田舎の刑事の好敵手 (創元推理文庫)

著者 :
  • 東京創元社
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感想 : 4
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  • Amazon.co.jp ・本 (308ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488499037

作品紹介・あらすじ

県警本部より首席監察官が視察にやって来る。監察官とは警察内部の警察だ。この知らせに問題だらけの田舎の刑事たちは大慌て。しかもこの監察官、黒川鈴木の高校の同級生でありライバルだったのだが、警察官としては致命的な欠点があり……。はた迷惑な来訪者のせいで署内がパニックに陥るが、小劇団事務所荒らしの捜査に駆り出された黒川。無能な部下・白石や恐るべき黒川夫人、そして暴走する元ライバルに頭を抱えながら捜査を進めるが、やがて殺人事件に発展し?! 田舎でだってやっぱり難事件は起こる。大好評ミステリ第三弾。

感想・レビュー・書評

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  • ユーモアたっぷりで笑えるところ多し。
    犯人の意外性はあったが、肝心のトリックが結構無茶な気が…犯人一人で用意できるレベルなのか?

    関係ないけどどうしても黒川刑事の声が右京さんで再生される。

  • 評価
     サプライズ ★★☆☆☆
     熱中度   ★☆☆☆☆
     インパクト ★☆☆☆☆
     キャラクター★★★☆☆
     読後感   ★★★☆☆
     希少価値  ★★★☆☆
     総合評価  ★★☆☆☆

    〇 サプライズ ★★☆☆☆ 
     真犯人が,被害者の差地公也が「おとうさん」と慕っていた人物=弘前皆次であることは明白。七宝の存在は,作中では容疑者だが,読者にとってはミスディレクションになっていない。ほかに,犯人になりそうな人物はいない。弘前皆次が,黒川をフェニックス公民館まで運んだタクシーの運転手であるという点は少し意外性がある。しかし,これもほかに犯人たり得る人物がいないので,そこまで大きな意外性ではない。どうせめちゃくちゃな話なので,犯人っぽい人物を用意しておけばサプライズだけは出せたと思うのだが…。

    〇 熱中度 ★☆☆☆☆
     幕間として15年前の事件が挿入されるので読みにくい。幕間のシーンがなかったとしても,シリーズ物ということで,登場人物の紹介がさほどされておらず,人間関係が頭に入りにくい。そのため,読みにくい。ちょこちょこ挿入されるユーモア・・・というよりギャグはそれなりに面白い部分もあるのだが…。殺人事件は一つしか起きないし,殺人以外の部分のさほど興味を引くものではない。

    〇 インパクト ★☆☆☆☆
     殺人は一つしかないし,トリックも同滑車を使った陳腐な物理トリック。15年前の事件を絡めて動機に重みを出そうとしているが,全体のチープな雰囲気と相まって逆効果になっている。はちゃめちゃなストーリーなのだから,もう少しインパクトに残るような部分があってもよかったと思うが,妙にこじんまりまとまっている。よって,インパクトは薄い。

    〇 キャラクター ★★★☆☆
     主人公の黒川鈴木は悲惨な目に遭う変人というキャラクター。その妻は,シリーズを重ねることに個性を発揮している。この作品でも主人公を喰うほどの活躍。ほかにも白石,赤木,遠山,七宝とそれなりに個性のあるキャラクターが出ている。ストーリー,トリック,プロット,文体などいずれもさほど優れていないが,なんとか読めるのはそこそこキャラクターが立っているからか。

    〇 読後感  ★★★☆☆
     七宝の容疑が晴れる点はよいが,七宝は兄の差地が殺害されてしまうわけだし,犯人の弘前皆次は救いのない人物として描かれている。起こったことだけ見れば読後感は悪いのだが,作品全体にリアリティがないので,読後感が悪いとすら感じない。できの悪いコントで,妙にしんみりしたオチにしたという雰囲気。読後感は良くも,悪くもない。これがインパクトの無さにつながっている。

    〇 希少価値 ★★★☆☆
     田舎の刑事シリーズは,2012年にテレビドラマにまでなっている。一応,文庫化もされているわけで,それなりに人気があるかもしれないが…この作品はかなり残念な出来で売れそうにない。希少価値は出るかも。期待を込めて★3で。

