- Amazon.co.jp ・本 (340ページ)
- / ISBN・EAN: 9784488475017
作品紹介・あらすじ
唐島英治クインテットのメンバー、永見緋太郎は天才肌のテナーサックス奏者。音楽以外の物事にはあまり興味を持たない永見だが、ひとたび事件や謎に遭遇すると、楽器を奏でるように軽やかに解決してみせる。逆さまに展示された絵画の謎、師から弟子へ連綿と受け継がれたクラリネットの秘密など、永見が披露する名推理の数々。鮎川哲也も絶賛した表題作にはじまる、日常の謎連作集。
感想・レビュー・書評
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好き探偵に「永見緋太郎」をあげている方がいて知った本。
田中啓文さんの本は「笑酔亭梅寿謎解噺」しか読んだことがなく、上方落語マニアのイメージだったのだけれども、テナーサックスをプレイするバンドマンでもあるとのこと。多才。
音楽以外には興味がなく、空気を読まないテナーサックス奏者永見緋太郎。バンドのリーダー唐島英治に見守られながら、音楽にまつわる日常の謎を解く連作短編集。
変人だけど演奏は天才的という探偵役の王道。ジャズバンドのライブシーンがどれもかっこいい。
「砕けちる褐色」が面白かった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
『娯楽』★★★☆☆ 6
【詩情】★★★★☆ 12
【整合】★★★☆☆ 9
『意外』★★★☆☆ 6
「人物」★★★☆☆ 3
「可読」★★★☆☆ 3
「作家」★★★★☆ 4
【尖鋭】★★★☆☆ 9
『奥行』★★★☆☆ 6
『印象』★★★☆☆ 6
《総合》64 C -
3+
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天才肌のテナーサックス奏者・永見緋太郎が探偵役となって、日常の謎を解決する、七色の連作短編集。
自身もジャズ愛好家でサックス奏者でもある著者が、人並み外れた耳と感性でサクッと謎を解くストーリーを書くのは、相当楽しかっただろうな〜と伝わってくる。
永見の推理は、時に理屈ではなく彼が感じたことに基づいているので、そういう意味での面白さはない。
けれど、とにかくジャズ愛と遊び心でいっぱいで、読後はにやり。
各編の最後に、愛盤の紹介付きで、さらにオマケに解説が山下洋輔。
大サービスです! -
今まで手が出しづらかったjazz。そんな過去を吹き飛ばして、読了後すぐに近所のレコード屋へjazzを求めて走った。知識ゼロに等しいので迷わず店員に声をかける。「スウィングしてるヤツ下さい!」 すると出てきたのが何故かジャグバンド。まぁこれはこれでアリだけどさ。兎にも角にもスウィングしたい人にはこの本オススメだ。
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面白かった
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五十代の自分では常識人と思っているジャズトランペット吹きの辛島。率いるバンドにいる若手の天才テナーサックス奏者永見。辛島の語りで、ジャズにまつわるさまざまな事件の謎が、常識にとらわれない永見の発想で次々と解かれていくストーリー。巨匠と不詳の弟子の抽象画をめぐる謎。傲慢な評論家をとっちめる一編。姿を消したかつての人気トランペッターの軌跡。ジャズフルートから尺八の世界に飛び込んだ男の葛藤。亡くなった人気時代小説家の遺稿をめぐる謎。などなど。そうきたか、、、というのもありつつ、ストーリーにジャズをうまくからめてぐいぐいと引き込まれる。/「自分とスタイルが同じで、なおかつ自分よりも数段すごい場合はどうするか。そのときは、引退するしかない。自分の存在意義がなくなるからである。それでも現役を続けたいなら、新しいスタイルを編み出さなければならない。それがプロのクリエイティブなミュージシャンだ、と私は思っている。」/「ほかのメンバーのスウィング度を百とすると、彼は三千ぐらいスウィングしていたのだ。」/巻末の山下洋輔の解説もグルーヴィーというか、**はほとんどが**するんだよ、とか、あれがあれするテーマで、とかネタバラししないような配慮はご愛嬌としても、読んでて体がうねってくるというか。個人的には、テナーを堪能した!という気にさせてくれるデクスター・ゴードン「Swiss Nights, Vol.1」、モダンジャズトランペットの雄クリフォード・ブラウンの「The beggining and the end」、田中夏樹「コココケ」、トロンボーンの大原裕ひきいるSIGHTSの「El Sur」、など、解説をみただけで聴きたくなるアルバムが目白押し。
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jazz(英字が似合う気が)プレイヤーが探偵役の推理短編集。
かなりjazzの蘊蓄が身に付きます。
解説もしっかりしてるので、聴きながらって
楽しみも出来ますよ。 -
ジャズってかっこいい、と思ってしまいます。
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ジャズをテーマ・・・というほどでもないな。ジャズの奏者が登場人物というだけで話の核にジャズってほどでもないように思う。
一編一編が短くサクッと読めるのは悪くないですが、裏を返すとどの話もすぐに終わっちゃって消化不良感が否めない。それでいて謎が面白いかというとそれほどでもないような。。。デビュー作だからかな?ちょっと粗削りにすぎる印象。