- Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
- / ISBN・EAN: 9784492557860
作品紹介・あらすじ
優れたビジネスマンは
勘で仕事する!
「なんか、変だぞ」「これは面白い」……。
本物の経営者は思いつきやひらめきを大事にしている。
生産性と創造性が劇的に上がる思考法を解説。
著者・内田和成氏が経営コンサルタントの仕事を通じて、優れた経営者から学んだのは、彼らは経験や直感を大切にしているということである。大改革を成し遂げた経営者、ユニークな戦略で自社を飛躍させた経営者に、「なぜ、そのような意思決定をしたのか」と尋ねると、「勘です」とか、「答えは誰もわからない、やってみるしかない」という回答をもらうことが多い。
「優秀なコンサルタントもいきなりフレームワークから持ち出さない」とも述べる。左脳的に分析を始めたり、プレゼンテーションをするのはあまりお勧めできない。
本書で伝えたいのは、ロジカルシンキングの否定ではない。ロジックに加え、感情や勘、すなわち右脳を働かせることで仕事をより効率的に進める、あるいは、成果をあげられるということだ。
「勘や感覚よりもロジックが大事」というのはビジネスの常識。
勘・感覚は右脳的、ロジックは左脳的。ビジネスは左脳重視の世界だ。
本書はこの常識に挑戦する。ロジックの権化と言われる戦略コンサルティングファームのトップを務めた著者は「右脳も大事」と説く。コンサルタント時代から右脳重視派だった著者が右脳・左脳の使い分け方、使うタイミングを解説する。
生産性と創造性が劇的に上がる1冊。
感想・レビュー・書評
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【感想】
読んでいて何度も「うんうん、わかる~!」「そうだよね~」と頷いてしまう1冊でした。
結局のところ、「ロジック」だけではいつか壁にぶち当たる。
当たり前ですが、物事を解決したり、誰かを自分の意のままに動かすって事は、とても難しいんですよね。
たとえ言っている事がどれだけ論理的でも、もちろん受け手には感情が存在するわけなので、「コイツ言ってることは分かるけど、何かハナにつくな」と思われちゃ、最早そこでお終い。
そこから生まれるのは意見の違う者同士の不毛な議論のみで、最悪の場合どちらも感情的になってしまう可能性も・・・・
ていう感じで「右脳思考」の大切さは腹落ちしましたが、だからといって「感情」だけだと、ビジネスシーンにおいてはそもそも誰も耳を貸してはくれないものでしょう。
なので、「右脳×左脳」の両輪をバランス良く用いて、フェーズやシーンごとにうまく使い分ける必要があるなと思いました。
(その点、本書のタイトルでもある「右脳思考」っていうのは、やや語弊があるのかも。いうならば、「+右脳思考」かもしれません)
作中にあったこのフレーズ。
『結局、人間を動かすのは「それが正しいか、間違っているか」あるいは「やるべきかどうか」という理屈すなわちロジックではない。「やりたい」「面白そう」「やらなきゃまずい」といった気持ち、すなわち感情なのである。』
このフレーズが、本書で伝えたいことのすべてじゃないかなーと読んでいて思いました。
他人の「Do」の原動力として、もちろん理屈は大切ですが、結局その本人に「どれだけやりたいか」とどれだけ強く思ってもらえるのか?が、大切なのだなと思いました。
それこそが、「右脳と左脳の両輪」なのでしょう。
うん、ものすごく納得。
最後に、下記にまとめた「人を動かす4要素」、これはとても参考になるなと思いました。
どうすれば人を動かす事ができるのか?という問いを、4つの要素で因数分解しています。
「理屈」という面でまずは安全ブレーキを外し、「感情」いう面でその人の可動をより推進する。
これが出来れば、仕事の成長率も格段に上がりそうですね。
自分自身、人に動いてもらう立場の人間ですので、本書で書かれてあった事を意識して、「ロジックだけではなくその人の視点も考えて」の提案を心がけて、仕事に活かしていきたいなと思いました。
【印象フレーズとアクションプラン】
「人を動かす4要素」+ONE
①論理性:聞いてる者が「なるほど、正しい」と納得すること。
②ストーリー:論理的な整合性だけでなく、全体が一つのストーリーになっていて分かりやすい。
③ワクワク・ドキドキ:「やってみたい」という印象を与える
④自信・安心を与える:簡単にできる、問題ないという印象を与える
⑤相手の靴に自分の足を合わせる:どうしたら相手の腹に落ちるのか?
