知識創造の方法論

  • 東洋経済新報社
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  • Amazon.co.jp ・本 (292ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784492521366

作品紹介・あらすじ

日本の企業人の弱みは、現象の本質を洞察し概念化するコンセプト創造力、すなわち知力の乏しさである。「知識」という窓を通して哲学や社会学の伝統を学び、それを現代の経営にどう結びつけるか-。ナレッジ時代を生き抜く個人のための「知的鍛錬法」を論じる。

感想・レビュー・書評

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  • SECIモデルのサイクルの学びを深められた。とは言え、哲学が絡み、本質的な話に入ると、途端に訳が、わからなくなる。具体と抽象のトレーニングがまだまだ必要だと内省。コンセプトの意味はやや理解が進んだ感じがした。
    いつかまた再読チャレンジしたい。

  • 学生時代か

    いまいち良さがわからなかった気がするし、野中先生の本、持ってたんだと驚き。なので、もう一度読んでみる。2021年記載

  • 暗黙知からの形式知を哲学の視点を改めて交えて、SECIモデルを語る。
    ナレッジマネジメントを語る上でかかせない。
    リーダーシップ論とあわせて、どの立ち位置で組織として考えていくかが
    深い視点で得ることができる。

  • 知識を創造するために何が必要なのか学べた。網羅的な把握はできたが、さらに本書で紹介されている方法をさらに深めて活かしていきたい。

  • 立ち読みして面白そうだったので

  • 著者は野中郁次郎氏と紺野登氏。紺野氏は博報堂を経て、多摩大学教授。
    2003年初版出版、2016年第9刷出版という歴史ある感じの本。野中郁次郎ブランドと、「ナレッジワーカーの作法」という働き方改革的なテーマに誘われて手に取る。

    感想。僕には読むハードル高い。哲学から入り、大枠の話から最後に個社事例。古い本だからかもしれないが、暗黙知から形式知へ、という話は今やもっと平易な本もあるだろうし。僕如きでは消化しきれず。
    問題の分解→並び替えや組み換え→コンセプト化という事が精一杯。

    備忘録。
    ・個人的価値観と科学がせめぎ合うのが経営学。哲学に始まって、多様な学問分野が実践において総合的に立ち回れるのが経営現象。
    ・欧州のビジネスでは、事が進み親しくなるに連れて哲学文学歴史の話が出てきて、相手との会話で深さがないと密な仕事を取りこぼす。
    ・「何故それをやる必要があるのか」「何のために会社があるのか」といった思考は、日本の企業組織の中では敬遠されるが、経営的立場や、知識創造の場面では必要。
    ・「なぜ人は我が社の製品を購入するのか」といった問いかけを自分にできないビジネスマンが成功できるとは思わない。哲学的な知が背後に求められている。
    ・デカルトの方法序説。この中の「明証性の四原則」に、現在でも通用する知識構築論あり。①速断や偏見を避け自分が真実だと認めたもの以外は判断の中に含めない、②問題をとにかく分解、③考える順序を単純なものから複雑なものに段階的に、④見落としをなくす。
    ・求められている新たな知はアイデア発想法ではない。グローバルに通用するようなコンセプト想像力やビジョン構想力だ。
    ・SECIモデル。セキモデル。暗黙知と形式知の相互変換による知識創造プロセス。
    ・いいアイデアは企業内にたくさん埋もれている。問題はこれらアイデアがコンセプトとして構築られるか。
    ・コンセプトとは何か。いくつか定義があるが、新しい観点、新しいサーチライト。という表現が腹落ちした。

  • 哲学的観点からも考察されており、とても刺激的な本。

  • 知識創造企業の出版から7年後の2003年発行。企業内にたくさん埋れているアイデア。アイデアは個人から生まれる主観的なもの。最初は当の本人さえよく分かっていないもの。そんなアイデアをいかに新しい思考の枠組みであるコンセプトに具現化するか?この部分が一番重要なステップであることは、時代が変わっても変わっていないみたいですね。

  • 抽象の度合がキツすぎて、ほとんどついてゆけず見事に敗北しました。読んだというより図をみた程度。修行を積んで戻ってきたくなる一冊でした。その前に読んだ「知識経営のすすめ」のほうが、概要が完結にまとめられていて、わかりやすい内容で、好印象でした。

  • 知識の方法論についての本。知識経営についての指南本。
    相互継続的な学習 検証につながり、発見・体得につながる。

    ドラッカー指摘の知識労働の生産性向上の条件
    ・タスク定義(仕事の目的は何かを主体的に考える)
    ・自律性(働く者自身が生産性向上の責任を負う。自らをマネジメントする)
    ・継続的イノベーション(継続してイノベーションを行う)
    ・継続的学習とコーチング(自ら継続して学び、人に教える)
    ・量より質(生産性は量よりも質の問題である)
    ・自己選択(知識労働者は組織にとってのコストでなく、資本財であることを理解)

