社長が戦わなければ、会社は変わらない

著者 :
  • 東洋経済新報社
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  • Amazon.co.jp ・本 (216ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784492554661

作品紹介・あらすじ

深刻な不況が続く業界にあって、7年連続で最高益を更新。世界トップシェアのメーカーを米国で経営するなど、国際的に評価の高い"金川流経営"のすべて。

感想・レビュー・書評

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  • 読んでおいて損はない

  • 経営者には温情も必要。

    合理性が大切で、金も時間も無駄なく使う。

    CSRは無駄。そんなことしてるなら、本業をしっかりと。

    先行きの予想はできない。都度、作戦を練り直すことが大切。

    最悪の事態が起きても大丈夫なように、会社を強くすることが大切。

  • 経営に対して合理的な考え方で、当たり前のことを当たり前に行っているのが印象的だ。そして、ポジティブな思想、最悪を想定しながら「どんなときでも、どんな事業にもチャンスがある」と言い、顧客中心主義を貫き、常識を打破していく。素晴らしいと思った。

  • ちょっと前の日経「私の履歴書」にも執筆されていた、信越化学工業の金川千尋社長の書です。信越化学工業はバブル崩壊後の不況をものともせず、平成17年度末時点で11期連続増収・増益に加え、連結売上高1兆円、連結当期純利益1千億円を上回り連結営業利益、連結経常利益、連結純利益において、2年連続での2ケタの増益を達成した驚異的な会社です。

    父が競合他社(微妙に専門が違いますが)で働いていることもあり、信越化学の強さには興味がありました。また、以前、インタビューに行ったこともありましたが、社内の雰囲気から金川社長の存在感を強く感じました。80歳を過ぎてなお、最前線で働き続けていらっしゃいます。現在、僕が最も尊敬している経営者です。


    さて、この本からは、信越化学の強さの根源といえる金川イズムのエッセンスを学ぶことができます。

    成功体験には引きずられない、常に最悪の状態を想定する、抵抗勢力にひるまない、といった(比較的)一般的な主張も金川社長自身の言葉で書かれると説得力が増しますが、興味深いのは以下のような言葉です。

    ・オールドエコノミーを切り捨てない

    ・「朝令暮改」は当たり前

    ・人事部の官僚制を打破せよ

    ・安易に人を雇うのは罪なこと

    ・組織改革では切腹させてはならない

    ・OJTを履き違えてはならない

    ・100の力の人に200の仕事を与える

    ・国際性は「できない」と言えることから

    ・”お祭り”への参加は辞退する

    経営書を読んだことは多くはないのですが、以上のような言葉は金川社長の特徴的なものだと思います。

    全体を通して、徹底的な合理主義(例:葬式は吹きさらしの中行われることが多く、健康を害す恐れがあるので参列は辞退させていただく、等)を貫くとともに、根源的な部分での人間への信頼感と歴史から学ぶことの重要性を説いている姿勢には、ただただ感服しました。

    一点、気になるのはやはり後継者でしょうか。金川社長ご自身はあまり心配をされていないようですが・・・これだけの名経営者の後継者というのはものすごいプレッシャーがかかるものだと思いますので。

    今後も、日本を代表する会社の一つとして、信越化学にはぜひ頑張ってほしいものです。

  • 昨年退任された金川元社長の経営にまつわるエッセイです。
    強烈なトップダウン、合理性の追求はとても一貫していて清々しい。
    日本電産の永守社長と通じるものがある気がします。その言葉には飾りがありません。

    経営者は病気になっている暇もない。
    目の前の課題に真剣に取り組まずに将来を語るな。
    ローテーション人事は愚の骨頂。

    など結果にこだわり達成し続けてきた人物の素直さに溢れています。

  • さすが、業績を伸ばし続けている経営者は凄いと思わせる内容。
    ただ、本書の視点がほぼ経営者なので、一般サラリーマンにはどうかなと。またやや手前味噌感がしばしば散見される。
    読み物としては非常に面白い。

  • 強い人ですね・・・

  • 信越化学の社長をやっている金川さんのビジネス書。
    経営者は熱狂(バブル)を利用するが、熱狂の後の谷間に備えなければならない。
    また最悪の事態を想定しないといけないと言った点は参考になった。

