時の声 (創元推理文庫 629-5)

  • 東京創元社
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感想 : 20
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  • Amazon.co.jp ・本 (281ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488629052

感想・レビュー・書評

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  • ひとりバラード祭り開始!

    中学の時に破滅三部作を読んで、意味がわからないけれどなんとなく気になる存在のバラード。
    なぜかむしょうに読みたくなって短編集に挑戦してみる。

    面白いではないか!めちゃめちゃ面白い!!
    SFが探求すべき場所は深宇宙ではなく、現実と精神の設定となるところ、いわゆる内宇宙であるとして60年代から活躍した作家です。初期の50年代の作品と60年代の作品はそういう意味で掘り下げ方が明らかに深くなってなっていく様子が短編でも伺えて興味深いです。
    「音響清掃」なんて音の残響が残っているのを掃除するソノヴァックなんてガジェットを使いつつも、活躍する場所が奪われてしまったオペラ歌手の悲哀を描いて切ない作品だし、冒頭の「時の声」なんて人間を昆虫のように観察して掘り下げていきます。

    そうなのです、ディックのように不安を読者と共有するというよりは、精神科学的な外からの視線で観察されます。分析結果は読者次第。
    深いなぁ。

  •  読者を作品が選別するタイプである
     私には読むのが疲れるので荷が重い

  • 想像力を鍛えることができる。

  • 積ん読SF消化キャンペーン。抽象的な描写が多く、やや目が滑ってしまった。いつもながらの乾いた白昼夢感は好き。特に表題作。音響清掃、マンホール69、深淵はイメージがつきやすかった。深淵、地球が滅びつつあるのに老科学者が死んだ魚を剥製にするか聞くのが悪趣味でよかった。

  • 全体的に暗い

  • 宇宙は地球の外ではなく自分の内にあると教えてくれたのがこの作者・・・とずっと思っていたけど、よく考えてみると、SFマガジンの書評か解説のような気もする・・・

    収録「待ち受ける場所」に「埋葬に凝るのは退廃の確たる証拠」・・・・ってフレーズがあり、おお、ポンっ(←膝を打っています)と思ったら、裏表紙の見返しに私の字で引用してありました。・・・うーん、成長していない。

    脳裏でThe Smiths" I know it's over"が回るのは、きっと当時良く聴いていたのでインプリンティングされて
    いるんでしょう・・・・私はイヌか・・・

  • 表題作は去ることながら、『待ち受ける場所』の壮大な宇宙進化のヴィジョンと、石碑の謎にすっかり骨抜きにされてしまった。赤と青、動と静、始まりと終焉の限りなく荘厳な美。

    映像的で硬質な文体がヒンヤリと心地よい。映像的には何もかもが霞や靄の中へと溶け込んで行く、異形の画家ベクシンスキーの晩年の作品を思い出す。それは内的世界に通じる瞑想的な神秘感覚であり、その気流は常に闇の方角へと流れている。バッドトリップ、そして神秘体験のクライマックスから死へと向かうエクスタシー。
    コズミック退廃小説群。

  • 2013/11/2購入

  • 「時の声」は私にとってのSF短篇集のオールタイム・ベストである。初版は1969年というから今から40年以上も前のことだ。この短篇集が絶版にならずに定期的に再発行されてる件についてはつくづく創元はエライと思わざるをえない。しかし、それだけの価値は絶対にあると断言できる。収録されている短編はどれも傑作ばかりだが、不動のベスト1は表題作の「時の声」だろう。その始まりから結末までどこをとっても苛烈で絶望的で美しいイメージで満ち溢れている。すべてを灼き尽くす真夏の日差し、干上がったプール、絶望的、爆発的で奇形的な進化をとげる動植物群、星の果てから送られて来る宇宙の終末を告げるカウントダウン。登場人物はみな無気力で神経症的で空虚な怒りに満ちている。いたるところに現れるビジュアルで人間の理解を拒絶するサイン。結末で主人公に訪れる諦念の深さは短編であるにもかかわらず長編を読み終わったような手応えである。。是非よんでいただきたい。

  • 異様であるが美しい

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