【内容まとめ】
1.相手の感情を理解し、また自分の感情も理解してコントロールすることで、もっと上手に仕事が進められる
ロジカルシンキングが重要視されすぎている。
ビジネスを行なっているのは人であり、そこに感情が存在する。
人は理性でのみ動くのではなく、感情で動くのは行動経済学でも習うことだ。
2.結局、人間を動かすのは「それが正しいか、間違っているか」あるいは「やるべきかどうか」という理屈すなわちロジックではない。
「やりたい」「面白そう」「やらなきゃまずい」といった気持ち、すなわち感情なのである。
3.思いつきを後から左脳で理論武装すればいい。
直感や経験から気づいたこと、感じたこと、つまり右脳的なことを、後からきちんと理屈づけた、すなわち左脳で理論武装すれば良い。
4.やる気スイッチ
どうしたら人のやる気スイッチが入るのか、考えてリードすること。
相手に今やる気スイッチが入っているのかを見極め、もし入っていないならどうすればやる気スイッチを入れれるかを考えてみるくらいの冷静さが、人を動かすには必要である。
相手の右脳に働きかけることが必要なのだ。
5.人を動かす4要素
・論理性:聞いてる者が「なるほど、正しい」と納得すること。
・ストーリー:論理的な整合性だけでなく、全体が一つのストーリーになっていて分かりやすい。
・ワクワク・ドキドキ:「やってみたい」という印象を与える
・自信・安心を与える:簡単にできる、問題ないという印象を与える
6.右脳力の鍛え方「観・感・勘」
「観察する」→まずは材料となる情報を収集する。
「感じ取る」→五感を働かせて様々な事を感じ取る。
「勘を働かせる」→見たり聞いたり感じたことが、自分にどのようなインパクトを与えるのか想像する!
7.「相手の靴に自分の足を合わせる」
どうしたら相手の腹に落ちるのか?
相手に納得してもらうためには、相手がなぜ納得していないのか、どこに真の問題点があるのかを理解することがカギである。
いわゆる「感情移入」で、自分の思考回路でわからない理由が解明できない場合は、相手の思考回路を想像してみること。
⇒自分もまた、腹落ちさせる対象である。
【引用】
右脳思考
右脳の大切さはよくわかった。
ロジカルシンキングと右脳思考は、両輪として使う必要性もかなり納得。
で、右脳はどうやって鍛えればいいの?笑
理屈だけではどうにもならない問題に対し、違うアプローチで攻略する。
ロジカルシンキングが重要視されすぎている。
ビジネスを行なっているのは人であり、そこに感情が存在する。
人は理性でのみ動くのではなく、感情で動くのは行動経済学でも習うことだ。
相手の感情を理解し、また自分の感情も理解してコントロールすることで、もっと上手に仕事が進められる!
この本で伝えたいのは、ロジカルシンキングの否定ではない。
ロジックだけでなく感情や勘、すなわち右脳を働かせることで仕事をより効率的に進める。あるいは成果を上げる事ができるということである。
p6
・本書の3つのポイント
1.左脳と右脳には使う順番と場所がある。
2.左脳と右脳は独立して別々に使うものではなく、両者間で「思考のキャッチボール」が必要である。
3.ビジネスで役に立つ右脳をどう鍛えるか?
p29
人間は仕事を進めるに当たってはロジカルであるべきと誰もが思うにも関わらず、対応する相手がロジカルではない、そしてその相手に対応するため、自分もいつの間にかロジカルではなくなっている、という可能性がある。
この時こそ左脳ではなく右脳で考える、あるいは少なくとも相手の右脳を理解する事が大事になる。
p33★
結局、人間を動かすのは「それが正しいか、間違っているか」あるいは「やるべきかどうか」という理屈すなわちロジックではない。
「やりたい」「面白そう」「やらなきゃまずい」といった気持ち、すなわち感情なのである。
p36
・思いつきを後から左脳で理論武装すればいい。
直感や経験から気づいたこと、感じたこと、つまり右脳的なことを、後からきちんと理屈づけた、すなわち左脳で理論武装すれば良い。
p50
・相手の感情と理屈を因数分解する。
相手のロジック面・感情面の両面で相手を理解するよう努めること。
自分の言っている事や提案に対し、感情ではどう思っているのか?理屈やロジックではどうなのか?