  • 開始:20080203、完了:20080203

    信越化学工業の金川千尋氏の著書。金川氏の経営観をそのまま記したといえる。
    考え方が、常に最悪を想定しながら、経営を進めている姿勢は自分と同じ姿勢
    だと思った。ただし、「会社の目的は株主に報いること」ということに関して
    は違和感がある。
    低収益の事業の取り扱いについて「利益を出せるうちは切り捨てる必要はない
    」というのは確かにそうかもしれない。他に成長分野があり、リソースを投入
    できるものがあるのであれば別だが、そうでなければ1億でも2億でも利益を
    出せる事業というのは大切なのではないだろうか。
    経営数値の捉え方は参考になる。
    また、全体的い語り口が、アメリカ企業の経営との比較で語っている。
    全体を通してただの成功物語ではなく振り返って失敗だったと思うにも書いてある点がよい。
    以下メモ。
    七期連続で最高益更新。
    重要なのは昨日よりも今日と明日のこと。
    主力は塩化ビニル(14%)、シリコーン樹脂(18%)、半導体シリコン(23%)、合成石英(20%)。
    シンテックは世界最大の塩ビメーカーで、従業員は320名。
    いずれかの分野の商品が厳しいときにも、ほかの商品が売上を伸ばして
    これを補うことができる。安定して成長できるように常にバランスを意識する。
    会社の目的は株主に報いること。ボスは株主だけ。
    「従業員は使用人だ」と経営者は堂々と言わなければならない。
    さもなければ従業員のために企業があるかのごとく本末転倒した錯覚
    に陥ることになる。
    株主に本当に報いるには従業員にやる気になってもらう必要がある。
    そうした意味で従業員は大事。
    従業員を幸せにしなければ達成できない。つまりこれは企業の目的ではなく手段。
    「会社経営は社会のため」にとか「従業員のために」というのは一種の偽善。
    本当の成功とはどんな厳しい時代にも利益を出し、
    それをできる限り長く続けること。
    熱狂は必ずさめる。
    肥料事業。辞めなかった理由は毎年1億〜3億の儲けがでていたから。
    新規事業で一億円を儲けるのは大変。私は儲けることの難しさを身をもって
    経験しているから、簡単に撤退したりはしない。
    利益を出せるうちは切り捨てる必要はないというのが私の考え方。
    オールドエコノミーだからというのは事業撤退の理由などならない。
    山本五十六、「常在戦場」。
    辞部の予測より事態は悪くなるという前提で計画を立てる。
    予測を立ててもいいのですが、そんなものは間違うものだと考えておくべき。
    私は「事態が悪くなったら、そのときにどうする」ということをいつも考えながら
    計画を立てます。
    だれしも「自分の予測は正しい」と思いたいものですが、そのよなつまらない
    メンツからこだわりが生じてしまうのだとすればそんなものは無意味。
    未来のことはだれにもわからない。未来は偶然の積み重ね。
    無借金経営に近い状態。「会社が潰れるときは借金で潰れる」という
    のが私の経験則。有利子負債は少ないほどいいとかんがえている。
    自己資本比率は最初38%だったが、2002年には63%になっている。
    株主に報いる方法は配当のみではない。マイクロソフトやオラクルは配当をゼロ。
    ROEは2002年で9%台の数字。これは10%にしたい。
    株主資本に対する純利益の割合のことで利益を出せばそれだけ株主資本も
    増える。そのため利益を出してもかえってROEが減ることさえある。
    当面は10%でそれほどこだわっているわけではない。
    数字のみにこだわるのならば自社株を買って償却すれば資本の部が減り、
    簡単にROEの数字をあげることができます。その気になれば今すぐにでも
    10%にできるがそれをやりたいと思わない。
    経営の指標としては、配当性向やROEなどよりも、当期純利益を見るように
    しています。毎期の純利益を上げていくのが最も簡単明瞭な考え方。
    高い確率で性向する見込みのある仕事でなければ絶対にキャッシュは使わないという
    のが私の考え方。
    アメリカなら1300億円もキャッシュがあれば自社株を買って償却するところ。
    キャッシュはなくなりROEも上がる。
    経営者がストックオプションを持っていれば、上がった株価で差額を儲けることもできる。
    ただしやらない。そのような誤解の芽をつくるもの嫌だから。
