天に還る舟 (SSKノベルス)

  • (株)南雲堂
3.11
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感想 : 19
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  • Amazon.co.jp ・本 (358ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784523264507

感想・レビュー・書評

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  • 小島正樹氏のデビュー作でありながら、あの島田荘司との合作。多分トリックは小島氏で、プロットは島荘ではないかと勝手に推測。特に、足で稼ぐ刑事の描写と、終盤の犯人の動機に繋がる、戦時中の凄惨な描写は流石。そして、バラバラの動機もらしさ抜群。
    勿論、小島氏らしいとんでも物理トリックも健在で面白いが、やっぱり島荘のケレン味がたっぷりで、単体の作よりボリュームがある。

  • 舟とともに吊り下げられた死体、突然燃える死体、鎖で石に結びつけられた死体...
    これら奇怪な死体を納得してしまう、壮大な物理トリックがとても面白い。義足も騙された。

    途中で語り口を変えて死体を描写したり、最後に手記を持ってきたり、といった構成は島田荘司さんらしいなと感じた。

  • 謎解きは雑だった。主人公の勘頼り。旅館にいた学生をワトソン役に。ありえない。
    南京大虐殺の復讐劇。都合よく「真偽はさておき」とするのはズルい。いくらフィクションとはいえ。
    自らも狂気に身を委ねながら、自分がその狂気に晒されると、復讐の鬼になる。作者は犯人の手記を理由としたかったのだろうが、あまり説得力はなかった。

  • 次々と起きる殺人事件、しかも何らかの見立てを示唆する現場、立ちはだかる奇妙な謎、挑むは帰省に来ていた本庁の刑事中村と観光客である海老原。
    しかし、なにか違和感が最後まで付きまとった。

    まず海老原の存在。なんで外部の人間があっさり刑事と一緒に行動できる?そもそもこの相棒役の設定はいる?
    殺人の謎解きも無理がある、というよりそもそもトリックが凝りすぎていて現実味がほとんどないうえ、犯人の動機もしつこすぎる。ここまで面倒くさいトリックは必要ないだろうに!
    さらに4日連続で4人も殺されているのにマスコミすらおらず、おんなじ場所で次々に殺人が起きるなんてあり得ない!
    警察は殺人現場なのに放置!?
    さらに、基本的には読み易いのだけど無用な描写が多い。
    いちいちタクシーに乗って移動する過程がこまごま描写されてたり・・・。

    緻密なトリック、意外な動機、とか言えないこともないけど、バランスの悪さが上手くできた本格物を読んだ時に感じられるカタルシスを大幅に削っていて、残念。
    次の作品に期待。

  • 秩父で起こる連続殺人を休暇に来ていた刑事と旅館の宿泊客が捜査していく。話自体は面白くないわけではなかったが、その設定もトリックも可能なのだろうか。この作品は島田荘司作品の外伝的作品で、小島正樹のシリーズ1作目の位置づけのようであるが、どちらかを読んでみるか悩むところ。

  • 次々と殺人事件が起きて、謎解きも面白かったけれど、
    よく考えてはいけないけれど、
    よく考えたら、絶対おかしい!と思ったけれど、
    読んでからだいぶ日がたって、なにがおかしかったか忘れました。。
    後書きにこの本が作られた経緯とか書いてあったらいいなと思いました。

  • 見立て殺人、三つの物理的大技トリック、密室トリック、偽装トリックと盛り沢山ですが、犯人指摘の論理がご都合主義に感じました。
    動機は島田氏が訴え掛けたいんだろうと思われる社会派テーマを用いていますが、今さら南京大虐殺や百人斬りを持ち出しても時代的に無理があるように思えました。
    それでも、本格ミステリーとしてはまずまずの出来だと思います。

  • 島田荘司とのコラボということで、とりあえず読んで見たが・・・。
    確かに舞台装置や謎の提示の仕方は「いかにも」という感じで、それなりに楽しめたが、細かなツッコミどころが多く(刑事が民間人に捜査情報を漏らすか!?・・・等々)、いちいち気になって物語に入り込めなかった。

  • 『火刑都市』などに登場する名脇役・中村吉造刑事が、
    『火刑都市』解決後骨休めのために妻と休暇で訪れた
    秩父・長瀞で事件に遭遇するというストーリー。

    島田荘司御大と小島正樹による共著のため、
    部分部分で分けて書かれたのか、トリック(アイデア)・執筆で分けたのか
    どっちなんだろうと思いながらずっと読んでいましたが

    ■南雲堂刊、『天に還る舟』のできるまで
    http://ssk-ws.cside3.com/new/letter/to/special_02_index.html

    という書簡のやりとりを見て、ベースとなる部分を小島正樹が書き
    それに島田御大がトリックなどのアドバイスをしてさらに書き直し
    そこから島田御大が全体を加筆修正する形になっていったのだとわかりました。

    登場人物が島田作品でおなじみの中村刑事になっているのは
    版元の南雲堂から御手洗・吉敷ほどではないが
    島田作品世界のキャラクターを使って欲しいという
    要請があってのことだったのですね。いやはやなんとも。

    中村刑事とコンビを組む海老原浩一が序盤不思議なひらめきで
    真相を見通しているかのように見えて、
    後半中村刑事が天啓によるひらめきで事件を解決していき
    海老原浩一がややもすると中村刑事について回るだけの存在になり
    引き立て役のような役回りになっている不自然さは
    ここから来ているのだとわかりました。

    また、トリックの細かい部分で不自然さ・不可解さを感じたり
    細かい粗のようなものがいくつも散見されますが
    それと同時にそこかしこに島田イズムのようなものが
    感じられて、島田荘司ファンとしては満足感はあります。
    それは島田御大が書いたからというより、
    小島正樹が島田荘司信奉者だから感じられるものだと思います。

    章の最初の語りのような部分は雰囲気がありますが、
    全体として文章は粗いですし(あまり上手くはない)
    あらすじを流すような書き方になっていますが
    デビュー作ということを考えると
    今後に期待できる作品になっていると私は思いました。

  • これまた派手なトリックだったけど、トリック云々というより物語としてイマイチ楽しめなかった。

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著者プロフィール

1948年広島県福山市生まれ。武蔵野美術大学卒。1981年『占星術殺人事件』で衝撃のデビューを果たして以来、『斜め屋敷の犯罪』『異邦の騎士』など50作以上に登場する探偵・御手洗潔シリーズや、『奇想、天を動かす』などの刑事・吉敷竹史シリーズで圧倒的な人気を博す。2008年、日本ミステリー文学大賞を受賞。また「島田荘司選 ばらのまち福山ミステリー文学新人賞」や「本格ミステリー『ベテラン新人』発掘プロジェクト」、台湾にて中国語による「金車・島田荘司推理小説賞」の選考委員を務めるなど、国境を越えた新しい才能の発掘と育成に尽力。日本の本格ミステリーの海外への翻訳や紹介にも積極的に取り組んでいる。

「2023年 『ローズマリーのあまき香り』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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