怪奇礼讃 (創元推理文庫)

  • 東京創元社
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  • Amazon.co.jp ・本 (396ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488555023

作品紹介・あらすじ

本書は怪奇小説、それも英国の古風な、それでいて少しひねくれた、変わった味の作品を中心にまとめたアンソロジーである。不思議な話、奇怪な話、そして怖い話の……。ベンスンら巨匠の知られざる名品から、通を唸らせるウェイクフィールドら名手の逸品、奇妙な味わいの珍品、そして極めつきの恐怖譚まで、本邦初訳作を中心に22編を厳選。古雅にして多彩な怪奇小説をご賞味あれ。

感想・レビュー・書評

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  • 『塔(The Tower/1955年))』マーガニタ・ラスキ
    『失われた子供たちの谷(The Valley of Lost Children/1906年)』ウィリアム・ホープ・ホジスン
    『よそ者(The Stranger/1930年代)』ヒュー・マクダーミッド
    『跫音(The Step/1934年)』E・F・ベンスン

  • マーガニタ・ラスキ「塔」
    ウィリアム・ホープ・ホジスン「失われた子供たちの谷」
    ヒュー・マクダーミッド「よそ者」
    E・F・ベンスン「跫音(あしおと)」
    H・R・ウェイクフィールド「ばあやの話」
    ディラン・トマス「祖父さんの家で」
    マーティン・アームストロング「メアリー・アンセル」
    ローザ・マルホランド「『悪魔の館』奇譚」
    ロード・ダンセイニ「谷間の幽霊」
    アルジャナン・ブラックウッド「囁く者」
    ジェイムズ・ホッグ「地獄への旅」
    マージョリー・ボウエン「二時半ちょうどに」
    A・M・バレイジ「今日と明日のはざまで」
    A・J・アラン「髪」
    エイドリアン・アリントン「溺れた婦人(ひと)」
    オリヴァー・オニオンズ「ジョン・グラドウィンが言うには」
    S・ベアリング=グールド「死は素敵な別れ」
    メアリ・エリザベス・ブラッドン「昔馴染みの島」
    エイミアス・ノースコート「オリヴァー・カーマイクル氏」
    メアリ・コルモンダリー「死は共に在り」
    G・W・ストーニア「ある幽霊の回顧録」
    J・D・ベリスフォード「喉切り農場」

  • 19世紀後半から20世紀前半の、やや古びた時代の雰囲気が好ましい英国怪奇・幻想短篇集。
    フィレンツェ近郊の廃墟を観光気分で訪れた女性が味わう恐怖を描いた「塔」(マーガニタ・ラスキ)、ふいと置いてきぼりを食わされる感じが面白い「よそ者」(ヒュー・マクダーミッド)、山頂の館に引き籠って暮らし、村人からは“コール・ドゥー(黒シチュー)”と嫌われていた孤独な男の狂った恋の顛末を描く「“悪魔の館”奇譚」(ローザ・マルホランド)など。

    毎週木曜日に欠かさず丘にのぼり、頑なに思い出を守り続けた中年の女性「メアリー・アンセル」(マーティン・アームストロング)、ダンセイニの掌編「谷間の幽霊」、死に瀕した男性の回想がまるで多重露光の映像を見ているような「ジョン・グラドウィンが言うには」(オリヴァー・オニオンズ)の3篇が特に良かった。
    一般の人々が幽霊に対して抱く夢や期待を辛らつに皮肉るG・W・ストーニア「ある幽霊の回顧録」もちょっと趣向が変わっていて面白い。
    22篇中、既読は「のど斬り農場」(J・D・ベリスフォード)のみで、初読の楽しさが多いのも嬉しいところ。

