父と私 (B&Tブックス)

著者 :
  • 日刊工業新聞社
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本棚登録 : 87
感想 : 12
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  • Amazon.co.jp ・本 (308ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784526076763

感想・レビュー・書評

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  • 関心が無いことはないけど、政治は理解できない事が沢山あります。
    だから今回この本を読んでも理解できてない部分もありますが、それ以外の「父と娘」としての部分は興味深く読みました。
    政治の世界から遠ざかっていても、田中眞紀子さんという方は印象に残る存在。強いイメージがあるけど、そうでない部分も少し読み取れたかなと思います。

  •  眞紀子さんが、政治家としてというより一人の人間として、お父さんである角栄さんのことを本当に誇りに思っていて、大好きだったんだなあということを強く感じた本だった。わたしは生前の角栄さんを知らないけれど、政治家、記者、身内などいろんな人が書いた本を読んでいくうちにわかったのは、彼が本当にエネルギッシュで、眩しくて、勇気があって、力も人望もあって、周りにはいつも人だかりができていて、数えきれないくらいの人たちが彼の注意を引くために常に蠢いていたのだろうということ。その魑魅魍魎の中心にいる角栄さんから一番まっすぐに愛されて、クヨクヨしたりウジウジしたりする選択肢もないような怒涛の日々の中、ポジティブなエネルギーをこれでもかというくらい受け取って送ることができた眞紀子さんの人生は、もちろん紆余曲折あっただろうけれどそれでも、きっとすごく充実して、満たされていて、幸せだったんだろうなあと思った。

     ただその一方で、こんな印象的な記述もあった。

    ---
    愛国心と政治への関心度においては私も自負するものがあるが、自らが権力の頂点を極めたいなどとは一度も考えたことはない。世の中には優秀な人材がおられ、同時に自分の能力の限界も弁えている。さらに加えるならば、政治の無慈悲とマスコミに煽られる国民世論の恐ろしさは骨の髄までしみ込んでいる。
    (p.234)
    ---

     絶大なカリスマ性と人気と権力をもって一世を風靡した時の人を父親に持ちながらも驕ることなく、そこに至るまでに多くの葛藤があったに違いないけれど、最終的には冷静に、一歩引いたところから客観的に自分自身を俯瞰している姿が心に残った。

  • ふむ

  • 読んでまず思うのは角栄パパと娘眞紀子さんの似たもの父娘という感。眞紀子さんの兄が夭折したことで男の子のように育てられたこともあっただろうし、それ以上にこの2人は性格や考え方、ものごとのとらえ方が似ていてウマが合ったんだろう。よく父と同じ道に進んだ息子が似た者二世として紹介されるけど、いわゆるエディプスコンプレックスっていうのがあるじゃない(あるのかどうか怪しいけど)。一方で、よく世のパパどもが「娘のかわいさは息子とは別もの」みたいに言うし、父と娘は似るっていうし。加えて、コンピュータつきブルドーザといわれ精力的に生きた角栄と、やはり歯に衣着せぬもの言いで物議をかもすことを厭わなかった眞紀子さんとは、ある意味、世のなかと闘ったり世のなかを変えていくという人並みならぬ道を歩く同志のような関係だったんじゃなかろうか。
    書中で紹介されている角栄の姿は、子の欲目はあるだろうけど、やはりすごい人物に思えてならない。集中力、機動力、人としての生来の魅力……自分の印象もそうだし世のなかもそうだと思うんだけど、ロッキード事件で逮捕されたことで罪人視されたり、個性の強さや一本気なところが誤解を呼んだり、政界の黒幕=悪者というバイアスをかけて見られてしまっていたと思う。でも実際には、かなりの数の政策を立案し立法しているわけだし、日本の隅々までバランスよく豊かにしたいという思い(成功したかはとりあえずおいておいて)や日本の国際的な地位向上を目指して政治に臨んだ真摯な人だった。書中からそんな角栄の姿が、さまざまなまさに一心同体的な娘でないと知り得ないエピソードとともにうかがえる。
    眞紀子さん自身もエキセントリックかつヒステリックなキャラクターという印象が強かったが、多分に情報操作されてのこともあるだろう(実際はどうかわからないけれど少なくとも自分でリアル眞紀子さんを知っているわけではないから)。若いうちに普通の人では得難い経験をしていることもあって、独特の感覚をもち勘をはたらかせることのできる人という感じ。
    この本にはたくさんの知られざるエピソードや話題の渦中では語られることのなかった思い、また、高倉健さんが角栄さんの墓参をしたいと電話をしてきた話(これまた世評に惑わされずに自身の価値観をもっている健さんらしい)とか、土井たか子さんとのおつき合いとかがさらっと綴られていてそういう意味でも面白い。

  • 昭和を代表する政治家・田中角栄。汚職での逮捕でダーティなイメージもありましたが,平成の終わりを迎える今,そのカリスマ性やダンディズムといった人格面に再び注目が集まっています。同じく政治家だった娘・真紀子の目から見た父としての角栄は,また違った一面を見せてくれそうです。

  • 期待した政治的な機微情報はほとんど出てこない。
    父親としての田中角栄の姿は、生身の人間のそれであり、政治家のそれとはかなりギャップがある。そういう意味ではやや意外感もあるが、娘による父親の礼賛本である。

  • 田中真紀子の自伝。

    本人の政治家としての記述は読むところがないが、父角栄の業績や父との関係性については面白かった。

  • 眞紀子さんには是非政界復帰して、
    この世の中を何とかしてもらいたいものです。

  • 数ある角栄本の中の最後であってほしいものです。子供でしか知りえないものを書かれていて良し。政治的な内容もいいですが、もう少し、家庭的な内容もあってもと。最終章は角栄内容ではないしね。

  • 田中眞紀子氏だけではなく田中角栄氏という政治家がどのような人物であったのか、また、戦後の政界のあり方を知る上でも、いい本だった。
    ただ、校正が機能していないのか、正誤表に書かれている箇所以外にも複数の誤植があるのが残念。田中眞紀子氏としても本意ではあるまい。
    正誤表記載外の誤植
    P128 苦労力行 → 苦学力行
    P129 試験官ベビー → 試験管ベビー
    P143 関東自動車道 → 関越自動車道

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著者プロフィール

1944年生まれ。1968年早稲田大学第一商学部卒業。1993年衆議院議員選挙で、新潟県旧3区より無所属で立候補し初当選。1994年科学技術庁長官(村山内閣)、2001年外務大臣(小泉内閣)、2012年文部科学大臣(野田内閣)を務める。2012年の衆議院解散に伴い議席を失い、今日に至る。現在、越後交通株式会社代表取締役会長などを務める。ベストスマイル・オブ・ザ・イヤー、新語・流行語大賞などを受賞。主な著書に、『時の過ぎゆくままに』(PHP文庫)、『父と私』(日刊工業新聞社)などがある。

「2019年 『角さんとじゃじゃ馬』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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