両面で理解する事!
p86
困った人に対して、ロジカルな発言でなんとか説得しようとしていないだろうか?
この反論は、後に禍根を残す事が多い。
なぜなら、そこで一旦退けたとしても、心の底から納得してもらったというよりは、本当は違うと思うのに言いくるめられたという感情が残ってしまう。
そんな時の4ステップの対応法。
1.左脳で論理的に何を言っているのかを理解する。
2.右脳で発言の「真の意図」をつかむ。
→相手の発言からの本当の意図、隠された意図を推測すること。
3.右脳で何をどのように答えればいいか理解する。
→ロジックで説き伏せるのではなく、相手の立場を尊重するような、あるいは不安を払拭するようなメッセージを右脳で考える。
4.左脳でどのように伝えればいいかを考える。
p105★
・やる気スイッチ
どうしたら人のやる気スイッチが入るのか、考えてリードすること。
人によってやる気スイッチが入る時間や場所、シチュエーションは異なるため、個別の対応が必要である。
それぞれのタイプに応じたやる気スイッチの入れ方が必要だが、自分のタイプを明確に自覚している人は少ない。
それぞれ何に関心を持っているのか、観察したり言葉を投げかける事で見極めるしかない。
p106★
相手に今やる気スイッチが入っているのかを見極め、もし入っていないならどうすればやる気スイッチを入れれるかを考えてみるくらいの冷静さが、人を動かすには必要である。
相手の右脳に働きかけることが必要なのだ。
p123
・右脳で考え、左脳でロジカルチェック
勘でおかしいと思ったことを、他人に分かるように説明できないとビジネスパーソンとしては通用しない。
p128
・思いつきを戦略に落とし込む。
突飛なアイデアも、最後に理論武装すればいい。
思いついたアイデアに対して次々にわいてくる矛盾や課題を順番に検討していき、その内に理論武装されて完成されたモデルとなる!
右脳でアイデアを出して、左脳で理論武装による補助をしていけば良い!
p150★
提出された疑問や反論を一つ一つていねいにつぶしたとしても必ずやうまくはいかない。また新たな難グセやネガティブコメントが出てくるだけだ。
どうすればいいのか?
その人が、反対する理由は何なのか?本質を見極める必要がある。
これこそが右脳の仕事なのである。
p156
・企画を通したいなら、意思決定者を動かす「何か」を探れ!
企画を通したいと思ったら、論理的に素晴らしいプランだけではダメだ。
当事者の想いや責任感、意思決定者を動かす「何か」、この両輪が必要である。
p166★
・人を動かす4要素
1.論理性
→聞いてる者が「なるほど、正しい」と納得すること。
2.ストーリー
→論理的な整合性だけでなく、全体が一つのストーリーになっていて分かりやすい。
3.ワクワク・ドキドキ
→「やってみたい」という印象を与える
4.自信・安心を与える。
→簡単にできる、問題ないという印象を与える
p193
・右脳力の鍛え方
右脳力の中で、勘が働くとか直感と呼ばれるものをここでは「勘」と総称しておくが、果たしてこうした能力は後天的に身につくのか?
まずは、自分がどんなことに勘が働き、逆にどんなことには勘が働かないかを自覚すること。
また、仕事でもプライベートでも、感情や思いつきなど「非ロジカル」な感覚を大切に!!
p208
・右脳力の鍛え方「観・感・勘」
「観察する」
→まずは材料となる情報を収集する。
「感じ取る」
→五感を働かせて様々な事を感じ取る。
「勘を働かせる」
→見たり聞いたり感じたことが、自分にどのようなインパクトを与えるのか想像する!
この3つを大切に!
p222★★
・「相手の靴に自分の足を合わせる」
どうしたら相手の腹に落ちるのか?
