ドラキュラ紀元 (創元推理文庫 F ニ 1-1)

  • 東京創元社
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  • Amazon.co.jp ・本 (622ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488576011

作品紹介・あらすじ

ヴァン・ヘルシングが斃れ、ドラキュラはついに英国全土を征服した。だがその治世下、吸血鬼の娼婦ばかり惨殺される事件が発生。諜報員ボウルガードは、闇の内閣の命を受け、「切り裂きジャック」追跡に乗りだす。一方、ドラキュラとは血統を異にする吸血鬼の美少女、ジュヌヴィエーヴもまた事件を追いはじめるが…いまひとつの世紀末。虚実ないまぜにして贈る、あの名作の総編。

感想・レビュー・書評

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  • 図書館で。
    なんだかしょっぱなから随分複雑な世界で、さらに登場人物がわんさか出てくるので誰がどういう立場の人間でどう物語が動くのか…わからない訳ではないのだけれども複雑そうで面倒くさくなってしまいました。
    時間がある時に読みたいなぁ。

  • 兄ちゃん、やるなぁ〜。最後はドキドキ、ハラハラしながら、「ここまで書いてくれちゃったのぉ!」の感激ものでした。大満足です。

  • ドラキュラが英国女王と結婚し、国を支配した19世紀。多くの人が転化(ヴァンパイア化)していた。

    切り裂きジャックがホワイトチャペルのヴァンパイア娼婦を惨殺する。
    諜報員の男が、ヴァンパイアの美少女と捜査する。

    虚実混ざった登場人物たち。とにかく数が多くて、把握しきれない。
    世界観にこだわりすぎて、つぎはぎなストーリー。
    結局、主人公(諜報員)が活躍したのはほんの少し。

    世界観の面白さだけでなく、もうちょっと中身があると良かった。

  • もしドラキュラが勝って世界を支配したらという設定。
    テンポの良い場面展開と借りキャラの登場するタイミングが上手く咬み合っている。
    これが後々「屍者の帝国」に受け継がれるのだなと。

    ジュヌヴィエーヴは女性像として個人的に憧れる部分を持つキャラ。外見は美しいままであろうが、内面は長い歴史を生きてるゆえに知性と精神的強さを持っている感じがすき。

  • 面白い!文句なく面白い!

    ヴァン・ヘルシングは破れ、ドラキュラ伯爵はエリザベス女王と結婚し、大英帝国の権力を握り、ロンドンは吸血鬼の都と化した。
    その頃、ロンドンでは吸血鬼の娼婦ばかりを襲う殺人鬼「切り裂きジャック」が現れる。
    闇内閣「ディオゲネスクラブ」の諜報員ボウルガードに切り裂きジャック追跡の命が下る!

    登場人物の95%が実在、あるいは他のフィクション作品の登場人物、というすさまじい小説。
    巻末の人物事典がすごいことになってる。
    最初は誰か出てくるとこの人物事典を見つつ読んでた。
    おかげでテンポ悪くなってイマイチ。
    途中から人物事典気にしなくなったら、テンポよくなって面白くなった。

    作者は吸血鬼大好きなんだろうなー。
    吸血鬼作品が持つ淫靡性、退廃性なんかが十分出ていて、それがまた19世紀ロンドンって舞台にあってて、良い感じ。
    主人公の一人ジュヌヴィエーブもかわいいし(見た目16歳にして400年を生きたエルダー。どこのライトノベルだw)、おすすめです

  • かのヴァン・ヘルシング教授がドラキュラ伯爵に敗北した世界を描く架空歴史小説。吸血鬼となった人間と残った人間達とが共存するロンドンが虚実織り交ぜながら描かれます。特筆すべきはやはり登場人物の多さ。古今東西の小説や映画から数多くのキャラクターが登場し、作品世界に違和感なく溶け込んでいます。巻末には訳者による人物辞典があり、それを眺めるだけでもニヤニヤできます。作者はオタクですね。
    主人公は、切り裂き魔を追う諜報員のボウルガードと、四世紀半を生きる見た目16歳美少女のジュヌヴィエーヴ。ジュヌヴィエーヴがとにかくかっこよくてかわいい。

  • 19世紀末ロンドンを舞台に、古今の怪奇小説や映画、
    史実からの膨大な引用をもとに描かれた、怪奇冒険小説。
    その手の作品が好きな人は多々ニヤニヤできると思う。
    作者のひいきっぷりがよく判るヒロイン・女吸血鬼
    ジュヌヴィエーヴはともかく、主人公のボウルガードの
    「まともさ」が周囲の異様な面々に押されてやや影が薄いが、
    そのことも膨大な引用を際立たせるための設定と
    言えるのかもしれない。
    巻末に登場人物の出典(架空作品の引用か実在か作者の創作かを
    問わず)があるので、読み進めながら「これ誰だろう?」と
    思ってもすぐに確認できるのは親切。
    続編もあるが、本作が一番よい出来。
    作者はジャック・ヨーヴェル名義でジュヌヴエーヴが
    登場するダーク・ファンタジーも書いている。