    日本人は無思想で技術がある。日本は暗黙知を駆使してテクノロジーを取り入れる反面概念化を経由せず、思想は輸入しない。理性的な概念化が課題とあってしまう。

    知識創造のモデル
    ・共同化(socialization)暗黙知から新たに暗黙知を生み出すプロセス
    ・表出化(externalization)暗黙知から新たに形式知を生み出すプロセス
    ・連結化(combination)形式知から新たに形式知を生み出すプロセス
    ・内面化(internalization)形式知から新たに暗黙知を生み出すプロセス
    あわせてSECIモデル
    ・共同化はフェイストゥフェイスで暗黙知の共有、獲得、増幅を行うプロセス。主客を越えた共通の経験や直覚。OJT、顧客との共体験により自分自身を環境の内部に組み入れ、全身で環境の知と一体になって知を獲得するプロセスなど。
    ・表出化は個人と集団の相互作用が媒介となり、思い(暗黙知)を持つ個人が討議などを通じて、他者の思いを共有し、より高い理念やビジョンと結びつけながら、言葉にする。さらに、言葉を磨き新たな観点を持つ概念へと産出していくプロセス
    ・連結化は形式知の獲得、結合。形式知を体系的に結びつけ、構築的に新たな形式知を生み出すこと。表出化された概念を操作的に再構成していくプロセスでもある。
    ・内面化は形式知を自分自身のものとして身体的にとりいれること。実験や現場での成果の反省が重要となる。思いの結晶物として市場に投入され、顧客、競合企業などと新たな知を触発し、SECIを回し続けることになる。
    ・ヘーゲルによる弁証法的運動の一般法則
    1量から質、および質から量への転化。2対立物の相互浸透。3否定の否定。
    ・綜合の知 
     整理一環させる。まとめる→電気メーカーの総合に近いレベル
     科学的結合→新しい構成物を生み出す。次元は変わらない 
     相乗効果
     弁証法的綜合→相互に矛盾する定立と非定立から仮説やコンセプトを生み出すこと。話題が一義的なら対話は生まれない。対話が成り立つには、前提も疑うことのできる開かれた思考でなければならない。コンセプトを創っているとアイデアが出ることもある。次元の高まり。
    ・コンセプト 新たな思考形式。新たな視点と物事の本質を掴み取ることができる観点。アイデアが結びついてできるもの。それがコンセプト。新しい洞察があること。それが結びついたものが理論。
    ・メタファーの知 メタファーを用いて新たなコンセプトの発見を行う。商品開発に留まらず、事業戦略や事業構想、組織設計、経営戦略のレベルにおいても重要な役割を担う。
    ・創造性を高めるために重要なポイント
     ・創造的なエネルギーの獲得(開放) 
     ・好奇心と関心を持つ
     ・日常生活の中でフローを育成する
     ・習慣化した強さ(創造性の維持)
     ・創造的属性や行動の内面化
    ・4つのリーダーシップ
     ・プラトン的リーダー 経営理念、収益以前の会社の存在意義、失敗から学ぶ発送。経営美学。問題提起、本質追求をめざすような「なぜ」という問いが企業成員に自問自答されることを目指すリーダー
     ・デカルト式リーダー 分析的戦略計画、ベストプラクティス 企業の生命線である損益について企業成員に明晰かつ判明に提示する姿勢や、ベストプラクティスの賞賛とそれを理論家する能力、論理的合理的な考え方を奨励する経営
     ・デユーイ的リーダー マニュアル化、反省的実践の中からの知の練磨 自ら率先して実施することで、部下の観察眼を刺激するやり方、部下が実践しやすい環境づくり、理論やノウハウを伝授する場づくり
     ・西田幾太郎敵リーダー 職人的な熟練の知。現場知の重視 関係性の中での自己認識、情や連帯感の強調。身体、感情レベルでのコミュニケーションの醸成など

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著者プロフィール

野中郁次郎
一九三五(昭和一〇)年、東京に生まれる。早稲田大学政治経済学部卒業。富士電機製造株式会社勤務ののち、カリフォルニア大学経営大学院(バークレー校)にてPh.D.取得。南山大学経営学部教授、防衛大学校社会科学教室教授、北陸先端科学技術大学院大学教授、一橋大学大学院国際企業戦略研究科教授などを歴任。一橋大学名誉教授。著書に『組織と市場』、『失敗の本質』(共著)『知識創造の経営』『アメリカ海兵隊』『戦略論の名著』(編著)などがある。

「2023年 『知的機動力の本質』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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