相手に納得してもらうためには、相手がなぜ納得していないのか、どこに真の問題点があるのかを理解することがカギである。
いわゆる「感情移入」で、自分の思考回路でわからない理由が解明できない場合は、相手の思考回路を想像してみること。
p228
・自分もまた、腹落ちさせる対象である。
自分の感情を素直に出す。勿論、外に向かってではなく、自分の中に問いかけるのだ。
自分の喜怒哀楽はいつもどの事をきっかけに起きているのか、理由を分析してみる。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
1.ビジネスで成功している人の共通点で右脳を使っていることが分かったので、正しい鍛え方を学びたくて読むことにしました。
2.右脳はイメージをつかさどる機関です。これを鍛えるには、あらゆることを想像する習慣付けをしていかなくてはなりません。例えば、額面通りの言葉をそのまま受け取ってしまい、相手から「何にも理解してないよね」と言われることが多い人は、右脳が弱いです。
本書では、人間は右脳→左脳→右脳の順番で情報を処理・精査し、人に対してアウトプットをしていることが分かったうえで、右脳が果たす役割と左脳との連携について書かれています。
「おかしい」「違う」などの違和感を感じた時に右脳が発達するため、右脳を鍛えることで現代で一番大切な「問題発見力」を鍛えることに繋がります。
3.直感を鍛えるためにとにかく言葉にしていこうと思いました。「これなんか違和感ある」というものを捉えた時、受け流してしまうことが多いのですが、これでは直感は鍛えられません。今、自分はこう感じた。なぜだろう?という振り返りをすることで、想像力が働き、右脳が活性化する。そして、それを検証するために左脳を使う。本書に書いてあるこのループを作って、自分の直感を磨いていきたいと思います。
日常から「おかしくねいか?」というセンサーをもっと働かせていきたいです。-
NAMIさん、おはようございます。
いつもレビュー楽しみに拝読しています。
私はもっぱらの右脳派のようで、過去は『発想は面白いが、論理的な...NAMIさん、おはようございます。
いつもレビュー楽しみに拝読しています。
私はもっぱらの右脳派のようで、過去は『発想は面白いが、論理的な説明がいただけない』と経営陣からダメ出しを喰らうことがザラでした。
それ以降、左脳的思考にシフトし論拠立てた提案を主としていますが、正直(つまらんなぁ)と未だに思うことがあるのです。
「右脳で直感を、左脳で検証を」
このループを早速今日から回してみようと思います。
ありがとうございます。今週もよろしくお願いします^ ^
2022/01/31 -
akodamさん
ブクログにコメント機能がついてることを最近知ったので返事が遅れて申し訳ありませんでした。
いつも私の感想に...akodamさん
ブクログにコメント機能がついてることを最近知ったので返事が遅れて申し訳ありませんでした。
いつも私の感想に「いいね」をつけてくださっていますね。
本当にありがとうございます。
akodamさんのおっしゃる「右脳で閃いて、左脳で論理立てる」というのはホリエモンと同じ思考回路なんですよ。
ロジックは大切なんですが、それに囚われてはいけませんよね。
そして、人はロジックだけでは動かない。
「右脳で人の感情に興味を持たせる→左脳で人に納得してもらう」
私は最近、このようなやり方にしていますね。2022/07/24
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BCGの内田さんによる論点思考仮説思考に続く3部作完結編。
いやほんと最高だった。何が最高かというと、これ、長年のコンサル人生で自分が言語化できていなかった意思決定プロセスを、他のコンサルの観察や自分に対する第三者評価を聞きながら言語化した内容になっている。
それ故、実はあんまり論理的に記載されておらずすごく主観になっている箇所も散見される。その記述の苦しみをみるにつれ、内田さんクラスの経験を長年積んでじっくり熟成された知見がこうやって文書として読めている感がすごく実感できる。 -
課題解決における右脳・左脳の使い分けについて、偉い人もこう考えるのね、ということが分かった。
人の動かし方とかモチベのところは、商社(に限らず一般に人を動かすことが大事な職場について言える?)で働いていると日々当たり前のように感じること。それでもp.92以降の事例(どうやって反対する人を説得するか)は面白かった。
