- Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
- / ISBN・EAN: 9784488746056
作品紹介・あらすじ
恒星を巡る、想像を絶する生態の生命体との邂逅を描くヒューゴー賞受賞中編「島」、シャーリイ・ジャクスン賞受賞の驚愕の一人称短編「遊星からの物体Xの回想」、任務遂行のため実験的に意識を与えられた無人軍用ドローンの進化の極限を描く「天使」など、星雲賞受賞作家の真髄を示す傑作ハードSF11編を厳選した、日本オリジナル短編集。
感想・レビュー・書評
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2020-08-01 ピーター・ワッツ「巨星」読了
相変わらず読みにくい。この読みにくさは人間とは異なる意識と知性を描くと言うテーマから来るものなので、おもしろさでもある。
1番苦労したのは表題作「巨星」
逆にスラスラ行ったのはヒューゴー作「島」詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
11編が収められたSF短編集。
いずれも、意識や知性といったものが機械や自然物に宿るのか、異星人から見た人類はどう見えるのかを追求した意欲作。とっつきにくい作品もあるが、一編ずつ解説があるのが親切。逆に言うと、解説がなかったら何がなんだかわからない作品もあったのも確か。
なかでも注目は、名作映画のオマージュである『遊星からの物体Xの回想』。人類と異なる知性から人類やその生態がどう見えるかを書いている。 -
・・・うーん・・・これは評価が難しいですね・・・。
意識や知性をメインテーマに据えた、極めてハードな作風です。登場人物(一部AIもあり)は皆自省的で、自我の変遷を克明に表現しており、彼ら/彼女らの意識の展開をなぞることで一篇のSFたり得ているという、極めてエモーショナルな作風でもあります。
が、その描かれているエモーションが、ほとんど感情移入できないという・・・分厚いアクリル板の向こうで繰り広げられているドラマを観ている感じ、と言ったら良いのでしょうか。文字面だけ追うともの凄いスペクタクルが展開されているはずなのに、「はー、そうですかー・・・」という感想しか出てきません。ひとえに鴨の理解力の拙さ故と思いますが、正直なところ鴨的には今ひとつ楽しめず。
語弊を恐れずに言えば、長谷敏司っぽさを感じます。エモーショナルだけど嵌り込めない感じ。ゼロ年代以降のSFの特徴なのか?最近のSFは合う・合わないの差がはっきり出ますねー。年寄り臭い感想でスミマセンヽ( ´ー`)ノ -
ピーター・ワッツは難解なハードSFと身構えてしまうんだけど、この短編集は、いずれも楽しめた。
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- 付随的被害
フィネアス・ゲージの研究にも似た手法で、鮮やかに倫理的な人物が表現されています。しかしテーマが皮肉でも理想主義でも無いことが分かるので好ましい作品です。
- 肉の言葉
分かっていたはず、、安らぎも諦観もないだろう。
- 神の目
近い未来としては遺伝子検査によって同じ問題は起こり得て(遺伝子型)、そうしたらヒトはもっと謙虚になれるのでは。 -
22.1.26〜2.7
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カナダの作家「ピーター・ワッツ」の短篇SF作品集『巨星 ピーター・ワッツ傑作選(原題:The Island and The Other Stories)』を読みました。
海外のSF作品が続いています
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ヒューゴー賞受賞作収録。
『ブラインドサイト』の星雲賞受賞作家が放つ日本初短編集。
直径2億㎞の異種知性と人類の邂逅を描く『島』意識を得た軍用ドローンの進化『天使』など11編。
地球を発って十億年以上、もはや故郷の存続も定かでないまま銀河系にワームホール網を構築し続けている恒星船と、宇宙空間に生息する直径2億km の巨大生命体との数奇な邂逅を描くヒューゴー賞受賞作『島』、かの有名な物語が驚愕の一人称で語られるシャーリイ・ジャクスン賞受賞作『遊星からの物体Xの回想』、戦争犯罪低減のため意識を与えられた軍用ドローンの進化の果てをAIの視点で描く『天使』――『ブラインドサイト』で星雲賞など全世界7冠を受賞した稀代のハードSF作家「ピーター・ワッツ」の傑作11編を厳選。
日本オリジナル短編集。
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1994年(平成6年)から2014年(平成26年)に発表された以下の11篇が収録されている短篇集です。
■天使(原題:Malak" (2010))
■遊星からの物体Xの回想(原題:The Things" (2010) )※シャーリイ・ジャクスン賞受賞
■神の目(原題:The Eyes of God" (2008))
■乱雲(原題:Nimbus" (1994))
■肉の言葉(原題:Flesh Made Word" (1994))
■帰郷(原題:Home" (1999))
■炎のブランド(原題:Firebrand" (2014))
■付随的被害(原題:Collateral" (2014))
■ホットショット(原題:Hotshot" (2014))
■巨星(原題:Giants" (2013))
■島(原題:The Island" (2009)) ※ヒューゴー賞中編部門受賞
■解説=高島雄哉
着想が素晴らしいと思える作品が多かったのですが、専門用語が多かったり、あまりにもスケールの大きな作品の一部だったりと… 軟派なSFファンにとってはちょっと難しい感じでしたね、、、
各作品の前に1ページずつの簡単な解説が付けてあるので、それがないと理解不能な作品も多かったと思います… そんな中で、作品の世界に入り込めて愉しめた作品は『天使』、『神の目』、『乱雲』、『帰郷』、『付随的被害』の5作品かな。
そのうちの3作品『天使』、『神の目』、『付随的被害』は、AIを搭載した軍用ドローンによる被害や、空港の保安検査に導入された騒音ボックスによる乗客の検査・判定、装着者の脳神経系に流れる情報をキャッチして意識に上がるよりも早く判断を下して肉体を動かす装置を装着したサイボーグ兵士による民間人殺害等、機械によって人間が支配される世界が描かれていました… 軍事用ロボットによる戦闘、戦争が現実味を帯びている中、恐ろしいことですが、リアルさを感じざるを得ませんでしたね、、、
『乱雲』は雲が知性を持つ物語で、『帰郷』は深海底で行われる計画のために深海でも生きられるよう肉体や脳神経系を改造された人間の物語で、着想が面白くて愉しめました。
『ホットショット』、『巨星』、『島』は、銀河系に超光速移動用のワームホール・ネットワークを建設する使命を帯びて地球を出発した小惑星宇宙船の活動を描いた物語で『Sunflowers cycle』と呼ばれる連作らしいのですが、、、
スケールが大きすぎて… ちょーっと、ついていけなかったなぁ、なんせ10億年単位での時間の流れが描かれていますからね。 -
文章が硬くて自分にしては読み終わるのに時間がかかった。
最後の短編はとてもよかった、宇宙世紀の近親相姦!?みたいな下世話な興味を刺激された。相手がひたすら謎なのもよかったし、結局はそうなるんかーいというどんでん返しも控えめで好きだった。
倫理の問題を扱った強化戦士の短編は、なんかなー公共哲学のベンサムなのかロールズなのかみたいな構図をあからさまに採用しちやってるのは図式的すぎてちょっと冷めるな。ベンサムの理解が甘くて功利主義の最新の議論も踏まえていないので、浅い話になってしまって残念。
海底の話はとにかく不気味で悲しくてよかった。雲が意思を持って襲ってくる話もアイディアが秀逸で、これ盛り盛りにして長編で書いて欲しいなと思った。
でもとにかく文章が硬い。。。