  • 英国の古風でちょっと変わった作品をまとめたアンソロジーとのことで、まさにそんな感じ。怖さよりも不思議さや怪しさをしみじみと感じさせる、ひと捻りある作品ばかり。こんな作家さんもいるんだという出会いも含めて楽しめました。
    ・塔(理不尽な上に救いがない上品な恐怖譚)
    ・失われた子供たちの谷(哀しみ)
    ・「悪魔の館」奇譚(やばいやつ)
    ・地獄への旅(昔話っぽい)
    ・髪(怖いけどくすっとしちゃう)
    ・溺れた婦人(変わった幽霊譚)
    ・死は素敵な別れ(そういうオチ)

  • 東京創元社復刊フェア2017で購入。
    割と珍しい……というか、これまで余り紹介されて来なかった作品が主体。こういうアンソロジーが今になって復刊されるのは嬉しい。

  • 設定そのものはありがちだが、作風が風変わりという作品が多いみたい。編者の方の好みかな。背筋がゾッとするというより、考えさせられるという感じ。巻頭と巻末はさすがに怖かったけど。

  • 怪奇な話を集めた短編集。
    『塔』が一番すきでした。面白かったです。
    「怖い話」といえばそうなのですが、この短編集に納められている話はどれも幽霊や化物が跋扈するというものではなく、不可思議そのものの正体は掴めないけれどどことなく奇妙で気持ちが悪い世界といった趣の話ばかりでした。まさに怪奇の名が相応しいのではないかと思います。

  • 旅先でいさくつきの塔に登った夫人が遭遇する恐怖【塔】、傲慢な高利貸しのジョンは、ある夜自分をつけてくる足音に気付く……【跫音】、神経過敏気味の作家ジョーンズが、書斎として借りた部屋で味わった体験とは【囁く者】、ひと夏を過ごすためにやって来た農場は、近隣からは“のど切り農場”と呼ばれていた……恐怖短編として有名な【のど切り農場】他、英国の、それも19世紀末~20世紀前半の怪奇小説22編(内18編が初邦訳というのがスゴい)を収録したアンソロジー。

    モダンホラー以前のややカビ臭いゴシック調小説ばかりかと思いきや、怪奇や恐怖というよりもやや「奇妙な話」といった風情のものが多い。やや極端なもの言いだが、ホラーよりは日本の「怪談」に似た味わいがあると思う……それは何も【跫音】のオチに限った話ではなく。

  • (いわくありげな物との関係があからさまじゃないのが気持ち悪くていい。ラストが嫌ーな感じでやっぱりいい。)
    「塔」 マーガニタ・ラスキ 吉村満美子訳

    (「ゴーストハントの例のあの人。一人称最強)
    「ばあやの話」 H・R・ウェイクフィールド 吉村満美子訳

    (ホラーっていうかなんていうか。不思議。哀切)
    「祖父さんの家で」 ダイラン・トマス 中野善夫訳

    (切ない。こわいっていうか切ない)
    「今日と明日のはざまで」 A・M・バレイジ 中野善夫訳

    (こわい。すっきり、で、不安)
    「溺れた婦人(ひと)」 エイドリアン・アレイトン 中野善夫訳 

    とりあえず
    平井呈一 「恐怖の愉しみ」 創元推理文庫
    が凄いアンソロジーらしいということはわかった。

  • 19世紀末から20世紀前半の英国作家の怪奇小説アンソロジー。22篇収録。

    『怖い絵2』で取り上げられていた、マーガニタ・ラスキの「塔」が読めただけでも満足。
    日本ののっぺらぼうのような話もあってびっくり。
    ディラン・トーマス(本書ではダイランと表記)の「祖父(じい)さんの家で」は、彼の独特な言葉の選び方で不思議な味わいだが、田舎の人情譚とも読めるのでは。

    舞台を現代に移してドラマ化できそうな「二時半ちょうどに」(マージョリー・ボウエン)、ジプシーの呪いと時空間移動の組み合わせがユニークな「今日と明日のはざまで」(A・M・バレイジ)、「死は共に在り」(メアリ・コルモンダリ)が面白かった。

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