密室の鎮魂歌(レクイエム) (創元推理文庫) (創元推理文庫 M き 5-1)

著者 :
  • 東京創元社
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感想 : 8
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  • Amazon.co.jp ・本 (306ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488476014

感想・レビュー・書評

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  • 【Unlocked Locked Room】

    個人的にはあまりグイッと来なかったけど、2時間ドラマとかにしたら面白そう。

  • 図書館本。

    第14回鮎川哲也賞受賞作。

    京都が舞台。
    ある一枚の絵をきっかけに、過去に起きた失踪事件の謎が動き出す。
    そして、新たな事件が起こる…。

    *****

    初めて読む作家さん、読みやすく面白かった。

    主人公は本人がお人好しとあるけれど、友達として出てくる女の人たちがみんな性格がちょっと…他には友達はいないのかい?と心配に。

    主人公も美術を学んでいたし、物語のきっかけになったものも絵画。
    その絵の題材として、パリのカタコンブ、というものが出てくるんだけれど、検索してみたら出てくる画像がなかなかショッキング。
    人骨をそのまま、積み上げているような状態。
    まるで何かの作品であるかのように飾られたものも。
    ショッキング過ぎて、逆に現実味がなく、レプリカに見える。
    墓地の不足や疫病などの問題により、こういった地下墓地が作られたということらしいけれど、普段目にすることのあるお墓とは全く異なる画像にしばし呆然。

    さて、小説のお話としてはぐいぐいと事件解決へ突っ走るタイプはいなかったものの、少しずつばらばらだったピースが埋まり始めていき、謎が明らかになるまで面白かった。
    けっこうハラハラドキドキ。

    結末、主人公と同じく彼女には好感を持っていたので、もう少し救われる描写が欲しかった。
    彼女と彼の将来が明るいものであることを願ってしまう。

  • 「密室」がタイトルになっているけれど、密室トリックを中心にした物語ではない。
    どちらかというと、人間ミステリのような、入り組んだ人間模様が織りなす謎といった感じだろうか。
    「汝、レクイエムを聴け」を見た瞬間に悲鳴をあげた由加。
    一瞬しか見ていないはずの図柄を、由加はほぼ正確に覚えていた。
    中心に描かれた椅子に座った骸骨が持っている旗。
    その旗の絵柄こそが、5年前に失踪した夫の行方につながっていると言うのだ。
    登場人物のほとんどが、身勝手な欲望に忠実に生きている。
    人間なんて多かれ少なかれそんなもんだろう・・・という気もするけれど、度を過ぎた欲望は人を不幸にする。
    名声だけを欲し、他を見下し優越感を感じることが幸せだと思う女。
    真実の愛だと思いながら、歪んだ嫉妬と独占欲から相手を不幸せに追いやる男。
    資産目当てに結婚し、思い描いた生活が送れないとなると相手を邪魔に思う女。
    すべての事件の起点はどこにあったのか。
    それは、心の底から愛した人への裏切りとも思える身勝手さにあったのだと思う。
    雪乃のキャラクターが一番好きだった。
    愛されていないとわかっていながら、心のどこかで希望を捨てずに、母親の愛を信じたいと願っている。
    斜に構えた言動の裏には、複雑な思いが込められている。
    最期に彼女が取った行動も、きっと母親への愛情の欠片が影響しているのだろう。
    疑問なのだが、内緒で鍵を使用したとき、使い終わった時点ですぐに元の場所に戻すのではないだろうか?
    勝手に持ち出したことがわかれば叱責されるに決まっている。
    にもかかわらず、持ち主が帰宅するまで持ち続けていることに違和感を感じた。
    ミステリーの山場にありがちな、こっそりと犯人と会い真相を突きつける場面。
    殺人者と対峙するのに、どうしてそんなに無防備なのか?
    犯人が素直に犯行を認めるとも思えないし、捕まらないためには当然抵抗もするだろう。
    殺されてしまってもおかしくはない。
    「汝、レクイエム」に隠された謎は面白かった。
    何が対象にせよ、人の妄執ほど怖ろしいものはない。

  • すごく惜しいなあ。着想自体は「名作」となる可能性を持っているのに、ところどころ雑。
    二つ目の密室の作り方にがっかり感があるのと、何より最後の解決の仕方がなあ……ええー、そこでそんなふうに終わるの!という、違った意味でのびっくりな結末で。繰り返すが惜しい。

  • 女性画家の個展に出されたある作品から始まるミステリ。密室殺人が繰り返される割にそれぞれあまり意味はなく、しかも後だしじゃんけんのように手掛かりがでてきて、眉間にしわがよります。あとがきで触れられている女性心理の描写も特筆するほど鋭くも深くもないような。雪乃の立場は哀れでやるせない気分になります。「汝、レクイエムを聴け」は見てみたくなるような作品ですね。

  • 東京創元社版の表紙の方がよかったなあ・・・ショックだ

    不可思議な連続密室殺人事件に巻き込まれる主人公。
    普通の小説の女主人公なら「次は自分かも」と怯えるところだが
    本書の主人公はとにかく飯を食う。
    知り合いが亡くなってもとにかく飯。
    そりゃそーだ。腹は減るもんね。
    京都を舞台に旨そうな飯を食べるシーンがたくさん出てきて腹が減る。
    密室の謎はあまり興味ひかれなかったけれど、
    話の運びや意外な真実は面白かった。

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著者プロフィール

1961年、京都市生まれ。パリ第七大学理学部卒。2004年に『密室の鎮魂歌』で、第14回鮎川哲也賞を受賞。著書に『密室の鎮魂歌』『出口のない部屋』『天使の眠り』『めぐり会い』ほか。

「2021年 『味なしクッキー』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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