- Amazon.co.jp ・本 (176ページ)
- / ISBN・EAN: 9784532107253
作品紹介・あらすじ
論理的思考を育て、意思決定能力を高める討論の方法と技術を詳解。
感想・レビュー・書評
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マーケティング・経営学の専門家 北岡 俊明氏によるディベートについての超入門書。
ディベートとは何か、その意義野目的や手法などかなりわかりやすく解説されているので、入門書としては最適で、はじめの一冊としては非常によいと思った。
ただのディベート解説ではなくて、その根本にある考え方や工夫など勉強になった。
理想論や形式に留まらず、典型的日本人として陥りやすい、状況や施行についても言及されているので、論理的思考の大切さを感じることができた。
ディベートに関する手法的な知識を得る以上に、そもそもなぜディベートが論理的思考や意志決定に効果的かを丁寧に(かつ簡潔に)解説されている。
手元に置いて、何度でも読み返したい一冊!
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【内容(「MARC」データベースより)
シャイで議論下手な日本人が、堂々と自分の意見を述べ、議論するにはどうしたらよいか。論理的思考を育て、意志決定能力を高める討論の方法と技術を詳解。
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【目次】
I ディベートとは何か
1 ディベートは知識を創造する方法論
2 ディベートの目的は何か
3 ディベートの効果
II ディベートの方法と技術
1 ディベートの学習方法
2 ディベートの進め方
3 論題の決め方
4 資料・データの収集と分析の方法
5 論理(ロジック)を構築する方法
6 討論会の準備作業
III ディベート討論会のやり方
1 ディベート討論会
2 立論の方法と注意点
3 反対尋問の方法と注意点
4 最終弁論の方法
5 判定の方法
IV ディベートの話し方の技術一日本人の話し方の欠点と改良点
1 三角形型で話す
2 結論を先に延ばす
3 前置きが長すぎる
4 本論になかなか入らない
5 後置きの質問は不必要
6 質問が苦手であり下手である
7 質問の技術が拙劣である
8 論点を整理した話し方と質問の例
9 話が飛躍する
10 本末転倒の話をする
11 論点や論理をすり替える
12 情緒的、感情的な言葉を使う
13 「私個人の意見では」
14 発音と発生が悪いので聞き取りにくい
15 議論している時の姿勢や態度が悪い
16 構成やストーリーを考えないで議論する
V ディベート討論の技術
1 討論のための方法論を学習すること
2 前提が正しいと結論は正しく、前提が間違っていると結論も間違っている
3 相手の前提を読み、その前提をひっくり返す
4 事実とデータで話す
5 事実と意見を区別する
6 論拠を提示する
7 理由とエビデンス(証拠資料)で証明すること
8 レトリックを使うこと
9 逆三角型で話せ
10 論争では情緒的な感想を求めてはならない
11 前置きは短くする
12 早く本論に入ること
13 論点は一つ一つ独立させて話す
14 質問と演説を区別すること
15 ストーリーを組み立てて議論すること
16 曖昧な表現、情緒的な表現をしないこと
17 発音・発生をきちんとして明晰に話すこと
18 姿勢と態度を正しく自然体で議論すること
19 ソフィスト(詭弁家)を見破ること
20 日本語は間延びするので注意
21 仮定の話には答えられない
COFFEE BREAK
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まず、淡々とした文で書かれた本だと感じた。一文一文が短く簡単な言葉で説明されており、大変わかりやすくすらすらと読み進める事ができた。ただ、本質的で無い事柄にも関わらず、同じ事が何度も書かれている部分があり、くどい印象も受けた。この本はディベートの入門書という事で、ディベートの効果、ディベートの進め方、ディベートで議論する上での思考の仕方と話し方について説明されている。