    ぜひとも投資したい大きなチャンスが出てきたときに、手元にキャッシュがないと困る。
    それがぜひやりたい仕事ならばたとえ借金してでもやるがそれよりは自分の資金で
    やるほうがはるかにいい。
    事情をよく知らない人の一般論などは重要ではないですから、事情を本当に理解
    している人間同士で話をすればそれで十分です。
    本業以外には手を出さない。
    出来の悪いホテルを地方でやるメリットなどどこにもありはしない。
    日本人はまだ個人の自覚がそれほど確立されていないので、無責任に波に
    のってしまうところがある。バブルのときは皆そのような状態だった。
    熱狂はいつか必ずさめる。
    財テクを一切やっていない。財テクなどは私たちにとtって本業ではないですから
    コントロールが利かず、そんなもので儲けようとしても単に危険なだけだと判断したから。
    本業でないものに手を出すつもりはない。
    「世界に通用する企業であり続ける」常に意識するのはこれ。
    アメリカ企業の経営者には冷徹な人が多いのですが、経営の基本のどこかに
    温かい気持ちがないと結局会社はだめになってしまうと思う。
    人を切っておいて何も感じない人と切らざるを得ないことを悲しいと思いつつ
    切る人との違い。
    本当に冷たい人間には部下もついてこないし顧客も近寄ってきてはくれない。
    正々堂々と戦うべき。
    人を生かしてこそ自分も生きられる。無残なことをすればだれも寄り付かなくなり、
    困ったときにだれも助けてくれない。
    奥日光の小西ホテル。
    会社をよくすることそのものが生きがい。
    人の善意を信じている。
    会社を変えられる人の条件、?目標をはっきりと持っていること、?現状を
    正確に判断できること。
    大不況にも耐えられるような強い体質の会社にするという目標。
    企業の第一の目的はあくまで利益を上げて株主に報いること。
    ほとんどのサラリーマンが常識対して疑問を持っていない。
    「考え方の柔軟さで言えば、私が二十歳で、君は八十歳くらいだね」
    社内改革では意識改革が不可欠。やったこと、?本格的な海外事業の立ち上げ、
    ?シンテックの経営、?国内の塩ビ事業の債権。
    一生懸命やる必要はない。問題は企画と発想。要するに勝てばいい。
    大切なのは労働の量ではなく質。
    塩ビ事業、年間40億の赤字。改革は、製造コストを抑えること。
    問題は原材料の高さ。。
    営業的には「選択と集中」。
    一人も解雇せずに工場閉鎖。
    四面楚歌。
    「これは一人か二人でいけないのか」
    「取引銀行の数が多いのでできません」
    「それならば銀行の数は減らしたらいい」
    人事、仕事に本当に必要な人だけを採用する。
    新卒採用ゼロ。例年と同じん員数。
    本来ならばどの部門も新卒をほしがらないはず。
    研究部門、芽が出なかった九人の将来のことを考えれば、安易に人を雇える
    ものではない。
    部門長以上の人間にとって一番大切な仕事は人を見ること。
    一つの仕事を本当に成功させることができる人はほかのことをやってもできるもの。
    会社に評論家は必要ない。
    「やって見せ、言って聞かせて、させてみて、褒めてやらねば、人は動かじ」山本五十六。
    よいことでも悪いことでも誰かキーマンがいるはず。
    キーマンの存在を確かめておけば次の仕事への布石となる。
    私に対する信任がなくなれば会社を去るまで。正しいことをやり、
    これからも正しいことをやろうとしているのに、取締役会の支持が得られないの
    なら、私はいつでも辞めるつもりです。
    Z委員会。
    Z旗、日本海海戦で勝った縁起。
    フォトレジスト、世界シェア30〜40%。
    10年もかけて成功させたのは現時点で一つだけ。
    多数決でテーマを決定していたのがよくなかったので、社長が意思決定するようにした。
    研究と事業とはまったく異質のもの。研究者に事業をやらせることには無理がある。
    新しいものは研究者に任せておけばいいだろうと安易に考えてしまった私の失敗。
    研究者に欠けている事業化を進める能力は、ビジネスを成功させた経験を持った
    別の人間が主体となって進めなければならない。
    新規事業では撤退の見極めが難しい。「それじゃあと1年やってみなさい。
    それでだめだったらみんな納得してやめよじゃないか」
    直接担当している当事者も納得していることが望ましい。