右脳の鍛え方については最後の方に少し書いてあるが、全体に占める割合は少ない。主に右脳思考の重要性を説く本。
ところで、やらなきゃいけないですよってことをロジカルに説明してもやりたがらない人がいるのは分かる。逆に、ロジカルに「これはやってはいけません」ということが言えるのにやりたがる人もいる(例えば「力関係的に上の人・組織からの命令だから」とか)。これにはどうやって対処するのが正解なんだろう。
以下、メモ。
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人間はロジックで動かず、感情で動く。
感情で反対する人がいても、ないがしろにしない。その理由をよく聞けば、新しいインサイトがあるかもしれないから。論点の見落としに気づくかもしれないから。
問題発見は右脳。解決案は左脳。決定・実行は右脳。
右脳の鍛え方
①観察して感じたことを書き出す
②観・感(どう感じたか、だけでなくなぜそう感じたのか、も)・勘の検証
③進化させる
同じものを見ても、立場・個性で違うものを感じる。
→本書では「異なる視点を持つ人」としてクライアントや取引先が想定されているが、社内でも同じ。上司の立場・個性を理解すれば、手戻りが減る。
組織で期待される役割と果たせる役割を知ること。 -
右脳の鍛え方までしっかりと書いていたかというとそうではないと思うが、右脳と左脳の使い分けについてはふむふむと首肯できる内容が多かった。全体的な完成度は論点思考や仮説思考には及ばない。
以下、気に入ったフレーズ。
・感情と理屈の因数分解
・右脳→左脳→右脳。左脳を右脳でサンドイッチする形になる
・腹落ち=理屈はもちろん、感覚で大いに納得している状態
・意思決定時には「なんかおかしい」という感覚を大事にする
・自分の間で答えた答えを別の切り口から検討するプロセスを入れる
・分析不足、と指摘をする心理の例は①気に入らない②頭がいいことを見せたい③議論に貢献していると思っている④賛成だが念のため指摘
・RWA: ready, willingness, ability
・子どもは論理的に説得できないので右脳で語りかける
・どうしたら他人にやる気スイッチを入れてもらえるのかぐらいの冷静さが、人を動かすためには必要
・優秀なコンサルタントはいきなり左脳から始めない
右脳と左脳のキャッチボール
・論理的に素晴らしいプランだけでは企画が通らない。当事者の想い・責任感と、意思決定者を動かす何かの両方が必要
・痛みを伴う提案にはストーリーが必要
・論理性、ストーリー、ワクワク・ドキドキ、自信・安心を与える
・ストーリーの肝:立体感(イメージできる)、現実感(実現できそう)、安心感(やってみたい、自分でもやれそう)
・自分がどんなことには勘が働き、どんなことには勘が働かないかをまず自覚しておくことが大切
・観、感、勘
・人は経験を積めば見方が変わる。あるいは、素人と玄人では同じ現象を見ても、違う解釈をする
・仕事でもまず自分の感情を自分自身に対して出してみる
・右脳思考=自分の中に蓄積された経験という、自分オリジナルのデータベースに自在にアクセスし、それを使って自由に考えること
・組織で期待される役割→分析型、批評家、思いつき型、熟慮型、実行型、破壊者、まとめ役、アドバイザー
-
仕事の資料として読んだ。
脳科学にくわしい人はタイトルに引っかかるかもしれない。「人間は感覚優位の右脳型と論理優位の左脳型に分かれる」という話は、迷信・疑似科学のたぐいである、と……。
だが、著者は便宜的に、論理(ロジック)では説明できないひらめき・思いつき・考えを総称して「右脳」とし、ロジックで説明できるものを「左脳」としているにすぎない。
脳科学的な解説は一行も出てこないし、脳科学の知見をふまえて書かれているわけでもない。なので、本書を「脳科学的に眉唾だ」と批判するのは的外れだろう。あくまでビジネス書なのだ。
内容は、「ロジカルシンキングの限界を超える観・感・勘のススメ」という副題のとおり。
〝現在のビジネス界はあまりにもロジカルシンキングに偏りすぎているから、もっとビジネスに直観・勘を活かしていこうではないか〟という提言の書である。
その提言がさまざまな角度から、具体例とともに語られ、終盤では著者が考える〝勘の磨き方〟も紹介されている。
切り口は異なるものの、方向性としては山口周氏のベストセラー『世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?』と同じである。
