- Amazon.co.jp ・本 (323ページ)
- / ISBN・EAN: 9784492313985
作品紹介・あらすじ
既存の理論ではなぜ経済の変動を読めないのか。ケインズの知恵と行動経済学の成果を組み合わせて資本主義をもっと深く理解する。行動経済学という新興分野を活用して、経済の本当の仕組みを記述。人々が本当に人間であり、あまりに人間的なアニマルスピリットに囚われているとき、経済がどう機能するかを説明している。経済の本当の仕組みについての無知によって、資本市場の崩壊からいまや実体経済崩壊まで視野に入ってきた世界経済の現状がもたらされたことも説明した。
感想・レビュー・書評
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アニマルスピリットの存在がケインズ経済学の中に触れられていたということに驚きました。経済を理解することは、人の本性・アニマルスピリットの影響を理解することでもあると。その5つの視点は、安心、公平さ、腐敗と背信、貨幣錯覚、そして物語。私は特に、安心に取りつかれる人間の心理と、貨幣錯覚、そして人生の物語と絡み合っているという見方が、画期的で、人と経済の関係を新しい目で見るきっかけになっています。
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「失業者の職が見つからないなら、つまり、自分の労働が売れないなら、どうしてもっと安い賃金で働くと言わないのか」という問いから感じたのは、人は現在の自分の絶対位置を基準に考え、周りとの相対位置を軽視する、ということです。今回の震災における自分の行動が良い例です。
今の生活で圧倒的に足りていないのは水です。なので、買出しに行く際も水の購入を第一に考えていました。しかし、いざ水を購入する際、「あれも足りないんじゃないか、これも足りないんじゃないか」と考えを巡らせてしまいました。つまり、「通常の生活」を基準に必要・不要なものを考えてしまいました。そのせいで、水以外にも現状では特に足りていた余計な食料も購入してしまいました。
その最たるものが米です。水がなければ炊けませんので、本末転倒です。しかも、2週間分くらいの備蓄はあったので、購入の必要はなかったと思います。今の生活を基準に考えれば、必要なものは水だけだったと思います。
こういう状況下だからこそ、より冷静な判断が求められます。特に限られた資源しかないのであれば、真に必要なものと不要なものとを見極める必要があると思います。 -
ケインズ経済学と行動経済学のマリアージュ。
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アニマルスピリットとはケインズが『一般理論』のなかで使った用語で、合理的でないもの指す。
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アニマルスピリット
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09/8/29
小山龍之介 推奨 -
事例は面白いが、体系は、わかったようなわからんような。
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ビジネス
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タイトルでもある「アニマルスピリット」という言葉は、書中に何度も出てくるが、訳者によればケインズの「一般理論」において出てくる言葉であるという。元々の邦訳では「血気」と訳されていたようであるが、本書においては、経済的合理性だけで行動することができない人間の意味で使われているため、言葉の持つ印象と乖離することからそのまま、「アニマルスピリット」としてそのまま引用されている。
さて、そのアニマルスピリットであるが、基本的に5つに分類されている。
1.安心
2. 公平さ
3.腐敗と背信
4. 貨幣錯覚
5. 物語
こうした要素が人々の合理的な判断を限定的なものにし、ときに非合理的な行動をもたらすという。
本書は、著者が書中でも述べているようにマクロ経済学の本であり、行動経済学が主たるテーマとして書かれているわけではない。したがって、R/セイラーのような、実験に基づく人々の非合理的行動のケーススタディはあまりなく、非合理行動をより一般化したものである。それだけに抽象的で難解である。それだけに、読者が投資や実務などの実社会での活動にここで書かれていることを直接役立てるようなことは期待すべきではない、極めて理論的な内容である。
基本的は、フィリップス曲線やインフレなどのマクロ経済の基礎知識がないと理解が難しいであろう。 -
ケインズ理論とヒックスの乗数効果
安心乗数=安心感の変化がパニックを引き起こす
衡平理論
貨幣錯覚=名目金額の影響を受けること
パニックは理性の外にある
効率賃金理論=需要と供給で決まる賃金より実際の賃金は高い=やる気を引き出すため。サボらないように。
貯蓄率は国ごとに違う。国富とは無関係。
トヨタ自動車とアルゼンチンの国営自動車会社との違いは自信と自負の差による。経済学は考慮できない。
トービンのq
貨幣錯覚も住宅投資をすばらしいもののように思わせる一因。
ローンを売り渡すことができるようになったことが、リーマンショックの遠因である。
ISLM理論。