    シンテックの営業は230人。
    需要家の少ない塩ビの営業では少人数ですみますが、用途が広く需要家の多い
    シリコーン樹脂の場合、少人数で営業を行うのは不可能。
    セカンドライフ、厳しい将来に備えて、多少でも利益の上がっている現在
    行うことにした。また退職を強制するようなことは一切なく、全員に選択権を与えた。
    安易に雇うということは罪なこと。
    単なる組織いじりには意味がない。
    人が育たなければ、組織など何にもならない。極端な話、組織を変えるだけなら
    一時間で変えられる。
    しかし、人を育てるには数年以上かかる。でも、人を育ててこその組織なのですから、
    人が育たない組織改変など意味がない。
    CIに40億円以上も使ったことがあるが、ムダなことだったと思っている。
    一億円儲けるのがいかに大変なことかを知らないからそんなムダができるのです。
    オフィスビルなどを買えば、それはわが社の没落の始まり。
    ジャック・ウェルチ、控えめな人だった。
    買収などで業績を伸ばしたのではなく、自力で開発して業績を伸ばしたのが
    評価されたのだろう。
    ロビンテックの没落。
    人を陥れるようなものは営業ではない。
    塩ビは汎用品。基本的にいってどのメーカーがつくっても製品に大差はない。
    勝負の分かれ目となるのはコストであり、いかにコストを削り、儲けを
    出すかで塩ビ事業の成否は決まるというのが私の考え方。
    アメリカでは「アメリカではこうだ」というが「あなた方はローカルなんだ。
    インターナショナルではこうなんだ。」という。
    常に最悪を想定して経営にあたっておりこのことは現代の経営者にとって
    必須の姿勢。
    国際性ゼロの会社だった。
    その場の判断が大切。
    相手の提案を一々、会社に持ち帰って議論しても現場で高尚にあたっている当事者
    の判断以上のことは出来ないもの。
    私の仕事や判断に不満があって「そんな契約は認められない」という人が
    支配するような会社ならば辞めてかまいません。それが体を張るということ。
    経営者に必要な5つの資質、?判断力、?先見性、?決断力、?執行能力、?
    誠実さと温かさ。
    「出来ない」とはっきり言えないところからきているように思う。イエス・ノー
    をはっきりさせないことが日本人の一番の問題。
    出来ないときは理由を明確にして「出来ない」とはっきりいう。あるいは
    「努力はするけれどもこういう問題点がありますよ」という表現を使う。
    約束を守るのに大事なことは出来ないことは初めから「出来ない」ということ。
    それには将来を見通す目が必要。
    メーカーは製品を販売しないと成り立たない。
    製品を売り切らなければ、工場がとまってしまう。
    研究部門の人たちには、「とにかく顧客に会いなさい。生の声を聞こう。」
    というようにしている。
    商社のように品物を右から左にただ動かして商売することのむなしさを感じた。
    私がメーカーに行きたいおt思ったのはこのことがきっかけ。
    毎朝5:30におきる。本業に役立つことなら、だれとでも会いますし、
    どこへでも出かけていきます。
    法人税率40%。長い間50%もとっていた。世界的にみても高い。テキサス州は35%。
    チャンスを見逃さないためには、先入観を持たないことが大切。
    一般的には負け犬と思われている事業でも利益をだしている。
    経営は理屈では把握しきれない。実践から学ぶしかない。歴史から学ぶ。歴史は事実の積み重ね。
    チャンスというのは突然くることがよくありそんな場合に資金の用意。
    信越化学のビジョンとして株式時価総額とか世界トップ3などとは考えていない。
    時価総額はあくまで結果。別に3番がよくて4番、5番が悪いわけではないはず。
    それよりは世界に通用する会社としてそれが10年、20年、50年と続けられる
    よういなってほしいと思っている。歴史観からいうと世界は流動的。
    未来派予測不可能。具体的なビジョンなどは固定できない。
    望むのはこれまでにも増して強い体質の会社になり末長く世界に通用しつづけてほしい。
    経営者は激務だがこれを楽しむ気持ちを持ち続けたい。
    それまで経験したことのない新しい仕事をやってほしい。

  • うちの社長も戦ってほしいですね

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