  • ブラム・ストーカー著「吸血鬼ドラキュラ」の結末で、もし最後にヴァン・ヘルシング教授が敗れ、ドラキュラが勝利をおさめていたら…という世界。むかーし昔に読んだドラキュラ譚は記憶に微かなのでまずはジュブナイル版で復習してから読んでみた。アルバート公亡き後のヴィクトリア女王と結婚したドラキュラは、プリンス・コンソートとして吸血鬼が闊歩、支配する新たな英国を作り上げていた。国民が次々とヴァンパイア化していく混沌としたロンドンで、吸血鬼の娼婦ばかりを狙った連続殺人事件が起きる。そこで闇内閣ディオゲネス・クラブの密命を受けたボウルガードが事件解決に乗り出す。そしてまた、遥か昔15世紀から吸血鬼として生きてきた少女ジュヌヴィエーヴも事件の渦中に巻き込まれていく…。この架空の世界に、現実におきた「切り裂きジャック事件」を柱とした物語を展開させ、ヴィクトリア朝を中心に歴史上実在した人物や、ヴィクトリア時代に書かれた小説の登場人物までもが生き生きと活躍する、史実と虚構とを絡めたボリューム満点(550頁)な物語。親切にも、巻末には登場人物事典が実在、架空問わず一通り掲載されている(これだけでも50頁!)。あらすじで触れたディオゲネスクラブとは、ご存じシャーロックホームズ譚でホームズの兄マイクロフトが属する、会話厳禁・人見知り紳士達のクラブだし、マイクロフト自身もクラブの議長として登場している。他にもSHお馴染みのキャラ多数登場。スコットランドヤードのレストレイド警部にモリアーティ「教授」、『空家の冒険』のモラン大佐など。英国文化人の名前も多数見られ、こうした名前や背景を想像しながら読むのもなかなか楽しい。だが、いかんせん人物が多すぎるのと、長生者(エルダー)や新生者(ニューボーン)、闇の父などの専門用語溢れる吸血鬼ありきの世界の仕組みがなかなか読みこめなくて苦労した。そもそも吸血鬼にガブリと血を吸われただけで即吸血鬼になると思っていたので、この世界では温血者(ウォーム・非吸血鬼)が血を売って生活の糧とする者もいるという記述に、それは成り立たない商売なのではとか疑問に思ったりして(どうやら血液の交換によって吸血鬼になるらしい)。殺人犯は最初からあからさまなので(だって名前が^^;)、犯人当てではなく、ボウルガードとジュヌヴィエーヴが犯人に迫っていく過程を楽しむのが良さそう。ANNO DRACULA by Kim Newman 1992

  • ブラム・ストーカー「ドラキュラ」でヘルシング教授が負けて吸血鬼の天下になった、という世界。

    ホームズは直接関係ありませんが、主人公がディオゲネスクラブの諜報員なのです。

    続編の「ドラキュラ戦記」「ドラキュラ崩御」は未読。

  • ヴァン・ヘルシングと対決したドラキュラが、
    もし勝っていたらという設定の小説。

    大英帝国、名だたる王侯貴族はもちろん、
    ヴィクトリア女王が大変なことに。
    登場人物がほぼ怪物と化しているのだけど
    舞台がイギリスなせいかどことなく上品。
    日光をさけて夜にお茶会とかやってたような。

    おもしろかった、と思ったことは確かなんだけど、
    だいぶ前に読んだのでうろ覚え。
    もう一回読まなきゃ。

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著者プロフィール

キム・ニューマン Kim Newman/1959年、ロンドンに生まれる。少年時代から映画とホラー小説に熱中。1982年より雑誌に映画評を連載し、84年から創作を開始。92年、ドラキュラが英国を支配した改変世界を描いた『ドラキュラ紀元一八八八』(アトリエサード)を発表し、世界幻想文学大賞などの候補にあがる。《ドラキュラ紀元》シリーズとして『鮮血の撃墜王』『ドラキュラのチャチャチャ』『われはドラキュラ――ジョニー・アルカード』(以上、アトリエサード)などを上梓。他の邦訳に『モリアーティ秘録』(東京創元社)、ジャック・ヨーヴィル名義の『ドラッケンフェルズ』(ホビージャパン)などがある。

「2021年 『《ドラキュラ紀元》われはドラキュラ――ジョニー・アルカード』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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