ハードワーク~低賃金で働くということ

  • 東洋経済新報社
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  • Amazon.co.jp ・本 (305ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784492222645

作品紹介・あらすじ

英サッチャー改革がもたらした"格差"と"不平等"貧困から抜け出せない"固定化される弱者"の苦悩。

感想・レビュー・書評

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  • 英ガーディアン紙の辣腕女性記者が、その身分を隠してさまざま職について、その様子をドキュメントしたものです。この本が上梓されてからずいぶんたちますが、ますます日本がこうなりつつあります。

    この本を読んだのは、ちょうど僕の人生でいうと札幌時代の最後の一年だったかと思うのですが、本当に読み終えたときに憂鬱な気持ちになって、三日ほど外に出れなかったことを覚えています。内容はというとイギリスの高級紙ガーディアンに記者として勤める著者が、経歴を隠してさまざまな仕事に就きます。そこで経験した仕事や見聞きしたことを書いたルポルタージュです。

    どんな仕事に就いたかというと、荷物の運搬係、給食のおばさん、託児所、飛び込み電話セールス、早朝清掃、ケーキ製造所、老人ホームの介護補助などです。仕事の内容は過酷そのもので、当然、給料も安い。当時
    「この先自分ができる仕事はこういうことしかないんだ。そして貧困にあえぎながら一生を送るしかないんだ」
    この本を読みながらそう思った僕は、そう思いながら涙が止まらなかったことをいまだに覚えています。

    今、日本でも格差社会が叫ばれていますが、イギリスやアメリカの格差のほうがもっと悲惨なんだと思わざるを得ませんでした。日本もだんだんとそうなりつつあるような気がして、とても恐ろしくなる昨今です。

  • ・イギリス版「ニッケル・アンド・ダイムド」。著者が身分を隠して低賃金労働に挑む。1,2年前に図書館で借りたけど読まずに返してたのでまた借りて今度は読んだ。
    ・この手の本を読むといつも思うんだけど、結局は一日とか数日程度体験してみて高所大所から「格差はすげー」とか言うだけなんだよな。いや、その切り口しか無いってのもわかるんだけど、この本の場合それが顕著だった。文章のいろんなところから「これは私の仮の姿、本当の私はセレブなの、我慢我慢」みたいなのが伝わってきて、いい気持ちはしなかった。
    ・ジャック・ロンドンのあれなんだっけ?「どん底のなんとか」だっけ?表面的には華やかなイギリスだけどあの当時と変わらん部分もあるなあと思いながら読んだ。ちょうどロンドンで暴動があったので、その背景を理解する一助にはなったかも。
    ・登場するクラパムパーク団地ってのがスラムで、近隣住民からもそういう場所だって意識されてるような場所。そういう団地って最近ないよなって話を嫁さんとしてたら、嫁さんの育った団地周辺は20年くらい前にはそんな感じの場所だったよって聞いてちょっと意外だった。
    ・訳がひどい。どうしてこんなに読みにくい文章にできるのか。

  • 筆者は、『ガーディアン』に勤務するジャーナリスト。筆者は、イギリスでの最低賃金での仕事を1970年代と2000年前後に二度体験している。この本は、2000年前後、新自由主義下でのイギリスの最低賃金の仕事の体験記。最終章で、1970年代の労働と比較している箇所が特に興味深い。

  • ●読書録未記入
    〜イギリス版ワーキングプア潜入取材

  • 英国における経済格差問題を提起する一作。高所得者と見なされる女性新聞記者である著者が、最低賃金で働く人たちの生活を体験する潜入ルポ。
    「恵まれた人たちにとって、現代は平等な時代だという神話は必需品である。」「人は誰でも、自分の暮らし方や生きる姿勢を正当化し、まずまずの善人という自己イメージを満足させようとする。」(259)
    経済格差問題が取りざたされるようになってきた日本で自己責任論が氾濫するのは、きっとここに無縁ではない。

  • 日本、アメリカと労働問題の現状を扱ったものを読んで、今回はイギリスモノに挑戦。既に孫もいる55歳の著者が一人で低所得者用住宅に住み、さざまざまな「ハードワーク」の面接を受け、実際に挑戦し、レポートしている。好奇心旺盛なおばさんの体当たりレポートといった感じで、ユーモアもありとても読みやすかった。けれど、本当はできないはずなのに家族と食事をしたり、友人に会ったり、ワインを飲んだりしてしまったという告白もあり、労働者としての生活が相当辛かったのだろうと思う。当たり前のことだけど、やはり、医療、教育、食、といった生きる上で必要不可欠なものにかかるお金は削るべきではない。民営化して競争力が増すということは確かに事実かもしれないが、その競争は価格を下げる競争でしかなく、サービスの低下につながっている。声を荒げてこの傾向に歯止めをかけるべきだ。けれど、普通に生活できている人間はこの事実に気づいていないのかもしれないし、既得権の保守に徹してしまうのかもしれない。貧しいことが倫理的であるとは思わない。が、人間としての生活のレベルが富裕層と貧困層で違いすぎるということに、作者は怒りを覚えている。また、若かりし頃に工場などで同様のレポートをしたときと比べて、相対的に考えると賃金は減っているとも述べている。アメリカとイギリスと日本を比較した場合、(といってもまだまだ知識不足だけど)アメリカがやはりいちばん酷そうだけれど、3国で同じようなことが起こっていて、人々が苦しめられているということが非常にキモチワルイ。

  • 格差社会の現実。資本主義は搾取の時代に逆戻りしている。

  • すごい本!!
    押し付けがましくなくて、とても淡々としているから説得力がある。考えさせられる一冊でした。
    みんなにもゼヒ読んでもらいたい本

  • 分類=労働。05年6月。

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