あの本の副題は、「経営における『アート』と『サイエンス』」。つまり、企業経営のありようがあまりにサイエンス側(論理的思考に基づく手法)に偏りすぎているから、アート側(美意識や直観など)にバランスを戻すことが重要だ、という提言の書であった。
山口氏も、本書の著者・内田和成氏も、ロジカルシンキングが不要だと言っているのではない。
ロジカルシンキングで答えが出る問題は、今後もそうすればよい。しかし、社会の複雑化や変化速度の激化によって、ロジカルシンキングでは答えの出ない局面が増えている。
また、ロジカルシンキングの手法が普及したいま、どの企業も問題解決において同じ答えが出せるようになっており、その「答え」が他社との差別化に結びつかなくなっている(山口氏はそうした傾向を「正解のコモディティ化」と名付けた)。
ゆえに、ロジカルシンキング・ベースのビジネス手法は限界に突き当たっている。これからのビジネスでは、経験に基づく直観知の価値こそが高まっていく。……大要そのような主張なのである。
ビジネスにおける直観知の価値に光を当てる書は、このところ、ほかにも刊行が相次いでいる(佐宗邦威著『直感と論理をつなぐ思考法』など)。時代の潮目が変わりつつあるということだろう。 -
内田先生にしてはやや切れ味が甘い感じがしなくもない。とくに、三部作の最終章ということなのでなおさらだ。経営学の本というよりも、頭の使い方や思考のプロセスの話なので社会学の本なのかもしれない。
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「仮説思考」「論点思考」につづく、著者の「思考」3部作の最後は「右脳思考」。
ロジカルシンキングだけではだめで、アイディアを思いつくには、直感みたいなのが大事だったり、人の共感を得るためには、感情も大事だったり、とある意味当たり前のことが書いてある。
前の2つの本も、ある意味、直感的なものがあったうえでのロジカル思考なので、この3冊で構成されるというのもなるほどとも言える。
コンサルって、徹底ロジカルかというイメージがあることを前提に、いやいや右脳も大事なんですよ。右脳的なものと左脳的なもの(ロジカルシンキング)を状況に応じて使い分けたり、行ったりきたいるすることが大事ということかな?
それをコンサルがいうと言うことに価値があって、たいていの人は、自然にそんなことやっているんじゃないのかな?
で、そこから先の具体的にどう右脳を使うか、右脳を鍛えるための方法はどうなのか、というところが知りたいわけだが、事例ででてくるのも、なんだか当たり前ぽい。
まあ、当たり前のことを言語化したということかな?
ロジカル・シンキングが苦手な人は、ちょっと気が楽になり、得意な人はちょっと反省する、そんな本かな?
でも、同じ内容の繰り返しがちょっと多い気がする。 -
仕事を行う上でロジカルに進めることも大事だが、それだけではうまくいかない場合は、いわゆる直感など「右脳」も働かせることが大事だということを、自身の失敗談も交えながらコンサルティングの第一人者が語った本。
ある程度の年月を仕事にもまれた人にとっては当たり前と思われることが書いてあるのだが、今の世の中はいわゆる即戦力となるスキルや知識習得が偏重されすぎているので、若いビジネスパーソンにとっては役に立つのではないだろうか。特に経営者や意思決定のポジションにいる人といえども「好き嫌い」で判断することがある、ということは早いうちに覚えておいて損はない。
著者によると左脳を使う論理思考は分析に役に立つが、右脳はその前後のインプットとアウトプットで役立つことが多いという。実際にはそんなに器用に使い分けられないと思うが、イメージとして例えば「反対の理由は右脳で探り、説得方法は左脳で考える」というあたりは覚えやすい。
また提案段階の心がけとして”エンパシー”という言葉が出てきたのには驚いた。ビジネスパーソンに限らず、政治でもビジネスでもいま一番足りていないのは、本当に相手の立場に立って考えることだと思っているので、腹落ちした。
”では、どうすれば人の心を動かすような提案や説得ができるであろうか。
結論から言えば、左脳(ロジック)で考えたことに右脳で肉づけすることによって、相手の気持ちに入り込む、あるいは寄り添うことがカギとなる。英語でこれをエンパシー(Empathy)、日本語では感情移入と呼ぶ。”(P.160)
本書は以前の『仮説思考』『論点思考』とともに三部作を構成している。『論点思考』は目からウロコの内容で物事の考え方を一変させてくれたが、本書はあたり前のことが重複して書かれており、やや冗長に感じた。