ディベートの効果では、主に論理的思考力や意志決定力が向上すると言う点が述べられている。それと同じようにディベートで議論する上での思考の仕方や話し方sでも、論理的に考えること、説明すること、結論から物事を述べることがあげられている。この本はディベートの入門書ではあるが、主題はこの論理的思考力の鍛え方にあると思う。自分の意見を述べる場合は、まず意見を述べる、そしてその理由と根拠を述べる。相手に対して質問を行う際は、感想を聞くのではなく、疑問点・不明点をただす問いを投げかける。著者自身もこの本の中で述べているが、このような話し方は、自分の中で考えを論理的に整理する上での役立つものだと思われる。
他に、ディベートの進め方では、肯定側立論→否定側立論→否定側反対尋問→肯定側反対尋問→否定側最終弁論→肯定側最終弁論のような順で進行していくことや、ディベートを実施する場合の座席の配置の仕方などが説明されている。これらの説明はディベートの実施方法ということで実用性はあると思う。が、この本の主題はやはりディベートで議論する上での思考の仕方と話し方の部分だと思う。 -
北岡俊明著「ディベート入門」日本経済新聞社(1995)
* 多くの日本人は、意見とは蓄えた知識、暗記した知識を述べることであると思い込んでいるようです。これが知識中心主義気教育、偏差値教育の最大の弊害です。欧米人が意見を言うとは、自分のオリジナルな意見を述べることです。日本が意見を言うとは、誰かの意見を受け売りで述べることです。これが決定的に異なる点です。一度、知識を離れて自分の意見を述べるようにすることが重要であるということを知る必要があるかもしれません。
* 論争というのは1つの立場(論理)に基づいて論争しなければなりあせん。肯定なら肯定であり、否定なら否定です。しかし、ホンネとタテマエを使い分けるのは例えば、肯定がホンネで否定がタテマエということです。肯定と否定の両方を使い分けていては議論はできません。「私個人の意見では」というのは論争ではやってはならないルールです。論争をしていて形成が振りになってきた場合につかう論理のすり替えになるためです。
* 論争において大切なのは次のことです。
① 第一に前提です。相手の前提がどうなっているかいつも推測し考えることです。前提が正しいと結論は正しいのです。前提が間違っていると結論は間違っています。
② 第二に前提の誤りを指摘することです。特に相手が気がついていない無意識の前提の間違いを指摘し、結論も間違っていると論破します。
③ 第三に事実と意見を区別することです。事実は数字で証明し、意見は理由とエビデンスで論証します。
* 理論的に思考をするとは
『前提』→『論理』→『結論』→『観察・実験』
* 前提の真偽を検討することは重要です。人と議論するとき、人が言っていることの真偽を検討するとき、人が書いているものを評価するとき、いつも念頭に置くことが前提の真偽です。前提が正しいのか間違っているかの検討です。論理学が教えるように前提が間違っていると結論も間違います。前提を崩せば論争に勝つことが出来ます。すなわち、まず相手の前提の誤りを指摘します。前提が間違っているのだから当然結論は間違っていると指摘することです。いくら理路整然と述べても前提が違えば、結論は無残なほど間違っています。
* 説得力とは相手が気がついていない前提、すなわち、無意識前提を読み、先回りして結論を読むことです。
* 論争の場では『どうおもいますか』という言い方はしないこと。例)『米の自由化についてどう思いますか?』→『米の自由化に賛成ですか、反対ですか?』
* 仮定仮説の話には応えられないというのは、通常の論争、議論です。 -
ディベート=知を創造する方法論
「ディベートの4つのプロセス」
論題の決定→資料データの収集と分析→論理の構築→討論会
意思決定のスピード・パワー・正確さの育成
論題
事実論題・価値論題・政策論題
有限の情報を効果的に使った仮説と仮説の論争
科学的な理由と証拠資料が大事
反対尋問が一番大切。
早さを求める技術
論争に大切なこと
?前提 前提こそ正しいかどうかの決め手。
?前提の誤りを指摘すること
?事実と意見の区別 事実は数字で、意見は理由とエビデンスで証明