彼なのか。彼の正体は──。『崖の館』続編、館三部作の第二弾。
涼子が突然吹原にベタ惚れし、哲文への気持ちはどうでも良くなることに突っ込みたくなるが、終盤にある、哲文の子どもだと思って云々という台詞を見るとお互い様だなと思った。どの登場人物も特に好きではない(笑)あえて言うなら、おばさんです。本作だけでなく館三部作を越えほか作品でも吹原最強かよと思う描写多々ありますが、おばさんの言動がいちばん共感しやすいし、知識豊富な鑑定士たちを打ち負かすところを見て気持ち良いから(笑)今回再読して驚いたことは、亀井勝一郎の名前が出たことと、法について説いた描写に『雪の断章』とのつながりを感じたことです。前者について、佐々木丸美さんの作品から亀井勝一郎の書籍を購入したのを覚えていましたが、どの場面なのかまるで覚えていなかったから。孤児シリーズに比べ館関係の再読率低いので気付かなかった。千波ちゃんが亀井勝一郎に傾倒していたのね。該当箇所は229頁です。所有の『愛の無常について』を読みたくなりました。後者について、同じく229頁に、涼子が『雪の断章』の飛鳥と同様に法律への姿勢について考える描写がありました。本作では心理学に関する事例を語り合う描写が印象深く、法律に関する描写があるなんて想像もしていなかった。嬉しい発見でした。そして感想を書きながら思い出したこと。187頁には、館の設計者は北斗興産だと明記されていたことです！やっぱり丸美さんの作品はメモしながら読むべきだなと再認識しました。

[happioukokuさんの感想 · 2012年6月29日]

夢と無意識の話は面白かった。でも議論部分が長くて疲れた。
あと主役のメルヘン思考に疲れた。佐々木作品で手を止めたのは忘れな草以来二度目。
諒子と哲文の兄弟みたいな関係が好きだったのに、なんか哲文くんかわいそう。ぜんぶ千波ちゃんと堂本さんのせいと思いたい←

それなりに面白かったです。でもやっぱ崖の館のほうが好き。
今作を読んでしまうと前作のできごとが全部小さいことに感じてしまう。なんだか前作の犯人が報われない。知波ちゃんパワー強し。

[雪守さんの感想 · 2011年5月4日]

水面に写る光は現実かそれとも虚構か。そしてその光を見る者の心も真実か。推理小説はかなり納得できない犯行方法。最終巻である次巻に期待します。

[goronyanさんの感想 · 2011年3月21日]

知性も容姿も完璧な吹原さんが初登場します。
青春時代に読んで大きな影響を受けた１冊です。

[Mさんの感想 · 2011年2月7日]

輪廻転生というテーマに加えてミステリー・恋愛・超常現象など盛りだくさん。吹原さんの活躍がシリーズを通して一番描かれていると思います。解説が津原泰水さんでこれもまた豪華。

[愛と幻想さんの感想 · 2017年12月18日]

第二部。これもなかなか面白かった。

[kei_mさんの感想 · 2014年4月26日]

館シリーズ3部作の2作目。
いとこ三人の死の後、財産目録作成のため再び集った涼子たちだが、招聘した鑑定家は予定より一人多く来た。招かれざる客の目的とは。
心理学なのか超異常現象なのか、やや強引な謎解きだった。
(図書館)

[tocaさんの感想 · 2013年4月19日]

よりポエム風の文体が強調され、少女漫画っぽさが強くなった三部作の第二作。
オカルト風の味付けは、三作目『夢館』の解説にも述べられていたように、時代的なものもあったのかもしれない。

ミステリ部分に関しては、流石にトリックなど、古くささを感じる部分があるのは仕方がないかなぁ……。
それにしても佐々木丸美の文体は、ユニークだし好きなんだけど、読んでいるとつい腹がムズムズしてツッコミたくなるw

[purinpurintmさんの感想 · 2012年9月2日]

三部作の二作目。吹原先生登場。石垣女史可愛いです。