    〇 総合評価 ★★☆☆☆
     個人的には,ミステリを読んで,捜査のこういった点にリアリティがないとか,警察はこんなものではないとかいうことは好きではない。作品として面白ければリアリティはなくてもよいと思う。しかし,あまりにもばかばかしいと白けてしまう。この作品は警察が主人公だが,首席監察官を登場させたり,首席監察官の部下を被害者の腹違いの妹として容疑者にしたり…いくらなんでもリアリティがなさすぎる。そこまでリアリティがないのであれば,もっと破天荒な話にすればよいのに,妙にこじんまりまとまってしまっている。15年前の殺人事件を絡め,虐待やら親子の感情やらを持出し,動機の面だけで社会派ミステリ的な要素を入れようとしているところも空回りしている。全体的に見て,細かいギャグだけはそれなりに笑えるが,インパクトの薄い,こじんまりまとまった,それでいてリアリティのない,サプライズすらほとんどないミステリとなっている。そもそも長編にするほどのトリックではないし,中身も伴っていない。キャラクターはそれなりに描かれているので,このなんともいえない脱力的な雰囲気が好きなら少しは楽しめるだろうか・・・。★2で。

    〇 メモ
    〇 田舎の刑事の第1幕
     冒頭は主人公である地元所轄刑事課に勤務する巡査部長黒川鈴木が,自宅でハーブティーを飲もうとしてケガをするシーン。黒川はこの騒ぎで病院へ行く。黒川が勤務する警察署に首席監察官である遠山信吾が視察に来る。遠山は黒川の高校時代からの好敵手であり,黒川はバカにされないように充実したカントリーライフを過ごしていると示そうとする。
     首席監察官が視察に来るということで,黒川が務める警察署は大騒ぎ。
    〇 田舎の刑事の幕間劇(15年前)その1
     15年前の事件についての描写。子どもが父親を殺される事件とその捜査
    〇 田舎の刑事の第2幕
     首席監察官の遠山信吾とその部下の七宝亜矢が登場。劇団キンギョ座の差地公也から事務所が荒らされているとの通報を受ける。その捜査。現場には遠山も現れる。
    〇 田舎の刑事の幕間劇(15年前)その2
     15年前の事件で,被害者の子どもは事件の現場から1冊の本を持ちだしていた。
    〇 田舎の刑事の第3幕
    遠山の七宝が黒川の家に来る。そこに事件の連絡が入る。フェニックス公民館で死体が見つかったという。黒川と遠山達はそれぞれタクシーで現場へ行く。殺害されたのは差地公也。そして,実は差地の妹だった七宝が容疑者となる。
    〇 田舎の刑事の幕間劇(15年前)その3
     15年前の事件の捜査。生き残った子どもは殺された父親に虐待されていた。
    〇 田舎の刑事の第4幕
     黒川による捜査。黒川は劇団キンギョ座の大水正志に会う。大水はケガをしており,原因は差地とのケンカだった。
     黒川による捜査。黒川の妻も捜査をする。
    〇 田舎刑事の幕間劇(15年前)その4
     被害者の子どもに証拠品となる本を返還。それは「クロッカスの犬」という本
    〇 田舎の刑事の第5幕
     黒川の妻の捜査で15年前の事件で子どもは犯人を見ていたが犯人を庇っていたことが分かる。黒川の推理。犯人は動滑車を使って死体を運搬していた。トリックには,ピエロのバルーンを膨らますためのガスのボンベが必要だった。事務所荒らしは犯人の予行演習と道具を公民館に移転させることが目的だった。
    〇 田舎の刑事の幕間劇 ある悪人の回想
     犯人,弘前皆次が差地公也と再会したときの回想
    〇 田舎の刑事の第6幕
     犯人,弘前皆次はタクシーの運転手。フェニックス公民館まで黒川が乗ってきたタクシーの運転手だった。弘前は差地が自分を警察に売ろうとしたと勘違いし,差地を殺害したのだった。
    〇 田舎の刑事のカーテンコール(エピローグ)
     後日談。七宝を守るために事件解決は遠山の手柄に。劇団キンギョ座の講演に黒川も参加。ちょっとした事件が起こり,劇団キンギョ座の激励に言った遠山が事件が起こったとはしゃいでいるシーンで終わり
    村西希美
    桑木比呂美
    大水正志
    八目宇凪
    笹目嘉治
    弘前皆次

  • ドタバタ劇。
    登場人物はコミカルで面白いが、ミステリとしてはあまり魅力はない。
    また、状況や現場の様子が分かりにくい。

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著者プロフィール

1973年、福島県生まれ。日本大学芸術学部卒。2006年短編「田舎の刑事の趣味とお仕事」で、第3回ミステリーズ!新人賞を受賞してデビュー。コミカルな設定と卓越した謎解きで注目を浴び、同シリーズは板尾創路主演で連続テレビドラマ化される(番組名は「デカ☆黒川鈴木」)。著書に『田舎の刑事の趣味とお仕事』『田舎の刑事の動物記』『田舎の刑事の好敵手』『長弓戯画 うさ・かめ事件簿』『ワースト・インプレッション 刑事・理恩と拾得の事件簿』『和気有町屋南部署 デカは死ななきゃ治らない』など。

「2015年 『捕獲屋カメレオンの事件簿』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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