巨神降臨 下 (創元SF文庫)

  • 東京創元社
3.44
  • (5)
  • (13)
  • (19)
  • (3)
  • (1)
本棚登録 : 140
感想 : 15
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (368ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488767068

作品紹介・あらすじ

異星人との遭遇は人類を結束させるどころか、激烈な不信と分断をもたらしてしまっていた。一方、テーミスの故郷の惑星での9年間に、ヴィンセントとエヴァたちに何が起こったのか? 人類同士の愚行と最終戦争を食い止めることはできるのか? テーミスとラペトゥス、二体の巨大ロボットが、両惑星のすべての人々の運命を背負って今、激突する!

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 異星人ロボットSFとして読んでいたけど、人種(に入ると思う)差別や排斥が大きなテーマになるとは…面白かったです。思考停止で異なるものを排斥、というのは恐怖の裏返しなんだろうけどそれにしても疑心暗鬼が攻撃にすぐ結び付くのは怖いです。
    ローズに始まりローズに終わったな…と思いました。エヴァとヴィンセントも重要だったけれど。
    カーラからエヴァへのお手紙、ジーンとしました。
    インタビューや私的な文書のみで構成されてたシリーズだったけれど、それで充分何が起こってるかわかるのは凄いです。思ってたより骨太でした。
    エヴァがダリル推しなのも嬉しい。

    しかしこれ、「計画」と「覚醒」はともかく、「降臨」は各方面にアレなので映像化難しそうです。「覚醒」も、マドリードの顛末がセンシティブだけれど。

  • 巨大ロボの発見、起動実験、異星人の侵略者との人類存亡をかけた戦い、と王道を進んできたのにいつの間にかただのチープな親子喧嘩に。
    異星人の文明が悪い意味でスペオペ的で、マンネリだったのもマイナス。大いに中弛み。
    すげえラスボスとの死闘とかド派手な世界大戦とかエンタメに完全に振り切っても良かったのでは。

  • 「なにが起こっておるのか知らなければ、なにもすることはできない。」


    「もしその惑星を救うことが、そこに存在する新しい種を丸ごと否定することだとしたら?」


    「赤ん坊に大人と同じことをやらせようなんて、無理な話さ。誰かにそいつらができないことをやらせようとしても無理なんだ。」


    「おまえがこっそり『ウォーキング・デッド』の、フィギュアで遊んでるのを、こっちは見てたんだからな。ぼくはおまえが、おまえのいうところの人形遊びをしてるのを見てたんだよ。」
    「あれは別よ!ダリルなんだから!わたしはダリルが好きなの。」


    「エヴァ、ぼくが誇りに思うのはおまえで、おまえの仕事やきてる制服じゃない。おまえがなにをしようと、ぼくは誇りに思うだろう。」

  • 前作ラストで、巨大ロボットごと異星に転送された人間たち。シリーズ3作目は、そこから地球に戻ってきた所から始まる。ロシアに拘留された彼らは、彼らが地球を留守にしていた9年間に、アメリカが壊れたロボットを修理して他の国々を支配下にいれていることを知る。さらに異星人が何千年も前に地球人と混ざったことから騒動が始まったと知り、異星人の遺伝子を多く持つ人々を強制収容さらには処刑までしようとしていた。
    ロボット操縦者のヴィンセントとエヴァ父娘の、ロボットを使った壮大な親子喧嘩には鼻白むが、物理学者ローズが不信と不寛容が蔓延し破滅を迎えようとする地球を救う為にする行動には驚かされた。正直異星人が人類とほとんど変わらないことはちょっとがっかり。どんなに科学技術が進歩しても、社会が直面する問題はどんな星でも変わらないということなのかな。

  • モキュメンタリー文体で描かれたSF、第3部。
    SNSの実況に通じると看破した解説に、さもありなんと頷く大作だった。文句なしの星5つ。

    ただ、解説にて(意図的に書かなかったのか?)書かれなかったことだが、地球で起きた『収容所をめぐる一連の、非科学的極まりない差別』は『遺伝子』だけでなく『宗教、民族』もそこにふくんでいる。
    主人公の一人に「わざと」自国の自主独立を主張させたり(少しぐらいそういう事を言わないと、という計略)。
    サイコパスのようで実は切れ者の女性キャラに、ボスニア・ヘルツェゴビナの話をさせたり。

    作者シルヴァン・ヌーヴェルは間違いなく、SFを語っている。
    もちろん、オタク小説にありがちな、そして読者が期待する趣味に走った部分(エヴァの名前の由来とか!)も盛り込んでいる。
    それと同時に、私たちを取り巻く世界にはびこる不平等、意図的に愚かであることを選択する愚行を描いている。

    SFとしての芯の太さ、オタク向け小ネタ、そして現実の世界に対する作者なりの考察(を、決してお説教にならないように書く力量!)。
    この3つが密接に絡みあい、本作は魅力を増している。

    唯一お気を付けて頂きたい点:読みはじめると、読み止めるのが難しい。食事や水分補給を忘れずに読むことをオススメする!

  • 3部作読了。

    読み始めた2020年1月から本日(3月28日までの期間に、現実世界でコロナウィルスのパンデミックが進行中という事象が発生しているために、前作ほどはストーリーに没入出来なかった。

    将来、平穏な時に改めて読みたい。

  • 三部作が無事に終了。最初の巻からは、予測のつかないところに収束したけれど、なるほどという終わり方だった。家族の話というのも納得だし、最後はほろっとさせられた。家族を焦点にしたために、中途半端になってしまった話もあるし、ともかく戦いが終わって良かった。(親子レベルでも世界レベルでも。)

  • 「巨神計画」「巨神覚醒」「巨神降臨」三部作の完結です。壮観ではあるが派手さはないラストが実に良かったです。
    この後は、軽くネタバレになるので未読の方はお気をつけください。ということで、ちょっと改行した後に続けます。



    物語的には、大きく見れば「人類が次のステージに向かう契機となった事件」のお話。小さく見れば「異星のテクノロジーで作られた巨大ロボットによる親子喧嘩」のお話。結局、エッサット・エックトへの通信手段は残されているという事実も見落としてはいけません。

  • <凡>
    読み終わってみると特にどうしたという作品でもなかった。
    まあ海外翻訳SFというものはこういうものなのだろう。
    だが表紙のイラストだけは評価できると思う。
    そう言えば映画化の話はどうなったんだ!w

  • 三部作、ついに読了。人類はまだ幼い状態にあり、圧倒的な力は持て余す、というのはその通りと思う。
    いつの日か、国という概念もなくなり、極端な富の偏重もなくなり、宇宙などの調査に英知を集結するところまで、人類は進化できるのだろうか?

全15件中 1 - 10件を表示

シルヴァン・ヌーヴェルの作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×