2050 老人大国の現実―超高齢化・人口減少社会での社会システムデザインを考える

  • 東洋経済新報社
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感想 : 7
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  • Amazon.co.jp ・本 (289ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784492395745

作品紹介・あらすじ

2025年には団塊の世代が後期高齢期に入り終える。2050年には団塊ジュニアの世代が後期高齢期に入り終える。このままでは、その時、実質GDPは現在より4割落ち込み、国税収入のほとんどを貧しい高齢者の生活保護で使い切る。国家の役割を限定し、国が提供するサービス、国家と個人の関係を見直さなければ、社会保障制度の破たんは避けられない。そのような大改革を、国民は英断しなければならない。

感想・レビュー・書評

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  • 【由来】
    ・どこで知ったんだっけ?amazonの関連本から?
     →原先生から8/7に借りた。

    【期待したもの】


    【要約】
    ・前半は結構アジってるな。

    【ノート】


    【目次】

  • この本は日本人全員が必読の1冊です。2025年、2050年に起こる問題。人口統計データほど正しい答えがある先はありません。日本人の未来について、非常に厳しい内容の1冊ではありますが、問題の本質を自らのこととして捉えるためにも読んでいただきたい1冊です。

  • 社会保障制度の将来の危機を予測し警鐘を鳴らしている。将来を予想することは難しいが、人口動態からの予測は確実におこる未来で、真剣に耳を傾ける必要があると考えている。この本では、最初に人口減少と高齢化比率の高まりで日本のGDPは縮小する方向にあり、持続的な経済成長はないと断じている。一方で、現在の年金などの社会保障の維持には持続的経済成長が必要で、根本的に思想を変える必要があると説いている。現在のアベノミクスでも、経済成長が先で抜本的な改革は後回しにするという歴代の政権と方向性は同じと言え、将来に禍根を残す可能性が高まったと感じる。
    団塊ジュニア世代が後期高齢期(75歳以上)を迎える2050年の姿は悲惨である。日本の実質GDPは2010年から約4割減少、国民一人当たりの実質GDPも約2割減少する。75歳以上が4人に1人、4人の現役で3人の65歳以上の高齢者を支える構図になり、親に比して貧しい団塊ジュニア世代は、親である団塊世代とそれ以前の世代の資産を食い潰した後に後期高齢期を迎える可能性が高いとしている。社会保障は生活保護を中心とする形態になり、税収も落ちこむので、国税収入のほとんどをすべて貧しい高齢者の生活保護で使い切ることになるという予測をしている。
    本書では、痛みを伴う抜本的対策を論じているが、選挙における高齢者パワーを考えると実現は難しいと思われる。したがって個人としては、社会保障制度の崩壊やそれに伴う財政危機を前提に、自分で考えて行動することが大切になると思われる。

  • 新着図書コーナー展示は、2週間です。
    通常の配架場所は、3階開架 請求記号:364.1//O22

  • 強烈な本です。

     年金問題を取り上げた記事はよく見かけますが、この本では、超高齢化・人口減少社会となる日本がどのような姿になるかを予想します。節目でいうと、団塊の世代が後期高齢者になる2030年、団塊ジュニアが後期高齢者になる2050年(老齢者割合のピーク)、人口構成が安定する2080年。

     1.年金 受給年齢を75歳に引き上げても現在ある積立金は2030年、早ければ2020年代後半には枯渇する。

     2.介護保険 現状でも半額は国と地方公共団体が負担しているが老齢者の絶対数の増加により現在の公的部門の負担額は7.9兆円から19兆円まで増加。

     3.生活保護 このあと、資産形成できずに老齢を迎える層が激増する。老齢貧困層は1000万人に迫ると思われ、生活保護給付だけで現在の3兆円から20兆円まで増加する。

     4.医療保険 自己負担が最も軽く、一番医療費を使う後期高齢者が激増することから政府見通しですら、2010年の29兆円から2030年には41兆円に国庫負担が増える見込み。

     これらをすべて消費税や、それぞれの保険料率引上げで帳尻を合わせるのは不可能。

     今でも国の予算の半分に満たない税収は、2050年にGDPが今の60%に落ちることを考えれば年20兆円がせいぜい。とにかく財源がない。

  • 長期的に見て、国内の労働者は、付加価値を生み出せる一握りの労働者と超単純作業を行う労働者に二分される可能性がある
    我が国のGDPの長期的な縮小傾向は避けられない
    2050年に4割減小し、一人あたり実質GDPは2割減少
    為政者のみならず、我々国民が「最善を期待するのではなく、最悪を想定する」姿勢を持つ
    ハイパーインフレ(45−49年で物価が98倍)
    2050年 団塊ジュニアの4−7割が基礎的支出を賄えないレベルの貧困状態
    積立金の枯渇 厚生年金2020年代後半 国民年金で2030年
    このままでは社会保障のみならず、日本社会の機能不全が近い
    今我々国民に求められるのは、現実可能のほとんどない「持続的経済成長軌道への回帰」頼りの議論に終始し、ごく普通に予想できる好ましくない将来から目をそむけることでなく、まず、起こりそうな現実を具体的に想定し、そこから、今、行うべきことは何か考えることなのです
    2018年年50万、2030年代なかば年90万人、2040年代100万人単位で人口減少
    経済が成長せず、国家の所得再分配機能が十分に機能しなくなるという前提で、現実的な社会保障システムをいかにデザイするか
    我々国民は、日本の国家財政の状況と社会保障制度の構造的脆弱性を知れば、今の日本に最善を期待する余裕などはないと理解するはずです。今の日本に求められるのは、残念ながら最悪を想定することなのです。
    ジャック・アタリ 最も重要で影響力のある国の一つとしての日本は、没落し、舞台から姿をこすことになる
    今直面している事態は、良し悪しの問題なのではなく、環境適応による生き残りの問題である
    現在のGDP規模の維持を取り上げることは現実的ではなく、一人あたりの実質GDPの維持とすることが妥当ではないか
    持続的な経済成長に頼ることなく、現行の経済的豊かさをいかに維持するか
    二宮尊徳 遠くをはかるものは富み、近くをはかるものは貧す」
    AIJ投資顧問の年金問題 いつかは好転を期待し続けた結果、悲劇を迎える

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著者プロフィール

1957年、神奈川県に生まれる。東京大学卒業後、米国シカゴ大学社会科学大学院国際政治経済学修士・同大学経営大学院経営学修士。マッキンゼー&カンパニー、フォルクスワーゲンドイツ本社をへて、アグリメジャーである米国カーギル社に入社。ミネアポリス本社、オランダ、イギリス法人勤務をへて、NTTデータ経営研究所へ入所。同社パートナーをへて、2009年より明治大学国際日本学部教授となる。NHK「白熱教室JAPAN」で放映された大学の講義が話題を呼んだ。専門は社会組織文化論、知財文化論、社会システム論、イノベーションおよび知識経営論。著書には『日本型イノベーションのすすめ』『日本的改革の探究』(日本経済新聞社)、『なんとなく、日本人』(PHP新書)、『2050 老人大国の現実』(共著、東洋経済新報社)などがある。

「2014年 『没落する日本 強くなる日本人』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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